以心伝心

「以心伝心」って、ほんとあるんですね。

今朝方、家人が家を出払った頃に突然鳴った携帯。
こんなこっ早くになんだろうと思って電話に出たわけですが
電話口から聞こえてきたのは、
今から４０年も前、私がまだ中学生だった頃の親友の声。
でもなぜか遠くから聞こえてくるような、しゃがれ声で、、、
年をとって彼女声が変わったのかな、と一瞬思った訳ですが
「志保子ごめんね。いま、あまちゃんの震災時の放送見たら、
急に涙止まらなくなって・・・震災から一度も泣かなくことなかったのに、
志保子が元気なことも知っているし、志保子のブログだって見ているのに・・・
なんだか志保子の声聞かないと安心できなくなって、
朝早くに電話したんだ、
ごめんね。。。」と。


よくよく話を聞いてみて、
彼女の心の昂ぶりがなんとなく理解出来たわけですが・・・

彼女は、私が中１で大館に転校し、中学3年から高校1年の時によく一緒に遊んだ親友。
高校1年生で、私の父母が福島に転勤になり、すぐには転校も出来ず、
高校1年最後の3学期を彼女の家に居候させて頂き、
その3ヶ月間は、彼女と一緒に食べて、寝て、勉強してと、、、
お母様にも本当の子供のように可愛がって頂きました。

先月8月9日の秋田県北の集中豪雨の時には、92歳になったお母様が住むご実家に彼女は帰省していたそうです。
すごい風雨に、老朽化した家の雨漏りがひどく、畳を上げたり、屋根裏を見たりしたてあげたそうなんですが、
結局自分の手に負えずに、後でちゃんと建築業者に見てもらうように、と言いおいて、
後ろ髪を惹かれる思いで埼玉に帰ったそうなんですが、、、
結局彼女の部屋であった2階部分を取り壊ししなくてはいけないという連絡が来たそうです。
で、又大館に戻らなくてはいけないとなったそうですが、、、
その時彼女がいの一番に思ったのは
「二階の自分の部屋から前の道路を写真に収めておくこと。」だったそうです。

「志保子さ、あの頃よく私の家に遊びに来てたじゃない。窓からぼーと外見ているとさ、
志保子が遠くから手を大きく振って来る姿が見えるんだよね。
その姿が見えるとほんと嬉しくって、、、
志保子が福島転校してからは、、来るはずがないとわかっているのに、何度も何度も前の道路見つめていたんだ。
来るはずがないとわかっているのにね。。。
「・・・だからね、前の道路だけは写真におさめておかなくちゃと思った訳。」

思わず私も泣いちゃいましたよ。
私は自分の事、いつも小さな存在としか考えてなかったし
特に転校生時代、2～3年という短い間しかいなかった私のことを
覚えている同級生なんて殆どいないだろうな、、、って
ずっと思っていたのに・・・
そうやって私を待っていてくれた人がいたという事実が正直不思議で
そして４０年経っても声が聞きたいと、
電話よこしてくれる友達がいてくれたことに
“生きているということはほんと素晴らしい”と思った次第です。


今週末から来週にかけて、私の云十年の人生のいろんな舞台で知り合った方々に会いに行きます。
大学時代、劣等生だった私をなにくれと面倒見てくれたた恩師のお墓参りに行き、
30年ぶりに当時の上級生や下級生にお会いすることができます。
花の日曜日には2年前の講座で知り合ったばかりなのに、その後なんだかんだと連絡をとり合い、
仙台にも来ていただいた野菜ソムリエのお友達たちと、はとバスに乗って一日東京遊覧する予定です。
月曜日は現在コラムを書かせていただいている某協会にご挨拶に伺い、その後は6歳違いの姉と終日遊び・・・
そして翌日には帰ってこようと思っていたのですが
“今回の上京で彼女に会えたらな、、、”と、私自身も何度何度も心中思っていた彼女が、
思いがけずに今回電話をくれて、
これこそきっと！『以心伝心』というものですよね。
滞在予定を一日伸ばして、愛しの彼女にやっと20年ぶりかで会うことが出来ます。
きっと、年齢すっかり忘れて、まだ若かった頃に一瞬で戻り、おしゃべりの花が咲くことでしょう。

「人生80年としてね、1年に１回会えても３０回も会えないしね、」と言ったら、
「何いってんの、志保子は絶対１２０歳まで生きるよ」ですって。
「いや～～若い時のあの細かったわたしが、今は〈だるまさん転んだ〉状態だから、笑わないでよ」と言ったら
「そうそう、あの頃志保子はまるで針金みたいだった！」
「ウン、私ね、もう『針金細工』やめたから。」と、、、
「そうか、じゃ、一緒にこれからは『粘土細工』しようよね」と。。。
よくわからない会話で最後を結び、、、
来週の再会にパワーを残して電話を切った次第です。

年をとって、最後にしたいこと、
それは良い服を着ることでもなく、豪邸に住むことでもなく、
グルメと言われるものを食べることでもなく
短いこの人生でご縁のあった方々一人一人に会って
昔の事をあれこれ思い出して、一緒に笑ったり、泣いたり、
そうして自分の人生を改めて確認していきたいな、、、と
あ～～もう早くも、そんなこと考えておりますよ。