舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

時代を駆け抜けていく表現者達の、時代を超えて繰り返される青春について。

2022-03-07 13:45:27 | Weblog


この前、2018年にシネ・ウインドで観た「止められるか、俺たちを」を久し振りに見返しました。
挑戦的なピンク映画を撮っていた若松孝二監督とその仲間達で結成した若松プロの青春を実話を元に描いた映画で、実際に若松孝二監督の弟子だった白石和彌監督と井上淳一監督がそれぞれ監督と脚本を担当しています。

白石和彌監督は、ヤクザ映画の「孤狼の血」や新潟ロケの暴力映画「32/サニー」、深い人間ドラマの「凪待ち」や「ひとよ」、コメディの「麻雀放浪記2020」など、どんなジャンルでもガツンとくる見応えがあって面白いのですが、僕はこの「止められるか、俺たちを」が一番好きです。
また、井上淳一監督の作品も、朝鮮人差別を描いた「アジアの純真」や、震災後の福島の農家と若者達の交流を取材した「大地を受け継ぐ」や、日本国憲法をテーマにした演劇を追った「誰がために憲法はある」など、劇映画でもドキュメンタリーでも映画で社会問題に立ち向かう姿がすごく好きなのですが、やっぱり「止められるか、俺たちを」が一番好きです。

そのくらい好きな映画で時々見返したくなるのですが、そこそこ有名な映画なのに何故かどこのレンタルショップにもDVDがなく悲しい思いをしていたところ、GYAO!の無料配信を発見!
というわけで、念願叶ってまた観ることが出来て本当に嬉しかったのですが、あらためて好きな映画だなあと思うと同時に、新たな発見もたくさんありました。

「止められるか、俺たちを」の舞台は1969~70年、学生運動の熱狂も強く、まだ若者文化がサブカルチャーではなくカウンターカルチャーだった日本。
そんな混沌とした時代を、映画という表現で社会に立ち向かおうという想いで集まった若松プロの若者達が駆け抜けていったのかと思うと、素直に憧れます。

映画という作品を作るのも、それを社会に届けるのも決して簡単なことではなく、それでも時には酔っ払ったり喧嘩をしたり恋もしたりしながら、映画という表現に賭けていた人達の泥だらけの青春があったと思うと胸が熱くなります。
また、映画以外にも、赤塚不二夫や三島由紀夫が登場したり(三島由紀夫は切腹してしまったけど)、とにかくこの時代の若者文化の熱量への憧れが強く(例えば同じ時代に新潟で活動していた新潟現代美術家集団GUNとかも大好き)、今でもこの時代の若者達のようにパンクに生きていたい自分がいます。

そんなめちゃくちゃな男達の世界に、門脇麦さん演じる主人公のめぐみは女性でありながら、助監督として飛び込んでいきます。
しかし、井浦新さん演じる若松孝二監督というカリスマの元、めぐみは自分の才能の無さに苦悩することになります。

途中、初めて自分の脚本を書き上げた場面など思わず感情移入してしまうくらい大好きなのですが、その後、めぐみは自殺してしまいます。
若松孝二監督は2012年に亡くなってしまいましたが、白石監督と井上監督は当時の記憶と先輩達への取材を元に描いた映画なので、登場人物は全員実在の人物で、めぐみの自殺も実話らしいですが、亡くなっているので未だに不明な点が多く大変だったそうです。



で、そんな50年以上前に映画を撮っていた人達の映画を見て思い出したのは、10年以上前に自分が青春を過ごした松本での演劇の思い出でした。
当時は右も左も分からない状態で、それでも必死に演劇をやろうと劇団の仲間達と必死にもがいていた松本での日々は、たった2~3年だけとは思えないくらい本当に濃い時間でした。

同時に、僕は松本で演劇を頑張り続けることに挫折して、演劇を休止して新潟の実家に帰ってきた人間なので、映画に挫折しためぐみの気持ちも今なら分かる気がするんですよね…
僕はめぐみのように自殺はしなかったので、それから数年後に新潟で演劇以外の表現を見付けることが出来たのですが、もしもめぐみがあのまま死ななかったら何をしていたのだろうか、なんてことも考えてしまいましたね。

そんな感じで、若松プロの青春と自分の松本での青春を重ねていたら、もしかしたら昔も今も時代は違っても、映画や演劇やお笑い、バンドやアイドルなど様々なジャンルで、表現活動をする若者達の青春は繰り返されているのかもしれないと思いました。
例えば昨年放送された僕が大好きなドラマ「コントが始まる」は、まったく売れないコントユニットの青春ドラマでしたが、毎晩深夜のファミレスでネタを考えている場面など、自分も松本で体験したことそのもので、思わず共感してしまう場面がたくさんありました。





で、そんなことを考えていたタイミングで、僕がまさに青春を過ごした松本の劇団、BLUESの次回コントライブの公演情報が公開。
さらに、なんとBLUESと親交のある長野市の劇団ココロワの鈴川さかなさんが大学の卒業制作で作ってくれたという、BLUESのドキュメンタリーも公開されました。





さっそく見てみたのですが、BLUESの良さも、鈴川さかなさんのBLUESを好きな気持ちも伝わる素敵なドキュメンタリーでした。
今でも頑張っている彼らを見られて嬉しかったし、こうしてBLUESを応援してくれる人がいるのも嬉しかったですね。

そんな感じで、またBLUESに会いたくなったのですが…そろそろ松本まで行ってもいいんでしょうか。
コロナ禍になってから県外への移動にはかなり慎重になっているのですが、松本で行きたい場所や会いたい人がたくさんあるわけで、そろそろ行きたいのですが…どうなんでしょうか。

一度は演劇に挫折して、松本から新潟に移り住んで10年経ち、今では個展やトークイベントなどの自分の表現を見付けることが出来たので、今度はその作品を新潟から松本に持って行きたい、松本で自分のイベントを企画したいということを密かにずっと思っているのですが、そのタイミングでコロナ禍に突入してしまったので、未だ実現できずにいます。
また、松本から新潟に帰る時、どうなるか分からなかったのでBLUESに一応まだ名前を残したままになっていて、完全に辞めるタイミングを失っているのですが、自分にとってBLUESとの一つの区切りとなるイベントをやりたいのですが…今年こそ出来るといいなあと密かに思っております。





そんな感じで、3/6(日)は、電車で見附のギャラリーみつけへ行ってからの、加茂でオヤナギくんと再会という、自分では珍しいくらい充実した一日でした。
さらに出かける前に見た「止められるか、俺たちを」のことを考えていたら、帰宅後はBLUESの公演情報どドキュメンタリーが公開され、物凄くロックな気持ちになってテンションが上がっていました。

そんな感じで色々あって忙しかった日曜日でしたが、無事に今週の日曜日のカレーを食べることが出来たので、このまま安定して充実した毎日を過ごしていきたいですねえ…
というわけで皆さんお疲れ様です!日曜日のカレーです!
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