
2/10(月)、ユナイテッド・シネマ新潟で「ジョジョ・ラビット」を観てきました。
新潟市内では、ユナイテッド・シネマ新潟のみでの上映だったようです。
予告編はこんな感じです。
戦時中のドイツでナチスを崇拝する10歳の少年・ジョジョが主人公なんですけど、まず、ジョジョのイマジナリーフレンド的なやつがヒトラーって設定がすごく面白かったです。
もちろん、現代の自分からすると、ヒトラーという人物を「愉快な可愛い人物」みたいに思うことはできませんが、もしかしたら戦時中のドイツ人の方にはそう思う人がいたかも知れないし、少年がそこに身近さを感じているのも、もしかしたら、こういうこともあり得るかも知れないよな…っていう妙な説得力があるんですよね。
しかも、映画では、ジョジョの脳内の光景が視覚化されるんですけど、彼の思い描くヒトラーがすごく愉快な人物というのが、現実との乖離を含めて、ちょっと他の映画では味わったことない面白い映像体験だったなと思いました。
何より、現実のヒトラーがどうであったとは言え、ジョジョ自身はすごくイマジナリーフレンドのヒトラーと楽しそうに過ごしているので、彼のそういう楽しさ自体は奪えないよな…という、人間の思想の自由みたいなものに少し思いを馳せたりもしました。
そんなジョジョは、当時のナチス軍が指導する少年少女のボーイスカウト的なキャンプに行くことになり、ぱっと見やってることは普通に楽しそうなんだけど、実はキャンプで行うゲームが戦争を意識していたり、完全なるナチスの教育みたいな話をしていたり、今だからヤバいと分かるものだったりするんですよね。
でも、それは今の自分だから分かることであり、当時、その時代、その世界で普通に生きていた人達にとっては、これが普通だったわけで、そういう歴史を改変しないで、「こういう人達がちゃんと生きていた」って表現していたのはすごくいいなと思いました。
そんなジョジョは、ある日、自宅の隠し部屋の中で、母親が匿っているユダヤ人の少女・エルサと出会います。
ヒトラーを崇拝していたジョジョにとって、ユダヤ人の少女というのは最初は物凄い恐怖の対象で本気で怯えたりします。
エルサも、最初は自分が迫害されていることを知った上で、わざとジョジョを怖がらせて拒絶したりするのですが、次第に友情を築いていく、という映画です。
ジョジョにとってユダヤ人の少女・エルサとの出会いは色んな意味で自分の価値観をひっくり返すような衝撃なんだけど、同時に人種とか思想が違っても、2人とも普通の子供なんだよなって感じの描き方がすごく良かったです。
しかし、次第に戦争が近付いてきて、ジョジョとエルサの暮らす街も市街戦の舞台となり、ネタバレは避けますが、物凄く悲劇的な展開とかもあるのですが、それでも人種を越えて出会った2人が助け合って生きていくしかないよね、という絶望とも希望ともとれる終わり方が、すごく好きでした。
ジョジョとエルサ以外でも、最初のキャンプですごく怖かった上官が、市街戦が起こったら自分を犠牲にして命懸けでジョジョを助けてくれたりとか、戦争だけでなくあらゆる人間を多面的に描いている映画だなと思いました。
戦争が迫ってくる現実的なの恐怖や、エルサがバレるかバレないかのサスペンス的な要素もあり、それと並行して少年少女の可愛さやユーモアを描くというバランスがすごく絶妙な映画で、戦争のこういう描き方の映画は初めて観たと思いました。
また、少年少女の目線から戦争を描く描写(例えば大人の足だけ映すとか)が多いのも印象的で、すごく主人公の少年に寄り添ってる映画だなって思いました。