舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

少女が被災地となってしまった故郷を目指すロードムービー。「風の電話」観てきました。

2020-02-13 22:15:30 | Weblog


イオンシネマ新潟西と新潟南で上映中の「風の電話」、2/12(水)に観てきました。





予告編はこんな感じです。



東日本大震災で家族を失い心を閉ざしていた少女・ハルが、広島で一緒に暮らしていた叔母が倒れたことをきっかけに、ヒッチハイクで故郷の岩手県大槌町を目指すロードムービーです。
広島で暮らす祖母は原爆の被爆者らしいことを匂わせていたり、福島まで乗せてくれた人が原発作業員だったり、さらにその人が東京まで来た理由が震災時にボランティアに来てくれた外国人の人を探しているという理由で、しかもその外国人の方は難民として入国管理局から帰れなくなっていた、などなど、登場人物の一人一人が、今というこの時代の日本に生きている人達なんだな、という感じがして、それがすごく印象的な映画でした。

モトーラ世理奈さん演じる主人公・ハルは常に無表情で何の感情も持たずに生きているように見えるのですが、物語を通して色々な人達の出会いが彼女の大切な体験になってるんだろうなと思いました。
中でも、同じ被災者の人との、「死にたくなることある?」「あるよ。でも死んだら誰が家族のこと覚えてるんだよ」という会話は本当にすごい台詞だなと思いました。

そして、最終的に被災地の自分の自宅があった場所を訪れたあと、大槌町にある「風の電話」に行って、そこで今まで無口だった彼女が心に秘めていたであろう気持ちを、少しずつ言葉にしていくところでこの映画は終わります。
タイトルにもなっている「風の電話」は、亡くなった人に気持ちを伝える場所として、大槌町に実在するそうです。

それにしても、主演のモトーラ世理奈さんは「少女邂逅」でも思ったけど、少ない言葉と表情で繊細な気持ちを表現する力が本当に凄いなと思いました。
中でも、最後に「風の電話」で家族に対する気持ちを話す時のモトーラ世理奈さんの静かに心を震わせてくる演技は本当に凄まじく、そしてそのまま終わっていくという終わり方も、好きでした。

三浦友和さん、西島秀俊さん、西田敏行さんという名だたる名優たちとの共演で、モトーラ世理奈さんの演技力がさらに際立ってると思いました。
全体的に静かな会話劇どころか無言のシーンも多いからこそ、役者さんたちの演技力が際立つ映画でしたね。
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