臨床心理士の待遇改善と市民の心のケア充実を実現するための署名運動に協力してください!
全国2万人の臨床心理士のみなさん、市民のみなさん!私たち臨床心理士ユニオン(正式名称=全国一般東京東部労組・臨床心理士ユニオン支部)は、臨床心理士の待遇改善と市民の心のケア充実を実現するため全国署名運動をスタートしました。
臨床心理士とは、大学院修了程度の学歴と訓練を要する文部科学省所管の財団法人の民間資格で、教育・医療・保健・福祉・司法・産業などさまざまな領域において、子どもを含む国民の心のケアにたずさわっています。
たとえば私たちユニオンのメンバーが多く働いている子どもの福祉領域では、虐待の相談件数がうなぎのぼりに増えています。
昨日(7月13日)、厚生労働省が発表した統計でも、08年2月1日現在、児童養護施設への入所や里親委託の児童は全国で4万1602人。03年の前回調査より3284人増え、1970年以降初めて4万人を超えました。このうち育児放棄や暴力など、虐待された経験がある子どもは約2万1千人です。
こうした事実からも臨床心理士の役割の重要性は増すばかりです。にもかかわらず、心理職の雇用環境は不安定で、多くの臨床心理士は普通に生活できるだけの賃金も社会保障も受けられないまま、いつくもの仕事をかけもちしなければならない状態にあります。
こうした雇用環境では心のケアを必要としている市民に十分なサービスを提供できなくなります。
臨床心理士の待遇を改善するために、専門職としての地位向上を実現するために、署名では以下の7項目を求めています。
1:賃金は、生活できる額、及び、専門職に見合う額を設定すること。
2:労災保険、雇用保険、健康保険(介護保険含む)、厚生年金保険などの社会保険を受けられるようにすること。
3:期限の定めの無い雇用契約とすること。
4:結婚休暇、忌引き休暇、育児休暇、看護休暇、介護休暇等、年次有給休暇を取得できるようにすること。
5:交通費や研修時の出張費など、必要経費の充実をはかること。
6:様々な分野で国民の心のケアに貢献できる国家資格を創設すること。
7:労働条件の一方的な不利益変更はしないこと。
署名は文部科学省と厚生労働省に提出します。署名用紙はこちらのPDFからプリントしてください。臨床心理士ユニオンのホームページからもダウンロードできます。心理士の方はもちろんのこと趣旨に賛同いただける市民の方々、家族、友人、知人にも是非、署名へのご協力をお願いします。
★署名の郵送先は以下の通りです。
〒125-0062 東京都葛飾区青戸3-33-3野々村ビル1階 臨床心理士ユニオン担当:須田
昨年度の児童虐待、過去最多4万件超す 0歳児が5割弱
2009年7月14日15時3分
全国の児童相談所が08年度に対応した児童虐待は、過去最多の4万2662件(速報値)に上ると、厚生労働省が14日、発表した。前年度より2023件増えた。子どもの安全確認のため、児童相談所は08年度から強制的に立ち入り調査できるようになったが、相談職員にはためらいもあるとみられ、実施は2件にとどまった。
児童虐待の件数は、統計をとり始めた90年度から連続して増え続け、10年前の約6倍に。厚労省虐待防止対策室は「虐待そのものが増加しているほか、虐待に対する認識が高まり、通報や相談が増えている」とみている。
また、07年1月~08年3月に虐待によって死亡したのは、115件142人。心中・心中未遂を除く73件78人のうち、0歳児が5割弱を占めた。母親に相談相手がいなくて孤立していたり、精神的問題を抱えていたりするケースが目立った。
昨年4月の改正児童虐待防止法施行により、虐待が疑われる親が知事からの2度の出頭要求に応じない場合は、相談所が裁判所から許可状を取れば、警察の援助を受けて強制的に立ち入り調査できるようになった。
強制的な立ち入り調査を実施したのは2自治体2件で、子ども計4人を一時保護した。うち1件は子どもを学校に通わせず、自宅アパートからは異臭がしていた。出頭要求などにも応じないため、大家から借りた合鍵で解錠、さらに金属製のドアロックも切断し、子ども3人を一時保護した。
厚労省虐待防止対策室は「相談所職員のなかには強制的に立ち入り調査することに躊躇(ちゅうちょ)もあると思うが、子どもの安全確認・確保には効果があったと評価している。こうした制度の適用も含め、虐待対策に取り組んでいきたい」と話す。(高橋福子)
http://www.asahi.com/national/update/0713/TKY200907130390.html
施設入所の子、5割が父母からの虐待経験 厚労省調査
2009年7月14日10時58分
親と離れて児童養護施設などで暮らす子どものうち、約5割が父母らに虐待された経験があることが13日、厚生労働省の児童養護施設入所児童等調査でわかった。5年ごとの調査で、虐待経験を調べたのは初めて。
08年2月1日現在、入所や里親委託の児童は全国で4万1602人。03年の前回調査より3284人増え、1970年以降初めて4万人を超えた。このうち育児放棄や暴力など、虐待された経験がある子どもは約2万1千人いた。
施設別では、心理療法の必要度が高い子どもが入る情緒障害児短期治療施設(入所者1104人)が72%と最多。非行児童のための児童自立支援施設(1995人)は66%、主に2~18歳が暮らす児童養護施設(3万1593人)は53%、主に0~1歳を養育する乳児院(3299人)と、里親家庭(3611人)がいずれも32%だった。
入所や里親委託の直接の理由で最も多いのも「虐待」で、33.9%(前回比5.5ポイント増)。「母の精神疾患」「経済的理由」「母の行方不明」などが続いた。
また、障害のある子どもは前回より2295人増の1万588人で、4人に1人の割合だった。障害がある場合、養育の負担が大きく、虐待につながる可能性があると指摘されている。
柏女霊峰(かしわめ・れいほう)・淑徳大教授は「虐待され、心に傷を負った子どもは、周囲の人々と関係をうまく築けなかったり、特定の施設職員を怒らせるような言動をしたりする。特性を踏まえた専門的な援助が必要だ」と話している。