舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

ままごと『あゆみ』観て来ました。 Part 2

2012-05-13 23:42:40 | Weblog
ままごと『あゆみ』の話。PART 2





一つ前の記事「ままごと『あゆみ』観て来ました。 Part 1」の続きです。
4/25(水)に新潟で観劇した、ままごとの「あゆみ」



前の記事に書きましたが、ままごとの「あゆみ」は、8人の女性が順番に一人の女性「あみ」の人生を演じていくお芝居だって話をしました。
で、あみの、人生の色々な場面を描きながら、あみは大人になり、「あゆみ」という娘が生まれるのです。



物語の後半になると、冒頭と同じような8人の役者による言葉の掛け合いが始まる。
それはやはり、主人公「あみ」が、自分の中にいる何人もの自分と語り合っているような印象。

そして、今までに出てきたシーンの断片が、時系列もバラバラに次から次へと登場する。
そんな中登場する、新しいシーンでなおかつ抽象的でないシーン。



「あみさん、ちょっとどこに行ってたんですか?」

「ちょっと昔まで」



ここで気付く訳です。
ああ、あみはもうおばあさんになったということに。

もしかしたら、認知症になったのかもしれない。
(認知症の人は、最近の記憶は失くしてもずっと昔のことは覚えていて、今をその時だと思い込んでいることがある。)



その後、舞台のいたるところで色んな過去のシーンの断片が繰り広げられる中、舞台中央には照明の光が一本の道のようなものを照らし出す。
その光の道を、一人の女優さんが一歩ずつ歩いて行く・・・

その光の道を歩いている「あみ」こそが、この物語の中での現在のあみであることは、誰でも気付くと思います。
そしてその歩みは、あみが「死」へと一歩ずつ近づいて行くものであることにも。

周りで演じている沢山の昔の「あみ」は、きっと走馬灯というやつなんだと思います。
そう、あみは確実に死へと向かっていく。それは誰にも止められない。



1時間40分の間に「はじめの一歩」から「最期の一歩」までを描いた物語。
完璧すぎるラスト、全編通して美しすぎる台本です。



そして気付くのです。
「はじめの一歩」も「最後の一歩」も、同じ一歩に変わりないことに。

人は毎日歩く。
それは人生を生き抜いていく生命力に溢れた歩みであると同時に、死へと確実に向かう歩みである。

生きる事と、死に向かう事は、実はほとんど同じ事であるということ。
それが、人間の「あゆみ」に焦点に当てることで見えてくる。



その所為なのか、この舞台が終わった瞬間、何故か泣いている自分に気付きました。
それは悲しくて泣いたような、嬉しくて泣いたような、不思議な感覚でした。

この舞台の感想を端的に言うと、「人間のすごさ」です。
ただ一人の女性が生まれて死ぬまでを描くことが、こんなにも感動的でドラマッティックなのかという、人間のすごさ。

そして、何もない限られた空間、100分という限られた時間の中で、人間の一生を描いてしまうすごさ。
作・演出の柴さん、そして8人の役者さん達の、人間としてのすごさ。




アフタートークに参加していきました。
で、この物語の作・演出で、ままごと主催の柴さんに「この物語を考えたきっかけは?」と訊かれて。



柴さん「ある舞台を見て、同じ動きをしている二人の役者が、ふと同じ人間に見えたんです。その時、これを使えば、同じ人間を何人もで演じられないかなって思ったことから考えを膨らませて書きました」



一つのちょっとした発想を、どこまでも掘り下げて、最終的に人間の一生までも表現してしまう柴さん。
マジリスペクト!



そして、このお芝居の稽古は、まず台本があり、誰がどこを演じるかは決めずに、稽古しながら決めていったとのこと。
柴さん曰く、柴さんの頭の中には完成図があり、その図にするために、役の入れ替えも何度も行ったそうです。



終演後、客だしの時に会場の外に役者さん達や、柴さんが普通に立っていました。
その中で、真嶋一歌さんという役者さんとお話しすることが出来たので、稽古について聞いてみました。



真島さん「あれは最初に全員が台本を一冊全部覚えて、稽古中にどの役と入れ替わってもいいようにしたんですよ」



マジリスペクト!!



因みに、柴さんに対する「台本が描けない時はどうしますか?」という質問に対しては、



柴さん「布団とかに寝て「うううううう」って一人で唸ってます。そのうち書かなきゃいけなくなって、しぶしぶ書き始めます」



なんか和むぜ。





そんな訳で、柴さんの脚本・演出も、役者のみなさんの演技も、本当に素晴らしい舞台でした!
ありがとうございました!!






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