はい、一つ前の記事「チヒロブルース、BLUES「ラッキーホラーショウ!」を熱く語る!」の続きです。
大分熱く語ってしまいましたが、さらに熱く語るよ!
先程、過去の記事にて、BLUESの「楽しむ」というスタンスと、脚本については語りましたので、今度は役者について語ってみたいと思います。
(どんどん長くなっていく…)
今回「ラッキーホラーショウ!」を見て感じたのは、役が全員ハマり役だなあということ。
それぞれの得意分野を、物語の中に活かしていました。
特に、客演の3人については、この人以外考えられない!と思うほどのキャスティングでした。
よくもこんな決して広いとは言えない松本演劇界で、ここまでベストな役者を見つけて来たなという感じです。
まず、おちやいさんは、元NAMARAの芸人さんというだけあって、安定して面白いんですね。
常に舞台を客観的に見て面白いことを行う技術があり、さらにアドリブで貪欲にボケをぶっこんでくる。
これだけでも十分すごいのですが、おちやいさんのすごいところは登場しただけで存在がすでに面白いんですね。
どんだけ笑いを取るんだ!
かと思えば、周りを怖がらせるヤクザのシーンでは、ちゃんと「怖い演技」が出来る。
まさに笑いと狂気を併せ持った、おちやいさんという人物の魅力だと思います。
(あとこれは裏話になりますが、何だかんだで二十代ばっかのBLUESにおいて、「大人」のおちやいさんが居てくれると本当安心します。)
(いつもお世話になります…)
そしてコウヘイくんについては前にも書きましたが、非常に素直な役者であることが魅力です。
青臭い作品の、最も青臭く感情を全開にするコウヘイくんの役は、彼のような自分の役を素直に一生懸命やれるからこそ、映えるんだと思います。
それは上手い演技をしよう、格好良く見せよう、なんかより、大切なことだと思うし、それがちゃんと出来ていたと思います。
あと、彼はまるで二次元美少年的なイケメンなんですが、格好良さに全く嫌味がなくていいです。
完全にBLUES色に染まってBLUES色に染まることで、感情を解放していたのが良かったのかもしれないですね。
どうしてもイケメンだからイケメンなキャラが多くなりそうな役者ですが、彼こそBLUESでボケるべきだと思います。
そしてニコチンさんもまた、BLUESに必要な人材ですね。
ニコチンさんのすごいところは、役をちゃんと作って、その上で面白いことを出来る、ということ。
ニコチンさん、疫病神というあり得ない設定なのに、ちゃんと疫病神に見えましたからね。
さらに、コウヘイくんのことが好きということが判明し、途中からオネエキャラになって暴走していくという役どころでしたが、これがすごく面白かったです。
BLUESはどんなシーンだろうとボケを入れるんですが、ボケることでそれまで演じていた役から素に戻ってしまう、という一つの問題があります。
ただ、それによって生まれる笑いというものもあるし、その笑いはBLUESの特徴の一つでもあるので、仕方ないっちゃ仕方ないんですが…
ここでニコチンさんがすごいのは、キャラを作り、なおかつそのキャラ故の言動で笑わせる、という技術を持っていること。
非常に器用な役者だなあと思います。
じゃあそれに対してBLUESのオリジナルメンバー、おもケン、レイ、そうめいの課題は何か。
って言うのは、もううストレートに言っちゃって、演技力だったと思います。
いや、みんないい役者なんですけどね、どうしてもそれを感じてしまう時があります。
特に、ニコチンさんの下りで書いた、特にボケている時に素に戻ってしまうやつです。
まあでも、急に素に戻る面白さってのは存在するから、一概に悪いとは言えない。
もっと言うと、素に戻ってボケる笑いはBLUESならでは特徴でもあるわけで、「コイツらがボケなきゃBLUESは始まらない」というのも事実。
だからやっぱりアレですね、素に戻る時に大切なのは切り替えですね。ボケる時は思いっきりボケると。
そこが中途半端になっていて、見ていて勿体ないなあと感じてしまう部分が何か所かありました。
それから、素に戻る系のボケ以外にも、役を作りこんだが故の笑いも、もっと見たかったです。
おちやいさんやニコチンさんはこれが得意な気がするんですが、やっぱりBLUESも挑戦して欲しいとこですね。(自分も含めてですが)
あと、ボケに関してもう一つ言えば、動きのあるボケをする時に、粗さが目立ってしまって勿体ないと感じる部分がありました。
特に肉体を使ったボケをする時は、それこそダンスのように動きをしっかり作って美しく見せて欲しかったです。(ダンスはすげー良かったよ)
因みに昨年の公演「ある日、ぼくらは夢の中で出会う」では、これらの面白さが出来てたんですよね。
あれは既成脚本だからこそ役に集中することが出来て、その分安心してボケられた、ってのもあるとは思いますが。
また、ボケ以外の真面目な演技に関してですが、若干、演技にためらいが見えるような気がする箇所がありました。
何て言うか、ボケてる時はすごく生き生きしているのに、普通のシーンになると急に「あれ?」って…勿体ない!
特に、主演のレイがなかなか素直になれずに強がってしまう、というシーンからは、ちょっと恥ずかしさを感じてしまう部分も…
このシーン、普通に見たらものすごく恥ずかしいシーンで、だからこそ役者にためらいがあってはいけないシーンな訳で。
だからこそ、思い切りやって欲しかったと思います。
この点は、コウヘイくんがとても良かった。
これも、去年の「ある日、ぼくらは夢の中で出会う」では感じられなかったんですよね。
既成とオリジナルなので、どっちが良かったと簡単に言うことは出来ませんし、役者と脚本、双方の課題なのかもしれませんね。
これらの点から考えるに、今回の公演は、BLUESの苦手な部分を客演さんが上手い感じに補ってくれていて、非常にバランスが良かったのかもしれない。
おちやいさんもコウヘイくんもニコチンさんもBLUESに入ってくれればいいのに。(あ、おちやいさんはMACCAが…)