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ニチガスが不当な「警告書」で団体交渉を拒否

2013年10月10日 09時00分00秒 | 労働組合

10月3日、東部労組東陽ガス支部はコミュニティ・ユニオン首都圏ネットワークの1日行動の一環として、東陽ガスの実質上の親会社である日本瓦斯(ニチガス)に対して団体交渉申し入れとアピール行動を行いました(上写真)。

ニチガスはこの団体交渉申し入れに対し、「警告書」なる文書をもって回答してきました。
同文書でニチガスは、団体交渉を拒否するばかりか、組合の正当な団体交渉申し入れに対し「警察への被害届提出」「場合によっては刑事告訴」「損害賠償請求」など、おどろおどろしい言葉を並べ立て、組合の活動を非難してきました。
しかし、以下の通り、1.ニチガスには東陽ガス支部との団体交渉に応じる義務があること 2.団体交渉に応じる義務がある以上、団体交渉申し入れのため社内に立ち入ることを拒否すること自体が違法行為(不当労働行為)となるのです。つまり、ニチガスが「警告書」で並べ立てていることはまったく根拠がなく、組合活動の萎縮を狙った不当なものであることは火を見るよりも明らかです。

1.ニチガスには東陽ガス支部との団体交渉に応じる義務があること
(1)使用者概念の拡大
ニチガスは東陽ガス支部組合員の直接の雇用主ではありません。しかし、労働組合法(労組法)上の「使用者」は直接の雇用主に限定されるものではありません。

労組法第7条は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進するために、労働者が自主的に労働組合を組織し、使用者と労働者の関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること、その他の団体行動を行うことを助成しようとする労組法の理念に反する使用者の一定の行為を禁止するものです。したがって、同条にいう「使用者」は、同法が上記のように助成しようとする団体交渉を中心とした集団的労使関係の一方当事者としての使用者を意味し、労働契約上の雇用主が基本的にこれに該当するものの、必ずしも直接の雇用主に限定されるものではありません。
雇用主以外の者であっても、例えば、「当該労働者の基本的な労働条件等に対して、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しているといえる者」は雇用主と同視できる者であり、これらの者は、その同視できる限りにおいて労組法第7条の「使用者」と解すべきである、とされています。この解釈・通説は「朝日放送事件最高裁判決」(最高小3判平7.2.28)によって確立されています。
この判例をニチガスと東陽ガス労働者にあてはめると、ニチガスの「使用者性」は明らかです。

(2)法人格否認の法理
また、親会社・子会社の関係であって、事実上独立した子会社であっても、資本関係あるいは親会社からの役員の送り込みによる支配、株式の保有状況等から、子会社は実質上親会社の一部門・一部署に過ぎず、子会社の経営は実質上親会社が支配している場合、子会社の法人格は形骸だけのものとして否認(法人格の否認)され、子会社の労働者に対し親会社が団体交渉応諾義務を負います。
これをニチガスと東陽ガスとの関係にあてはめると、ニチガス・東陽ガスは相互に株式を持ち合い、私たちの調査では東陽ガスの経営陣・職制はニチガス出身者もいることから、東陽ガスの法人格は否認され、ニチガスが団体交渉応諾義務を負うことは明らかです。

2.団体交渉申し入れのため社内に立ち入ることを拒否することは違法行為(不当労働行為)となること
団体交渉の申し入れは労働組合の正当な活動です。団体交渉に応じる義務がある以上、それを拒否することは不当労働行為となります(労働組合法第7条2号)。

不当労働行為を救済する「労働委員会」も、団体交渉申し入れのため会社を訪問した労働組合の事業所内立ち入りを拒否することにつき「組合の団交権を否定する不誠実な態度であって労組法7条2号に該当する不当労働行為」と判断しています(オサメ工業事件・大阪府労委 平成15年(不)第82号)。

そもそも、「借金漬け労働」を強い、その撤回を求め立ち上がった労働者を解雇するという露骨な不当労働行為を行ってきたのはニチガスの「協力会社」と位置づけられ、長年ニチガスの株式を大量に保有してきた東陽ガスです。そして上記の観点から、その東陽ガスを指導する責任を負っているのがニチガスであり、東陽ガス労働者との団体交渉に応じる義務があるのです。
立ち上がった労働者を解雇し、労働組合をつぶす東陽ガスは許されるものではありません。また、解雇撤回を求め闘う労働者・労働組合との団体交渉に応じないばかりか労働者・労働組合を「警告書」をもって恫喝してくるニチガスのやり方も許されるものではありません。
東陽ガス支部は徹底的に闘います!

報告「東陽ガスの労働実態」 日本労働弁護団集会2011年3月4日

 

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