昭和21年2月。人々の殺到する闇市に常子達は来ていた。この頃、鞠子は失職し、再就職も叶わない状況だった。君子と美子は自宅で縫い物をして働いていたが稼ぎは少なく、常子の貸本業が小橋家の主な収入源となっていた。食糧の調達もままならないまま、闇市の食堂で粗末な食事を分け合って食べていると「ここにいたのか」鉄郎が合流してきた。鉄郎は食糧を手に入れていた。鉄郎は餓死者の話をしていたが、唐突に薄利の貸本を辞めろと言い出した。常子は驚いたが「叔父さんは男だからわからないんですっ!」鞠子は女が今、仕事を探すのは大変と激怒し「わかったよ」渋々ではあるが鉄郎を引き下がらせた。と、近くでカストリ誌の売り出しが始まり、娯楽に飢えた人々によって雑誌は飛ぶように売れていた。鉄郎は一転、本を作って売れと言ったが常子一人では身動きがとれなかった。
後日、出勤すると甲東出版の前で「金を出せ」背後から目をそっと塞がれた。「五反田さん?」すぐ気付く常子。「何だ、わかっちゃったか」笑う五反田。「お帰りなさい」喜ぶ常子。五反田は内地で速記や上官の風呂の世話をしている内に終戦を迎えたらしい。谷達も直に戻るという。社印を五反田に返す常子。「ありがとう」五反田は確かに受け取った。
2ヶ月後、谷達は戻り、社印は五反田から谷に返され、密かに書き溜めていた五反田の連載小説を目玉に『新世界』の7月の再発行を目指し、甲東出版は動き出した。しかし、常子の期待した新企画は一先ず持ち越しとなり、五反田はそのことを気に掛けていた。
一方、目黒の家では未だに仕事の見付からない鞠子が『瞑想』を始め、「もっと金を稼ぐことを真剣に考えろ」と職業不詳の鉄郎に説教される常子。そこへ「お久しぶりです」男児を連れた貧しい身なりの女が訪ねてきた。綾だった。
・・・結構、皆無事。苦労しているようだが綾は前よりいい顔になっていた。戦後編は基本、明るくいくようだ。
後日、出勤すると甲東出版の前で「金を出せ」背後から目をそっと塞がれた。「五反田さん?」すぐ気付く常子。「何だ、わかっちゃったか」笑う五反田。「お帰りなさい」喜ぶ常子。五反田は内地で速記や上官の風呂の世話をしている内に終戦を迎えたらしい。谷達も直に戻るという。社印を五反田に返す常子。「ありがとう」五反田は確かに受け取った。
2ヶ月後、谷達は戻り、社印は五反田から谷に返され、密かに書き溜めていた五反田の連載小説を目玉に『新世界』の7月の再発行を目指し、甲東出版は動き出した。しかし、常子の期待した新企画は一先ず持ち越しとなり、五反田はそのことを気に掛けていた。
一方、目黒の家では未だに仕事の見付からない鞠子が『瞑想』を始め、「もっと金を稼ぐことを真剣に考えろ」と職業不詳の鉄郎に説教される常子。そこへ「お久しぶりです」男児を連れた貧しい身なりの女が訪ねてきた。綾だった。
・・・結構、皆無事。苦労しているようだが綾は前よりいい顔になっていた。戦後編は基本、明るくいくようだ。