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全国一般東京東部労働組合の記録

<東部労組声明>労働契約法20条を武器に非正規労働者は差別反対の声をあげよう!

2014年08月07日 09時00分45秒 | 労働組合

全国一般東京東部労組執行委員会は、労働契約法20条と非正規労働者の闘いについて、以下のとおり声明を発表しました。

全国一般東京東部労組執行委員会 声明
2014年8月5日

労働契約法20条を武器に非正規労働者は差別反対の声をあげよう!

 今年5月1日のメーデーに、東京メトロ駅売店の非正規労働者らでつくる東部労組メトロコマース支部は、正社員との差別をなくすために雇い主である東京メトロ100%子会社のメトロコマースに対し、過去3年分の賃金差額など約4250万円を求める訴えを東京地裁に起こした。昨年4月に施行された労働契約法20条を根拠にした全国初の裁判である。

 東部労組メトロコマース支部の仲間は、正社員と同じ売店で同じ仕事をしているにもかかわらず、1年以内の細切れの有期契約を約10年にわたり反復更新してきた。正社員のように年齢や経験とともに上昇する賃金ではない時給制で、フルに働いても月の手取りは13万円程度。正社員に支給される各種手当はなく、賞与もわずかで、年収差は少なくとも200万円を上回る。

 また、何年働いても退職金は1円も出ない。今春65歳の定年退職に追い込まれた勤続10年の加納組合員は、会社から退職金どころか「ご苦労様」の一言も花の一輪すらもなかったことに悔しさを露わにした。正社員の定年退職の暁(あかつき)にはホテルを貸し切ったパーティが開かれ、社長から感謝状が贈られる。社内報には退職した正社員は紹介されるが、非正規労働者は名前すら載らない。これを差別と呼ばずして何と言おうか。

 こうした多くの非正規労働者の怒りや憎しみ、そして闘いが労働契約法20条を生み出した。政府をして同条は「雇止めの不安があることによって合理的な労働条件の決定が行われにくいことや、処遇に対する不満が多く指摘されていることを踏まえ」た(同法施行通達)と言っている。

 同条は「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」と題して、有期労働契約を結んでいる非正規労働者の労働条件が、無期契約の正社員との間で不合理な差があってはならないと定めている。不合理であるか否かは職務の内容やその変更(人事異動など含む)を中心に判断するとされている。従来の「均衡を考慮」などという弱い表現ではなく「禁止」という強い効力を持ったものだ。パートタイム労働法の差別的取り扱いの禁止が職務内容などの「同一」を要件としていることと比べても断然に使いやすい。

 重要なのは、この法律をいまだ労働組合に組織されていない非正規労働者が立ち上がり、声をあげるための武器として活用するという観点である。

 これまでの司法判断では「およそ人はその労働に対し等しく報われなければならない」として非正規労働者への賃金差別を公序良俗違反で是正した丸子警報器事件の判決(1996年長野地裁上田支部)はあるが、他方で多くの判決が「雇用形態が異なる場合に賃金格差が生じても、これは契約自由の範疇の問題」(日本郵便逓送事件・2002年大阪地裁)などと差別を容認している。

 実際、非正規労働者自身が労働相談で、人間らしい生活ができない劣悪な労働条件に疑問を持ちつつ、「非正規だから仕方ない」とあきらめの心境をよく口にする。インターネットでは「非正規のくせに」「自分で非正規を選んだのだから自己責任」などといった悪罵(あくば)が投げつけられている。

 社会的に作られた「絶望」を非正規労働者が振り払い、闘いに立ち上がるためには勝利への展望と方針が欠かせない。すべての労働組合は「労働契約法20条を使ってともに闘い勝利しよう」と職場の非正規労働者に呼びかけるべきだ。そもそも6~8割もの労働組合が非正規労働者を「組合加入資格なし」と扱っている恥ずべき現状(厚生労働省「2013年労働組合活動等に関する実態調査の概況」)を克服しなければならない。

 同条は裁判闘争だけではなく、団体交渉や職場闘争と一体で活用してこそ力を発揮する。今年3月にすべての正社員と非正規労働者が共同で結成した東部労組東京紙工支部では、最低賃金ぎりぎりで長年働いてきた非正規労働者の正社員化と均等待遇を勝ち取った。15年前に結成した東部労組多摩ミルク支部では、これまでの正社員優先のあり方を反省し、非正規労働者の権利拡大を最大の要求に据えて職場闘争を前進させている。

 東部労組メトロコマース支部の提訴後、すでに郵政産業労働者ユニオンの非正規労働者が東西で相次いで労働契約法20条の裁判闘争に立ち上がった(5月8日に東京地裁提訴、6月30日に大阪地裁提訴)。他にもいくつかの労働組合が同様の裁判を準備しているという。

 非正規労働者を「活用」する理由について、圧倒的多数の経営者が「賃金の節約のため」と公然と回答している(厚生労働省「2007年就業形態の多様化に関する総合実態調査」)。資本家の良心やお恵みで非正規労働者の待遇改善がもたらされると考えるのは人が良すぎるというものだ。非正規労働者の決起があってはじめて労働契約法20条は生きる。非正規労働者は同情や救済の対象ではなく自己を解放する主体である。

 そして、労働者の4割にも達する勢いの非正規労働者の権利を確立するためには文字どおり「総資本対総労働」の闘いを実現し、勝利する以外に道はない。ナショナルセンターの枠を超えた労働組合・労働者の団結が今こそ求められている。非正規労働者の闘いから日本労働運動の再建を勝ち取らなければならない。

 東部労組メトロコマース支部の闘いをよってたかって支援しよう!すべての裁判闘争に勝利しよう!労働契約法20条を武器にすべての非正規労働者は差別反対の声をあげよう!

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