
6/21(月)、シネ・ウインドで「海辺の彼女たち」を観てきました。


シネ・ウインドの掲示板には、新聞に掲載されたこの映画の記事が貼ってありました。
予告編はこちら。
ベトナムから技能実習生として日本にやってきた3人の女性達が、過酷な労働環境から脱走し、とある漁村で、新たな職場で働き始めようとします。
しかしそれも違法な労働であり、彼女たちは闇のブローカーや偽の身分証などに高額のお金を取られ、超低賃金で、倉庫のような場所で寝泊まりをさせられるという、人として最低限の生活も保障されない日々を生きます。
3人が職場で理不尽に怒鳴られる場面は、自分の過去のブラックな仕事を思い出したりして、見ているだけでつらかったです。
でも考えてみれば、自分の場合は転職すれば良かったというだけの話なのであって、彼女達は帰れる故郷もなく、身分を隠しながら、低賃金でも仕事をしないと今日、明日を生きていくこともできない…と考えると、もう本当につらかったです。
特に、3人のうちの1人が体調不良となり、病院に行くけど保険証がないから診察できないという場面は本当に、こんなつらいことがあるのか…と思ってしまいました。
さらに、病院を受診するために偽造の保険証を手にする必要が出てくるのですが、そこでまたさらに高額のお金を取られ、ただでさえ超低賃金しかもらえていない彼女はさらに追い詰められていきます。
しかも、その病院で、もうネタバレだけど書いてしまうと妊娠が発覚するという驚きの展開で、おそらくその子供の父親となる男性はまったく責任を取らないんだなあとか、この先どうやって出産して暮らしていけばいいのかとか、本当に見ているだけで悩まされてしまいました。
それでも、なんとか助け合って生きていこうと言い合った3人が、明日には何の希望も見えない夜を、それでも眠りにつくというラストに、絶望と悲しみと、それでも生きていこうとする彼女達の生命力に、言葉にならない気持ちになった映画でした。
また個人的に、少し前に技能実習生の実態を追ったNHKのドキュメンタリーを見ていたので、実際にこんな現実が、いやもしかしたらこれ以上に過酷で理不尽な現実があるんだろうなあ…と思わされてしまう映画でした。
確かにこれはフィクションの映画ではありますが、鬼気迫る役者さん達の演技と綿密な調査に基づいていると思われる脚本によって、日本で暮らす不法滞在の外国人の方々の理不尽で過酷な実態が本当にドキュメンタリーのように生々しく伝わってくる映画でした。