ゲイン内定取消問題が解決
98名という空前の採用内定取り消しをやってのけたIT関連会社ゲイン(関口千房社長)と、全国一般東京東部労組に加盟して団体交渉を繰り広げてきた12名の学生たちが、4月30日、会社から組合員への解決金支払いをもって合意しました。これにより「内定取消問題」は一応の解決をみましたが、「新卒」という有利な条件を剥奪されゼロから就職活動を展開しなければならない“元”学生の皆さんの胸中に湧きあがった「社会に対する不信感」というすさんだ心持は癒されることはありません。
12名の学生の皆さんは、卒業も間近の3月7日、内定を一斉に取り消されました(うち1名は内定辞退に追い込まれています)。会社によるこの非情な仕打ちに対し怒りを抑えきれない彼らは、3月21日から31日までにかけ東部労組に加入して、4月3日、6名参加のもと第1回団体交渉に臨み、これまでの苦衷など思いの丈を会社側からの出席者にぶつけました。後ろめたさも手伝い終始うなだれていた会社側でしたが、最終的には組合員に対し謝罪のことばを呈し、そそくさと会場(東部労組青戸事務所)を後にしました。
4月30日の協定書調印式当日(会場同)は、組合員6名が、会社側は企業戦略事業部長他1名計2名で出席。冒頭、会社側からこれまでの内定取消と非自発的な内定辞退の経緯につき謝罪のことばが述べられました。その後、調印に移り、組合員である学生の皆さんが内定取消や内定辞退により「多大なる経済的及び精神的な苦痛を被った」こと等につき会社は認識を新たにし、組合員「それぞれに与えた諸々の心痛に思いを致し」、「心より謝罪する」こと、解決金(金額に関しては非公開)の支払いなどを定めた「協定書」を締結し、会社より改めて「謝罪文」が全組合員に手渡されました。「謝罪文」には、「内定通知後、○○○さまが他社への就職活動をなされておられなかったこと、今春からは社会人への第一歩を踏み出すべく希望と期待に胸ふくらませておられたであましょうこと等を思うとき、そして、ご両親はじめご家族の皆様方のひとかたならぬご心労・お怒りを思うとき、○○○さまを弊社にお迎えできませんでしたことは、私どもも、洵に沈痛の限りであります」と、全面的に会社の非を認識し贖罪する旨の表記が見受けられます。
調印式に出席した組合員からは、「既卒での就職活動は想像以上に厳しい」「あおりを食らって卒業式にも出られなかった」「私だけでなく家族など周りの人たちにも大変な迷惑をかけた」「今日で一応の解決ということだが、胸のうちでは会社を許すことは決してない」といった厳しい指弾が会社側出席者に向け飛び交いました。これを受け会社からは「皆さまの生の声を胸に刻みつけ再び過ちを犯さないよう健全な会社として邁進していきたい」「学生の皆さまの犠牲のうえで会社が運営されていくことを肝に銘じたい」と“神妙”な言辞が発せられましたが、組合員全員微動だにせず決してうなずくことなく、会社側の面々を凝視するばかりでした。
日本綜合地所に続くゲインの就業直前における大量「内定切り」に対する学生たちの“反乱”は、彼らにとって最大関心事たる「採用」というカードをもてあそぶ企業の横暴ぶりを改めて社会にさらけ出しました。東部労組はこうした横暴に対する糾弾の手を緩めることなく、今後も学生の皆さんと連帯して敢然と闘っていきます。