舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

映画「いとみち」観てきました。

2021-07-10 23:40:45 | Weblog




7/10(土)、ユナイテッド・シネマ新潟で「いとみち」を観てきました。





予告編はこちら。



内向的で人見知りな性格で、父親ともうまく付き合えない高校生、相馬いとが、ひょんなことからメイドカフェで働き始め、仕事や人間関係に苦戦しながらも次第に自分の気持ちに正直に生きる道を見出していくという成長を描いた青春映画。
基本的にすごく地味で静かな青森のご当地映画ではあるんだけど、正直今年のベスト級に好きでしたね。

例えば「君の名は。」でも何でも、映画に出てくる高校生って現実の高校生よりも超人的にしっかりしすぎていることが多くて昔から違和感があったんだけど、この映画の主人公のまだ世界を知らずに判断力も自信もない無力感、みたいな描写が、本当にリアルな高校生って感じですごく良かったです。
実際、主演の駒井蓮さんはすごく可愛い女優さんなんだけど、リアルに地味な高校生を演じ切っていて、しかもそんな彼女の成長や気持ちの変化をすごく丁寧に描いていて、彼女を見ているだけで心が動かされるものがありました。

そんな地味で人見知りな主人公が突然メイドカフェで働くから、当然苦戦するんだけど、初めてのバイトに苦労するあの感じがすごくリアルで気持ちが伝わってきました。
でも同時に、田舎のメイドカフェの地味な感じや、メイドカフェの従業員やお客さん一人一人のキャラの濃さ、メイドカフェなのに方言全開の主人公の可愛さとかがギャグにもなってて、いい意味で笑えて軽く見られる感じもあって、そこらへんの匙加減が絶妙なんですよね。

この映画、いわゆる説明台詞がほとんど出てこないし、台詞があっても大半が津軽弁が強すぎてよく分からないんだけど、でも演技や演出の一つ一つが丁寧だからちゃんと気持ちが伝わるようになっているんですよ。
例えば落ち込んだ主人公がある人物から優しくされて思わず泣いてしまうという場面、そこも感動的な音楽を流すとかじゃなくて、あくまで表情一つでさりげなく表現するなど、本当どの場面も丁寧に作り込まれているんですよね。

そもそも主人公がメイドカフェで働くことにした理由も最初は特に説明がないんだけど、最後まで見ているとちゃんと分かるような作りになっているんです。
主人公の父親役が豊岡悦司さんなんだけど、メイドカフェで働く娘に反対する父親VS自分で決めた仕事を続けたい娘、という喧嘩の場面も、両方の気持ちがちゃんと分かるからこそもどかしく感じてしまうし、でもそのあとで2人がもう一度ちゃんと分かり合う場面も、特に説明とかはないけどちゃんと気持ちが伝わるから、感動できる。

主人公の友達役でRINGOMUSUMEのジョナゴールドさんが出ているんだけど、彼女もまた駒井蓮さん同様にすごく普通の素朴な女の子として描かれていて、その感じがまた微笑ましくてすごくいいんですよね。
全体的にこの映画、派手ではないけど、さりげない人の優しさとかの描写がぐっときます。

あと、駒井蓮さんも、ジョナゴールドさんも、青森出身なので、リアルな津軽弁にも納得です。
あ、同じくRINGOMUSUMEのときさんもちょっとだけ出てきます。

そして、これはポスターや予告編にも出てくるこどだしネタバレじゃないと判断して書いちゃいますと、最後に主人公が津軽三味線を弾く場面が登場するんだけど、そこでご都合主義的にやたらと大成功するとかじゃなくて、あくまで地味なステージだけど彼女にとってはすごく大事な体験、みたいに描いている感じがまたすごくいいんですよね。
しかもその津軽三味線もお祖母さんから習ったもので、ちゃんと青森の伝統を大切にする気持ちが映画にも込められているあたりもいい。

人の成長と気持ちの変化を丁寧に描いた素敵な青春映画でした。
最後に、「いとみち」は駒井蓮さんの自然な演技にしろ、メイドカフェの衣装のデザインにしろ、可愛さの中に品があって変に媚びていないところが好きです。

…とFacebookに書いたら、なんと友人がこの映画の美術に携わっていたそうで、メイドカフェの美術もアキバ系じゃないような上品さを目指したと教えてくれました。
というわけで、美術の魅力も伝わってきて良かった!友人お疲れ!
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