10月1日(火)
映画「地獄でなぜ悪い」を観て来ました。
俺は園子温監督のファンだとか、出演者のファンだとか、ストーリーが面白そうとか、そういうことは実は何もなかったんです。
寧ろ予告編もフライヤーも一度も観てなかったし、誰が出るかなんて一人も実は知らなかったです。
ただなんとなく「地獄でなぜ悪い」って映画があるって聞いて、タイトルだけで何となく強く惹かれるものがあってこれに決めました。
なので、完全に予備知識ゼロの状態で見に行った訳です。
結論から言うと最高でした!
恐らくこの映画を見たことは今後の自分の人生に強く残ると思います。
映画見ながら「あ、この人出てるんだ!」って初めて知る感じなんですけど、それが本当に好きな役者さんばかりでした。
これだけ何も知らずに見た映画に、自分が求めていたものが詰まっていたという幸福な体験は、なかなか出来ないでしょう。
なので、是非とも皆さんにも予備知識ゼロで見ていただきたい!
以上!
…というのもアレなので、感想をちょっとばかり書いていこうと思います。
ネタバレを防ぐために予告編で言ってること以上の情報は書かないよう心がけますが、心配な方は飛ばして下さい。
えーと、この映画は、対立する二組のヤクザがいて、片方の組長の娘を主演に映画を撮影することになると。
そこに全然売れてないけど超映画バカの男が巻き込まれ、最終的に本当のヤクザの抗争を映画として撮影してしまう、というとんでもないストーリーです。
まず素晴らしいのが、清々しいほどにバカしか出て来ないんですね。
みんな突き抜けてます。
ヤクザの組長は、抗争そっちのけで娘の主演映画を撮ろうとするほどの親バカで、
それを撮影することになった男は、本物のヤクザの殺し合いに嬉々としてカメラを回す映画バカで、
対立するヤクザも、「カッコよく撮ってくれよ」とキメ顔になるようなバカで、
さらに、組長の娘(やたら格好よくて最強)に、巻き込まれてしまっためちゃくちゃ情けない男は、何故かこのとんでもない事態に最後まで突き進んでいくという、これまたバカな話で、どこまでもみんなバカです。
で、素晴らしいのが、役者さんが本当に楽しそうなんですね。
強烈なキャラクターをこれでもか!と全力で演じていて、どのキャラクターも本当に格好良く、魅力的でした。
キャラクターもストーリーも強烈なら映像も強烈で、最初から最後まで笑いと興奮が止まりませんでした。
アクション映画、ヤクザ映画、そして青春映画、あらゆる映画の面白さがこれでもかと詰め込まれていました。
はっきり言って、この作品はB級コメディです。
が、ただのB級コメディにとどまらず、人の心を熱くさせ、感動させる映画になっているのは、根底に映画に対する尊敬の気持ちがあったからだと思います。
そして、その映画への尊敬の気持ちを、本編の登場人物の一人である映画バカの男の生き方が最も強く体現していたと思います。
とにかく派手なアクション映画が好きで、「最高に面白い映画が撮れたら死んでもいい」という気持ちで10年間売れなくても全力で映画を撮り続ける男。
本物のヤクザの抗争を命懸けで撮影すると知った時も、「映画の神様!」と狂ったように喜ぶ。
その情熱には、時にヤクザまでもが身じろぎ、心を動かされるほどです。
これほどまでに好きなものに対して純粋で、作品を作るという行為に対して全力になれたら、本当に人生幸せだと思いますよ。
いや、こんなヤバい奴が現実にいるかよって感じではありますが、でもいて欲しいなって思います。
これはあの感じだ、僕が初めて涼宮ハルヒの憂鬱を読んだ時に、こんな奴現実にいるかよ!って思いながらも、でもたとえフィクションの中でも楽しいものに対して全力で生きてる人がいることが嬉しかったってのがあるんですけど、その感覚に似てますね。
こんな奴がいたっていいじゃん!っていう。
あと、その映画バカを演じる長谷川博己さん(クールなイメージがあったんですが爆発的にハイテンションな男を熱演しています)、常に両目をカッと見開いた姿が誰かに似てると思ったら神聖かまってちゃんのの子さんだった気がします。
の子さんもまた、清々しいほどにバカで全力なアーティストですからね。
そして、こんなに全力でバカな映画を撮れる人が日本にもいたんだと思うと嬉しくなりました。
園子温監督こそ、本物の映画バカですね。
という訳で、この映画は僕が今後の人生の中で創作活動を行うにあたって、非常に重要な意味を持つ映画になりそうな気がします。
ってことを、いつか僕が売れたら園子温監督に直接言えたらと思います。