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速報 「偽装みなし労働」残業代請求裁判でHTS支部に勝利判決!

2010年05月11日 17時08分19秒 | 添乗員・旅行業界

(写真:勝利判決をうけ、裁判所前で。HTS支部組合員、本部スタッフ、傍聴の仲間と)

阪急トラベルサポートは
不払い残業代請求額全額をただちに支払え!
同額の付加金(ペナルティ)も支払え!
みなし労働時間制は適用できない!

画期的・歴史的判決でる!

2008年10月に提訴した「偽装みなし労働」残業代請求裁判第3陣(原告:豊田組合員。対象は国内宿泊旅行)の判決公判が5月11日、東京地裁で行われました。その冒頭、裁判長から組合勝利の判決が通告されたのです。

会社の主張は全面的に否定されました。

裁判所は、派遣添乗員への「みなし労働時間」の適用は認めないと明確に指摘し、未払い残業代請求に対して、なんと請求額全額の56万2930円の支払いを命じると共に最高額の付加金(ペナルティ)として、請求額と同額の56万2930円の支払いも命じました。

請求額の全額とともに最高額の付加金(ペナルティ)の支払いを命じたことは、会社に対する裁判所の怒りと言えるほどの厳しい判決です。

判決文の中で裁判所の判断として、冒頭に、「会社は、時間外労働に対して割増賃金支払い義務があるのだから、就労場所が事業場外であっても、原則として、従業員の労働時間を把握する義務がある。客観的にみて労働時間を把握・算定することが可能であれば、事業場外でも労働基準法38条の2第1項(みなし労働時間制)の適用はない」と明確に述べています。

「添乗マニュアル」、「行程表ないし指示書」、「ツアー当日のモーニングコール」、「添乗報告書ないし添乗日報の行程記入欄の着時刻・発時刻を分単位で記入」等で労働時間は客観的に把握できると言い切ります。

そして、労働基準監督署の指導にも従わず、過去の残業代を支払わない会社を厳しく糾弾するために最高額の付加金(ペナルティ)の支払いを命じています。

阪急トラベルサポートをはじめすべての会社は、添乗員への「みなし労働時間制」適用をただちに中止し、残業代を支払うべきです。

いい加減に、添乗員をいじめるのはやめてください。
裁判所の判決、労基署の是正勧告指導に抵抗することはただちにやめてください。

会社は判決に従え!
過去分も含めて全添乗員に残業代を支払え!

***********************************************************************

2010.5.11
阪急トラベルサポート残業代請求事件判決文(概要)

判決
主文
1、残業代請求額全額の56万2930円を支払え
2、(付加金)56万2930円を支払え

判決理由
1.労働基準法38条の2(みなし労働時間制)は適用できない
(1)会社は、時間外労働に対して割増賃金支払い義務を負う地位にあるのだから、就労場所が事業場外であっても、原則として、従業員の労働時間を把握する義務がある。
客観的にみて労働時間を把握・算定することが可能であれば、事業場外でも労働基準法38条の2第1項(みなし労働時間制)の適用はない。

(2)「添乗マニュアル」、「行程表ないし指示書」、「ツアー当日のモーニングコール」、「添乗報告書ないし添乗日報の行程記入欄の着時刻・発時刻を分単位で記入」、「夕食・朝食の記入」、「深夜割増賃金支給は添乗報告書を参考にしている、国内旅行は自己申告により就労時間の把握の取り組みを開始している」

以上を総合して、派遣添乗員の労働時間を把握することは、社会通念上可能である。

2.未払い賃金請求権について
(1)就労時間
ア 遅くとも出発日は集合時間の30分前に就労している。翌日以降も朝のバス出発時刻には就労している。宿泊日は、少なくても夕食がバイキング形式の場合はホテル帰着時まで就労している。

宴会方式の場合は、宴会終了時まで就労している。帰着日は解散場所到着時刻の15分までは就労している。

イ ツアー参加者に常に同行するから、始業時間から終業時間までの間の時間は、旅行会社の指揮命令下に置かれているから、すべて労働時間だ。
会社の「旅行会社の指揮命令から解放されている時間帯があるとか添乗業務が断続的な就労であるかのごときの主張」は採用できない。

(2)算定賃金額
算定賃金額は日当を8時間で控除した額である。

3.付加金
会社は労働基準監督署の指導にも従っていないし、国内旅行の就労時間の把握もいまだ「試験的」の位置づけを崩していないから、労働基準法第37条に従った過去分を支払う姿勢がない。
従って付加金の支払いを命じる。

東京地方裁判所民事11部 裁判官 鈴 木 拓 児
平成22年5月11日

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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おめでとう (松元ちえ)
2010-05-11 17:57:43
塩田さん、HTS支部のみなさま、
全面勝訴おめでとうございます。勝利判決を一緒に聞けなかったのが残念です。
長い闘いだったけど、その甲斐あってよかったですね。この判決をもって、全国で搾取されている添乗員さん、全員の労働条件が改善されることを望みます。
うれしいニュースは何度聞いてもいいですね。
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Unknown (Unknown)
2010-05-11 23:54:09
おめでとうございます。他社の者ですが、トラサポさんの言っていることは、いずれ、通らなくなるだろうなと、うすうす感じていました。これを機に、全ての派遣会社の改善が進むことを願っています。だって、これ以上のはっきりした法は、ないんですから。
返信する
全国の各紙が一斉報道 (本部スタッフ)
2010-05-12 06:15:44
読売・朝日・毎日
の他に以下の全国各紙が一斉に報道しました。
デイリースポーツ
東京新聞
河北新報
下野新聞
徳島新聞
山形新聞
静岡新聞
京都新聞
東奥新聞
西日本新聞
熊本日日新聞
大阪日日新聞
佐賀新聞
北国・富山新聞
茨城新聞
岐阜新聞
新潟日報



東京新聞 5月12日
派遣添乗員にみなし労働不適用 残業代全額の支払いを命令

 阪急トラベルサポート(HTS、大阪市)が「事業場外みなし労働制」の適用を理由に残業代を支給しなかったとして、派遣添乗員豊田裕子さん(52)が未払い分に付加金を上乗せした計約110万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁の鈴木拓児裁判官は11日、請求を全面的に認めた。

 事業場外みなし労働制は労働基準法で定められ、会社の指揮・監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなされる制度。

 判決理由で鈴木裁判官は「HTSは派遣添乗員にマニュアルで業務を詳細に指示してツアーを管理し、モーニングコールで遅刻を防ぐ措置なども講じており、労働時間は把握可能だ」と指摘、制度の適用条件を満たしていないと結論付けた。

 その上で「派遣添乗員には制度が適用されないとする労働基準監督署の指導にも従わず、過去の割増賃金を支払う姿勢がない」とHTSを非難。労基法の規定に基づき、悪質なケースに当たるとして未払い分約56万円と同額の付加金も認定した。
(共同)
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会社側は (岩井のやまのい)
2010-05-12 17:10:50
 ただいま、この記事を拝見しました。
 会社側は言い訳せず、この判決内容を履行してほしい。
 外部の立場ではありますが、引き続き、関心をもって。
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傍聴しました (望月吉春)
2010-05-12 19:52:30
 画期的な全面勝利の翌日、別件ではありますが、阪急トラベルサポート証人調べを一部傍聴しました。一部というのは、午前10時30分から昼休みを挟んで、午後5時までの予定だったので、昼で帰ったからです。

 かつて阪急側が「傍聴席占領」を行ったことから、こちらの早い人は9時から法定の廊下で待機していました。そのとき添乗員さん同士が話しをしていたのですが、「休憩時間なんてない」という話に妙に納得。なにしろお客さんを全てバスから降ろして、昼食の世話をして、となれば、10分ほどでご飯を書き込んで、バスに戻って、運転手さんやガイドさんとの調整、戻ってきたお客さんの出迎えとなるわけですから、労基法の「8時間を超えた場合60分の休憩」なんて死語ですよね。
 証人のEさんも「大病をして海外添乗員をしなかった時期」というのも変に納得してしまいました。しかし証言内容はもっと過酷。24時間高速で、客の世話を焼き続けるわけですし、少しでも「ホット」しようものなら、たちまち「お客様アンケート」でたたかれる。
 会社側の反対尋問も、結果的には過酷な仕事内容の証言を突き崩すどころか、証言を塗り固めたものになりました。
 一昔前に流行った「いい仕事してますね。」を感じさせる証言でした。
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おめでとうございます (オーストラリア労働者)
2010-05-13 00:05:43
完全勝訴おめでとうございます。
労働法制史に残るすばらしい判決です。会社側が判決を受け入れ速やかに判決を履行することを願っております。
全国の労働条件に苦しむ添乗員さんたちが声をあげるきっかけとなればと思います。

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!!!!!! (元CT添乗員)
2010-05-13 13:02:52
おめでとうございます!
添乗員辞めて数年たちますが、労働条件が整っていればまた復帰したいのになと興味を持っています。
旅行業界の汚い部分が浄化されることを望みます。
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おめでとうございます! (国内添乗員)
2010-05-13 15:39:03
よかった!
全額認められたということは、もちろん新幹線やバスに乗っている時間も請求に入っていて、それも当然ですが、法律で認められたということですよね!
みなしが撤廃されたら交通機関分が減らされるという噂を聞いて不安でしたが、そんなことになるわけないですね。
それにしてもすごいことです!
ご苦労様でした。
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Unknown (Unknown)
2010-05-13 15:58:14
次は海外添乗ですね!でも、働く様態は一緒だから、同じでしょうね。
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おめでとう すばらしい!!! (ACW2 伊藤)
2010-05-13 17:18:18
みなさん、新聞見ましたよ。派遣添乗員の問題、本当に気になっていました。それが見事な勝利を勝ち取っていただいて、勇気百倍です。
大変な闘いを続けてきた組合員のみなさま
ありがとうと感謝の気持ちでいっぱいです。
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