介護職員が不幸な事業所は間違いなく利用者さんも不幸です

2014年11月14日 | 日記

月刊誌「潮」12月号で、『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者である坂本光司さんと、東レ経営研究所特別顧問の佐々木常夫さんが、「社員を幸せにする会社は社会を幸せにする」というテーマで対談をしています。

このテーマを見てすぐにかつて勤務していた老人ホームを思い出しました。夜勤や早番遅番のある勤務で、やれ委員会だやれ行事の準備だ、やれ入居者の外出だなどと、手当の出ない労働が多く、子どものいる人は(特に女性です)家のこともできずに家族に負い目を感じ、仕事に振り回されて疲れ切っていました。もう少し配慮してほしいと思い切って申し出た同僚は介護部長からこう言われました。

「いいこと教えてあげましょうか?」「外食するのよ!そうするとラクよ!」

同僚は内心思いました。この給料で外食ができるか!アホ!

子どもにきちんとした食事をさせてやりたいという労働者からの真っ当な申し出に介護部長はこう返しました。

「あなた、教育がなってないわよ!」「あなたの子ども、お湯ぐらいわかせるんでしょ?カップラーメン食べればいいのよ」たぶん内心(なんてグッドアイデアなの!この職員そんなこともわからないのかしら?バカね!)と思ったはず…

出張で県外に行き、施設長や介護部長といっしょに食事をした職員は、高給取りの幹部が自分たちの感覚で高い店に入ったため、お金が途中で足りなくなりコンビニで慌ててお金をおろす羽目になりました。

社員を不幸にする会社は社会も不幸になります。

特養は今やり玉にあげられていて窮地に立たされています。みんながみんな私が勤務していたような施設ではないと思います。良心的でまっとうな施設だってもちろんあるはずです。それでも多くの施設が社会福祉法人としての存在を厳しく問われているのだと思います。働く職員を駒とみなして使い倒し、その不幸の上に立つ社会福祉法人なら必要ありません。そういう施設は入所者さんも人間扱いしていません。断言。

さて、坂本さんと佐々木さんの対談ですが、佐々木さんが面白いことを言っています。講演をすると一瞬でいい会社かどうかがわかるそうです。佐々木さんがなにか冗談を言ったとき、いい会社は社長や会長がいる前でも社員はドッと笑うということです。トヨタの社員はまったく笑わないらしいです。私が異動した先の施設では、こういう場合職員はトップの顔をまず見ていました。このような会社は他にもあるのでは?

坂本さんは「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」という表彰制度を作っているそうです。大企業部門と中小企業部門があり、中小企業部門は賞を贈りたい会社がたくさんあるのに、大企業は昨年、該当なしだったそうです。大企業は福利厚生がしっかりしていて待遇が良く、中小はブラックが多い、なんて思っている人から見たら意外な結果かもしれません。

申請基準は厳しく、リストラしていない、仕入れ先に一方的なコストダウンを強いていない、障がい者の法定雇用率を満たしているなどが問われます。

障がい者の雇用といえば、意外に思うかもしれませんが、老人ホームにはけっこう障がい者の方が働いています。もちろん、私が勤務していた施設にもいましたよ。知的障害の方が。耳を覆いたくなるような罵詈雑言をトップ自らがその人に浴びせていました。他の職員の前でも容赦なかったです。なんのための障がい者雇用?とりあえず雇用すればご褒美がもらえるのかな?にしてもひど過ぎる…なぜここまで?と疑問に思い、一度思い切ってその障がい者の方に話しかけてみました。手振り身振りでようやく少し会話ができました。支援なしでの就労は無理なのです。

地獄か戦場のようなかつての職場を思い出してつくづく感じます。

社員を不幸にする会社はすべてを不幸にするって。

 

 

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