この記事はFBにも載せたんだけれど、リンク先がいつかは消えてしまうかもしれない。
無くしたくないので、こっちにも載せておく。
どこかの国は、清掃は低いカーストのやることと言って、上のカーストのものはやらない、やろうともしない。
だからこんなに国中が汚いんだ!
「心を込(こ)める、ということです。心とは、自分の優しい気持ちですね。清掃をするものや、それを使う人を思いやる気持ちです。心を込めないと本当の意味で、きれいにできないんですね。そのものや使う人のためにどこまでできるかを、常に考えて清掃しています。心をこめればいろんなことも思いつくし、自分の気持ちのやすらぎができると、人にも幸せを与えられると思うのね」
「人に評価されるからやってるわけではないんですよね。そこまで私は思ってないんです。自分がどこまでやれるか、自分を清掃の職人だと思っているんです。あくまでそれをやった上で、人がこう感じました、喜ばれたというのが人の評価ですから。すべてが人に褒められるということを目的にしていないんです」
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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160117-00000001-sasahi-peo&fb_action_ids=1017392751637898&fb_action_types=og.comments
イギリスにある世界最大の航空業界格付け会社・スカイトラックス社が公開している格付けランキングで、2013年、14年の2年連続“世界で最も清潔な空港”に選ばれた羽田空港。その栄誉の裏に、ひとりの女性の長年の努力が存在していることをご存じだろうか。
彼女の名は新津春子。羽田空港国際線ターミナル、第1ターミナル、第2ターミナル清掃の実技指導者だ。
彼女の名前は、NHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル仕事の流儀」の弱冠30歳のディレクター・築山卓観氏の「一目ぼれ」をきっかけに世の中に知れ渡ることになる(築山氏は2014年・2015年と第一制作センター賞を受賞している凄腕ディレクターでもある)。
その「一目ぼれ」は、のちに2015年の「プロフェッショナル仕事の流儀」の中で最高視聴率をとった「心を込めて あたりまえの日常を」という番組に結実することになったのだ。
少し長くなるが、築山氏自身が記した文章を全文紹介しよう。その新津さんの姿勢に、私たちは背筋を伸ばさないわけにはいかないからだ。
* * *
●新津さんのこと
「誰がやったから、じゃないのよ。キレイですねってお客さまが思ってくれる、それで十分じゃないですか。お客さまが喜んでくれれば、それでいいんです」
密着ロケの終盤。深夜3時、誰もいない羽田空港のトイレでこの言葉を聞いた時、思わず熱いものがこみ上げてきたのを今も鮮明に覚えています。ビル清掃のプロ・新津春子さんが教えてくれた仕事の流儀。私にとっても今、仕事に向き合う時の大切な指針です。
2014年10月。私は「プロフェッショナル仕事の流儀」というドキュメンタリー番組の取材で、羽田空港にいました。企画していたのは「清掃のプロ」。日本の清潔さは、まさに世界屈指、ならばその美しさを支えている凄腕清掃員もいるはずだと考えたのです。そして幾人もの清掃員の方を取材していく中で耳にしたのが「羽田空港に、日本一の清掃員がいる」という噂。こうして人づてにたどり着いたのが新津春子さんでした。
「待たせたねー、場所わかりにくかった? ごめんなさいね!」
人懐っこい笑顔で迎えてくれたのは、想像よりも小柄で細身の女性。体力勝負の清掃で技能日本一と聞き、勝手に大柄でたくましい女性をイメージしていた私にとって、終始ニコニコ顔で全く凄みを見せない新津さんは、正直意外でした。
そして、その半生はもっと意外。少し片言の日本語だったのでお話を聞くと、第2次世界大戦の時に中国に取り残された日本人を父に持つ、中国生まれの残留日本人孤児2世だというのです。「17歳で日本に帰ってきたんだけど、家族みんな日本語できないでしょ?だから仕事もなくて。でも言葉できなくても清掃はできるから、それから20年以上、ずっと清掃の仕事をしてるの」
さらに新津さんは続けました。「清掃の仕事は確かにきついです。3Kって言われてる。まだ社会的地位も低いと思う。でも、だから何? 私は気にしてない、だって私はこの仕事が大好きだから」。
そう言ってにっこりとほほえんだその笑顔に一目ぼれし、その場で出演をお願いしました。
こうして始まった密着取材。現場での新津さんは、とにかく生き生きとして、清掃を心底楽しんでいる、まるで少女のようでした。普通なら見逃しそうなわずかな汚れを数十メートル離れた所から見つけ、「あった!」と叫ぶと、嬉嬉として落としていくのです。そのために使う洗剤は80種類を超え、自ら清掃道具を開発してまでキレイにしようとするこだわりぶり。しかも新津さんは、ただ目に見える汚れを落とすだけでは満足しません。たとえばトイレに設置してある手の乾燥機。ぱっと見てきれいになったので、撮影クルーが「きれいになりましたね」などと言ってもどこか不満げ。「臭いが残っているとだめだから」と、乾燥機を分解して中を清掃し始めたのです。その徹底ぶりは、床、ガラス、鏡、便器、あらゆるものに及び、まるで空間そのものを清掃しているかのようでした。
どうしてそこまでするのか。新津さんは笑って答えました。
「仕事をしている以上プロですよね。プロである以上そこまでやんないと。気持ち。気持ち。別に誰に言われてるわけでもないけど。でもこうすると全体がきれいに見えるでしょ。やっぱり、全体をきれいにすると気持ちいいじゃないですか」
そして自らの“仕事の流儀”を、こう表現しました。
「心を込(こ)める、ということです。心とは、自分の優しい気持ちですね。清掃をするものや、それを使う人を思いやる気持ちです。心を込めないと本当の意味で、きれいにできないんですね。そのものや使う人のためにどこまでできるかを、常に考えて清掃しています。心をこめればいろんなことも思いつくし、自分の気持ちのやすらぎができると、人にも幸せを与えられると思うのね」
衝撃を受けました。掃除は誰もが常日頃していると思いますが、少なくとも私は水回りや汚れた所を掃除する時、面倒くさがってしまいます。嫌な気持ちになり、汚れに見て見ぬふりをしてしまうこともあります。汚れたものを思いやることや、優しさを持つなんてできないかもしれない。それを新津さんは自分のためではなく、自然と、そこを使う誰かのためにしている。
「人に評価されるからやってるわけではないんですよね。そこまで私は思ってないんです。自分がどこまでやれるか、自分を清掃の職人だと思っているんです。あくまでそれをやった上で、人がこう感じました、喜ばれたというのが人の評価ですから。すべてが人に褒められるということを目的にしていないんです」
そのどこまでも優しい心は、清掃の域に留まりませんでした。ロビーで電車の磁気カードを拾えば、持ち主を探しに空港中を駆け回ります。道に迷った人がいれば、率先して道案内。荷物で手がふさがっている人がいれば、先回りしてドアを開けて待ちます。それがたとえ夜勤明けでふらふらであっても、絶対に疲れた顔を見せませんでした。それどころか、もっとお客さまのためにできることはないか、どこまでも奥深く自らの仕事を突き詰めようとする姿がありました。
「空港は家と思っているんですよ。自分の家だと思っているんで、おもてなしでないといけないんです。自分の家に、いつもきてくださいよって、リラックスしてくださいよって。リラックスっていうのが、きれいでないといけないんですよ」
新津さんは、決して順風満帆な半生を送られてきたわけではありません。残留日本人孤児2世というだけで中国でも日本でもいじめにあい、自らの居場所を見いだせずにいたそうです。さらに日本に帰国した際は十分な蓄えもなく、一時はパンの耳を食べて過ごした日々もあったと聞きました。
それでも、決して後ろを振り向くことはしない。誰に気づかれなくてもいい。誰に認められなくてもいい。ただ、この場を使う人がキレイだって喜んでくれるだけで救われる。新津さんは、いまは十分幸せな人生を送っている、と言っていました。
そして朝6時、夜勤を終えへとへとの姿でゴミ拾いを続けた新津さん。
「今日も、お客さまにとって幸せな1日になるといいね」
私は、胸が一杯になりました。
「プロフェッショナル仕事の流儀」はこれまで、さまざまな分野で活躍中のまさに一流のプロの方にご出演頂いてきました。一流と呼ばれる人の多くはすでにメディアに注目され、社会的に高い評価を受けておられる方も少なくありません。でも今回改めて感じたのは、プロ中のプロは地位や名誉とは別の所にもいるということ。気づかないだけで実はもっと身近にいらっしゃるのかもしれません。そしてそういう方々が、人知れず誰かのために全力を尽くしている姿にこそ、私をはじめ、多くの人が心動かされるのではないでしょうか。新津さんに密着した1カ月、私も取材者としての姿勢を見つめ直し、まるで心が洗われていくような、充実した時間を過ごさせて頂きました。
ロケの最終日。別れ際に、ひとつの質問をしました。
「あなたにとって、プロフェッショナルとはどんな人だと思いますか?」
返ってきたのは、懸命に自らの仕事に向き合っているすべての人の背中を押す言葉。仕事に悩んだとき、困ったとき、つまずいたとき、いつも私を支えてくれます。
「目標を持って、日々努力し、どんな仕事でも心を込めることができる人が、プロフェッショナルだと思います」
* * *
そんな新津さんは、子どもが大好きだという。理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「大人はずるい方に考えたり、ラクをしようとするでしょ。でも、子どもはやりたいことをただ素直にやっているだけ。自分が立ち止まっているな、ラクをしようとしているなと思うときは、必ず童心に返ります。私のお手本は子どもたちなんです」
番組がきっかけになり、新津さんはセミナーや講演会にも呼ばれるようになり、大好きな子どもたちに清掃の仕事を教える機会も増えてきた。先ごろ初の書籍も出版した(『世界一清潔な空港の清掃人』新津春子著)。
そして新津さんは、今でも笑顔できっぱりとこう言い切る。
「私は、清掃の仕事が大好きです。自分にとって大事なことがはっきりしていれば、誰が何を言っても、左右されることはありません」
無くしたくないので、こっちにも載せておく。
どこかの国は、清掃は低いカーストのやることと言って、上のカーストのものはやらない、やろうともしない。
だからこんなに国中が汚いんだ!
「心を込(こ)める、ということです。心とは、自分の優しい気持ちですね。清掃をするものや、それを使う人を思いやる気持ちです。心を込めないと本当の意味で、きれいにできないんですね。そのものや使う人のためにどこまでできるかを、常に考えて清掃しています。心をこめればいろんなことも思いつくし、自分の気持ちのやすらぎができると、人にも幸せを与えられると思うのね」
「人に評価されるからやってるわけではないんですよね。そこまで私は思ってないんです。自分がどこまでやれるか、自分を清掃の職人だと思っているんです。あくまでそれをやった上で、人がこう感じました、喜ばれたというのが人の評価ですから。すべてが人に褒められるということを目的にしていないんです」
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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160117-00000001-sasahi-peo&fb_action_ids=1017392751637898&fb_action_types=og.comments
イギリスにある世界最大の航空業界格付け会社・スカイトラックス社が公開している格付けランキングで、2013年、14年の2年連続“世界で最も清潔な空港”に選ばれた羽田空港。その栄誉の裏に、ひとりの女性の長年の努力が存在していることをご存じだろうか。
彼女の名は新津春子。羽田空港国際線ターミナル、第1ターミナル、第2ターミナル清掃の実技指導者だ。
彼女の名前は、NHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル仕事の流儀」の弱冠30歳のディレクター・築山卓観氏の「一目ぼれ」をきっかけに世の中に知れ渡ることになる(築山氏は2014年・2015年と第一制作センター賞を受賞している凄腕ディレクターでもある)。
その「一目ぼれ」は、のちに2015年の「プロフェッショナル仕事の流儀」の中で最高視聴率をとった「心を込めて あたりまえの日常を」という番組に結実することになったのだ。
少し長くなるが、築山氏自身が記した文章を全文紹介しよう。その新津さんの姿勢に、私たちは背筋を伸ばさないわけにはいかないからだ。
* * *
●新津さんのこと
「誰がやったから、じゃないのよ。キレイですねってお客さまが思ってくれる、それで十分じゃないですか。お客さまが喜んでくれれば、それでいいんです」
密着ロケの終盤。深夜3時、誰もいない羽田空港のトイレでこの言葉を聞いた時、思わず熱いものがこみ上げてきたのを今も鮮明に覚えています。ビル清掃のプロ・新津春子さんが教えてくれた仕事の流儀。私にとっても今、仕事に向き合う時の大切な指針です。
2014年10月。私は「プロフェッショナル仕事の流儀」というドキュメンタリー番組の取材で、羽田空港にいました。企画していたのは「清掃のプロ」。日本の清潔さは、まさに世界屈指、ならばその美しさを支えている凄腕清掃員もいるはずだと考えたのです。そして幾人もの清掃員の方を取材していく中で耳にしたのが「羽田空港に、日本一の清掃員がいる」という噂。こうして人づてにたどり着いたのが新津春子さんでした。
「待たせたねー、場所わかりにくかった? ごめんなさいね!」
人懐っこい笑顔で迎えてくれたのは、想像よりも小柄で細身の女性。体力勝負の清掃で技能日本一と聞き、勝手に大柄でたくましい女性をイメージしていた私にとって、終始ニコニコ顔で全く凄みを見せない新津さんは、正直意外でした。
そして、その半生はもっと意外。少し片言の日本語だったのでお話を聞くと、第2次世界大戦の時に中国に取り残された日本人を父に持つ、中国生まれの残留日本人孤児2世だというのです。「17歳で日本に帰ってきたんだけど、家族みんな日本語できないでしょ?だから仕事もなくて。でも言葉できなくても清掃はできるから、それから20年以上、ずっと清掃の仕事をしてるの」
さらに新津さんは続けました。「清掃の仕事は確かにきついです。3Kって言われてる。まだ社会的地位も低いと思う。でも、だから何? 私は気にしてない、だって私はこの仕事が大好きだから」。
そう言ってにっこりとほほえんだその笑顔に一目ぼれし、その場で出演をお願いしました。
こうして始まった密着取材。現場での新津さんは、とにかく生き生きとして、清掃を心底楽しんでいる、まるで少女のようでした。普通なら見逃しそうなわずかな汚れを数十メートル離れた所から見つけ、「あった!」と叫ぶと、嬉嬉として落としていくのです。そのために使う洗剤は80種類を超え、自ら清掃道具を開発してまでキレイにしようとするこだわりぶり。しかも新津さんは、ただ目に見える汚れを落とすだけでは満足しません。たとえばトイレに設置してある手の乾燥機。ぱっと見てきれいになったので、撮影クルーが「きれいになりましたね」などと言ってもどこか不満げ。「臭いが残っているとだめだから」と、乾燥機を分解して中を清掃し始めたのです。その徹底ぶりは、床、ガラス、鏡、便器、あらゆるものに及び、まるで空間そのものを清掃しているかのようでした。
どうしてそこまでするのか。新津さんは笑って答えました。
「仕事をしている以上プロですよね。プロである以上そこまでやんないと。気持ち。気持ち。別に誰に言われてるわけでもないけど。でもこうすると全体がきれいに見えるでしょ。やっぱり、全体をきれいにすると気持ちいいじゃないですか」
そして自らの“仕事の流儀”を、こう表現しました。
「心を込(こ)める、ということです。心とは、自分の優しい気持ちですね。清掃をするものや、それを使う人を思いやる気持ちです。心を込めないと本当の意味で、きれいにできないんですね。そのものや使う人のためにどこまでできるかを、常に考えて清掃しています。心をこめればいろんなことも思いつくし、自分の気持ちのやすらぎができると、人にも幸せを与えられると思うのね」
衝撃を受けました。掃除は誰もが常日頃していると思いますが、少なくとも私は水回りや汚れた所を掃除する時、面倒くさがってしまいます。嫌な気持ちになり、汚れに見て見ぬふりをしてしまうこともあります。汚れたものを思いやることや、優しさを持つなんてできないかもしれない。それを新津さんは自分のためではなく、自然と、そこを使う誰かのためにしている。
「人に評価されるからやってるわけではないんですよね。そこまで私は思ってないんです。自分がどこまでやれるか、自分を清掃の職人だと思っているんです。あくまでそれをやった上で、人がこう感じました、喜ばれたというのが人の評価ですから。すべてが人に褒められるということを目的にしていないんです」
そのどこまでも優しい心は、清掃の域に留まりませんでした。ロビーで電車の磁気カードを拾えば、持ち主を探しに空港中を駆け回ります。道に迷った人がいれば、率先して道案内。荷物で手がふさがっている人がいれば、先回りしてドアを開けて待ちます。それがたとえ夜勤明けでふらふらであっても、絶対に疲れた顔を見せませんでした。それどころか、もっとお客さまのためにできることはないか、どこまでも奥深く自らの仕事を突き詰めようとする姿がありました。
「空港は家と思っているんですよ。自分の家だと思っているんで、おもてなしでないといけないんです。自分の家に、いつもきてくださいよって、リラックスしてくださいよって。リラックスっていうのが、きれいでないといけないんですよ」
新津さんは、決して順風満帆な半生を送られてきたわけではありません。残留日本人孤児2世というだけで中国でも日本でもいじめにあい、自らの居場所を見いだせずにいたそうです。さらに日本に帰国した際は十分な蓄えもなく、一時はパンの耳を食べて過ごした日々もあったと聞きました。
それでも、決して後ろを振り向くことはしない。誰に気づかれなくてもいい。誰に認められなくてもいい。ただ、この場を使う人がキレイだって喜んでくれるだけで救われる。新津さんは、いまは十分幸せな人生を送っている、と言っていました。
そして朝6時、夜勤を終えへとへとの姿でゴミ拾いを続けた新津さん。
「今日も、お客さまにとって幸せな1日になるといいね」
私は、胸が一杯になりました。
「プロフェッショナル仕事の流儀」はこれまで、さまざまな分野で活躍中のまさに一流のプロの方にご出演頂いてきました。一流と呼ばれる人の多くはすでにメディアに注目され、社会的に高い評価を受けておられる方も少なくありません。でも今回改めて感じたのは、プロ中のプロは地位や名誉とは別の所にもいるということ。気づかないだけで実はもっと身近にいらっしゃるのかもしれません。そしてそういう方々が、人知れず誰かのために全力を尽くしている姿にこそ、私をはじめ、多くの人が心動かされるのではないでしょうか。新津さんに密着した1カ月、私も取材者としての姿勢を見つめ直し、まるで心が洗われていくような、充実した時間を過ごさせて頂きました。
ロケの最終日。別れ際に、ひとつの質問をしました。
「あなたにとって、プロフェッショナルとはどんな人だと思いますか?」
返ってきたのは、懸命に自らの仕事に向き合っているすべての人の背中を押す言葉。仕事に悩んだとき、困ったとき、つまずいたとき、いつも私を支えてくれます。
「目標を持って、日々努力し、どんな仕事でも心を込めることができる人が、プロフェッショナルだと思います」
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そんな新津さんは、子どもが大好きだという。理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「大人はずるい方に考えたり、ラクをしようとするでしょ。でも、子どもはやりたいことをただ素直にやっているだけ。自分が立ち止まっているな、ラクをしようとしているなと思うときは、必ず童心に返ります。私のお手本は子どもたちなんです」
番組がきっかけになり、新津さんはセミナーや講演会にも呼ばれるようになり、大好きな子どもたちに清掃の仕事を教える機会も増えてきた。先ごろ初の書籍も出版した(『世界一清潔な空港の清掃人』新津春子著)。
そして新津さんは、今でも笑顔できっぱりとこう言い切る。
「私は、清掃の仕事が大好きです。自分にとって大事なことがはっきりしていれば、誰が何を言っても、左右されることはありません」