(写真・労働相談セミナー「実践!労働相談講座」)
2012年労働相談の特徴
NPO法人労働相談センター
2013年2月5日
1.相談件数が過去最高
2012年の相談件数は、前年を151件上回る7775件(月平均648件)になり、過去最高になった。そのうち月間相談数が800件を超えたのが2ヵ月、700件を超えたのが3ヵ月あった。
2.相談ルート
相談ルートは98.6%がインターネット(ホームページ)経由であった。
3.「賃金」、「解雇」、「いじめ嫌がらせ」の3大相談内容が定着
相談件数第1位「賃金」、第2位「解雇」という相談センター発足以来長く続いた構図が「解雇」第1位、「賃金」第2位に逆転したのが2008年9月のリーマンショックであった。2010年12月ころから「賃金」、「解雇」が競合するようになり、「いじめ嫌がらせ」相談の増加・高止まりとあいまって3大相談項目の定着となっている。
4.電話相談が依然として高水準
電話相談が6割、メール相談のほぼ2倍である。相談内容が複雑でメールでは書ききれないため、電話による口頭での相談を選んだこと、さらに問題が緊急で差し迫っていることがメール相談に比べ電話相談を多くさせていると考えられる。
5.相談者の雇用形態
相談者の雇用形態は例年の傾向だが、正社員が圧倒的に多く全体の65%を超えた。そのほかではアルバイト8.3%、パート6.9%、契約社員6.4%であった。
6.来所相談者が高水準
来所相談者は381件であった。09年209件、10年258件の増加に続き、11年の385件とともに高水準を維持した。全相談に占める来所者の率でも3%台から5%近くに増えている。これは、相談者の解決への意欲と私たちの呼びかけの強化によるものと思われる。
7.日曜労働相談
1年間で日曜労働相談を45回開催、354人(1回平均7.9人)のスタッフ(労働相談ボランティア207人を含む)で、1051件(1回平均23件)の労働相談に対応、回答した。
8.相談の増加が意味するもの
これらの相談の特徴は、長年にわたる政府・大企業の構造改革政策がワーキングプア、非正規労働者を大量に生み出し、低賃金、無権利などの労働環境劣化を持続させ、ますます強まっていることを示している。
また相談の増加は、労働者の不幸、苦悩、抑圧が増加していることの反映に他ならないが、それ以上に泣き寝入りせず解決を求め闘う労働者が増加していることを示している。そこに私たちの希望がある。
9.アクセス数とサイト検索、相談回答累計
NPO法人労働相談センターのホームページアクセス数が年末で147万件を超えた。「労働相談」というキーワードでのグーグルのサイト検索では、労働相談センターは1位が2ヶ月、2位が7ヶ月、3位が2ヶ月であった。相談回答の累計は7万件に迫った。
10.ホームページの全面リニューアルの失敗
昨年7月、あるプロボノ組織(社会運動専門家集団)に協力願って、ホームページの全面リニューアルを行ったが、アクセス数、相談件数とも激減したため、やむを得ずもとのホームページに戻した。それでも7、8、9月の3ヶ月は減少が続き、やっと10月以降復調した。結果として相談活動に多大な損失をもたらした。総括としては、①専門家に丸投げ、すべてを「任せる」思想はダメ、②更新にあたっては、継承する面と改善する面を分析し、徐々に更新すべきで、一挙に全面リニューアルはやるべきでなかった、③対応当事者が更新することが基本、④「ホームページ制作委員会」を立ち上げ、SEO作業などHP内容の多様化、改善をはかっている。
11.労働相談ボランティアの登録人数が330人に
労働相談ボランティアの登録人数が330人に達した。今日ではもう労働相談ボランティアの活動なしには日曜労働相談、メール・電話・面接相談などない。
12.「支える会」運動など
「NPO法人労働相談センターを支える会」運動や『労働相談全国ガイドブック』の作成、活動家養成講座、働く者の労働出張講座などにさらに力を入れていきたい。