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「私立日本医学校要覧」 (1905)

2017年03月01日 | 医学 1 医師、軍医、教育

  

 私立日本医学校要覧

 〇本校の創立
 本校は明治三十七年七月の創立に係り、一般医学を修むる者に便益を與へ文部省医術開業試験を受くるものヽ素養を造くるが為めに必要なる各学科を教授するを目的として創立せられたるものなり。
 〇本校の将来   本校は現在に於ては創立日浅く、加之特に邦家多事の際に設立されたるが故に、未だ完全なる設備を有するに到らずと雖も、熱心校務の進張を謀りつヽあるが故に漸次整頓を来すべし、而して一定の準備完成するに到れば医術開業試験の存否に関せず、文部省認可の医学専門学校組織となすべく而して猶ほ別課及び予科を設け医学教育上の遺算なきを期すべし。
 〇本校の事業   本校現在の事業としては、医学前期学科後期学科の教授を為しつヽあり、生徒の修学年期は四ヶ年なりと雖も、一学年間に於て前期後期の各科を並に教授するが故に修学者にして勤勉怠らづんば、一箇年にして前期若くは後期の各科を修了することを得べし、教授は学説講義の外、臨床講義及び理化学実験、組織解剖等の実習、標本図譜の供覧、病理組織、病理解剖、外科手術、産科模型、顕微鏡検査等の実地演習を行ひ生徒をして勉めて実験に就き研究するの方法を執らしむるものとす。
 本学科の外、附属として更に毎日午前七時前後より臨床講習会を設く、本会は一般医家の臨床的知見の修養を目的とするものにして、会員組織とす、本校卒業者並に開業医家の研究に便益を供せんが為めに、有名なる各科専門の諸大家を聘し、斬新機警なる学説実験等を紹介するものとす、毎週出席講演講師の氏名は毎週土曜日に定めて掲示するが故に、繁劇なる医家及び近府県の医家と雖も、随意希望の講筵に参列し、日新の智識を領し、時勢に後れずして患者臨床上の智見を博くすることを得べし。
 〇本校の風紀   本校は従来医学生徒通有の悪習弊風を除去し、勉めて生徒の風紀を矯正し品格の修養を図り、本校卒業者にして他日社会に立つも、紳士として愧ぢざるの品位を保たしめんことを旨とせり、本校内に於ては喫咽飲酒を厳禁し、摂生を守り応接言語等慎重ならしめんことを要とせり、故に一たび本校に於て放校処分を為したるものは如何なる事由ありと雖も、再び本校に入学することを許さゞるものとす。
 〇本校の位置   本校は東京市神田区淡路町二丁目にあり、地勢十五区の中心点にありて、電車鉄道の線路交叉部四通八達の要衝に位するが故に交通最も便なり、下谷、本郷、深川、神田、京橋、日本橋、芝、赤坂、麻布、麹町、小石川、牛込、四谷、浅草、本所等の諸区には直接電車の通達せるあり、僅に金五銭を投ずれば校門前よりして直ちに前記各区に往来することを得べし、而かも後は駿河台の青丘を負ひ、前は神田川の碧流に臨み、蔚葱たる聖堂の杜蔭に対して自ら閑雅の境を成し実に趣味実益並び備はれる好位置にあり。

 明治三十八年九月    
          東京市神田区淡路町二丁目
            私立日本医学校教務課
                 電話本局三千二百九十二番

〔上の文章の電話番号以外の太字部分は、元は●または◎が字の横にある個所である。〕

 私立日本医学校学則概要 〔下は、その一部抜粋〕

    第壹章 総則

 第一條 本校ハ医学ヲ教授シ医師ヲ養成スルヲ以テ本旨トス
 第二條 修学年限ハ四箇年トシ前二年ニ前期学科ヲ教授シ後二年ニ後期学科ヲ教授ス

    第貮章 職員   
    第参章 学科課程
    第四章 学年、学期、休業

 第五條 学年ハ四月十日ニ始マリ翌年三月三十一日ニ終ル
 第六條 一学年ヲ二学期ト為ス
    第一学期 四月十日ヨリ八月三十日ニ至ル
    第二学期 九月十日ヨリ三月三十一日ニ至ル
 第七條 休日ハ左ノ如シ
    大祭日、祝日、日曜日、本校記念日
    夏期休業 七月二十一日ヨリ九月十日迄
    冬期休業 十二月廿六日ヨリ翌年一月十日迄

    第五章 試験及進級
    第六章 入学、在学、退学

 第十四條 入学ハ毎学年ノ始メトス 
   但シ欠員ヲ生ズルトキハ臨時入学ヲ許スコトアルベシ
 第十五條 入学ヲ許スベキ者ハ年齢十七年以上身体壮健品行方正ニシテ高等小学校又ハ中学校若シクハ高等女学校第二年級ヲ卒業セル者又ハ本校ニ於テ之ト同等以上ノ学力アリト認メタル者
 第十七條 入学ノ許可ヲ得タル者ハ入学料金四円ヲ納ムベシ

    第七章 授業料

 第二十二條 一学期ノ授業料ヲ金十八円ト定メ毎月金参円宛分納ナスコトヲ得

    第八章 帽制

 第二十六條 生徒ハ入学許可ノ日ヨリ二十日以内ニ本校制定ノ帽ヲ調製シ常ニ着用スベシ
       制式ハ黒絨製大黒帽頭頂四角形トス但シ和服着用ノ者ハ必ズ袴ヲ着ス可シ

    第九章 奨励

 第二十七條 生徒中品行方正学力優等ナリト認メタル者ハ之ヲ特待生トナシ相等期間其授業料ノ一部又ハ全部ヲ免除スルコトアルベシ

    第十章 懲戒

 第三十條 本校ニハ寄宿舎ヲ設ケズ

    附則  生徒心得


 明治三十八年十月     東京市神田区淡路町二丁目
                  私立日本医学校

    私立日本医学校教師氏名  (明治四十二年五月現在)

 



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