郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

『311子ども甲状腺がん裁判』「我らはなぜ甲状腺がんになったのか明らかにしたい」(2)

2022年02月05日 | 日記

集会に参加できない原告たちからのボイスメッセージが会場に流れました。

 

「私は、甲状腺がんで、再発を含む手術を4回、RAIという放射線治療を1回受けました。私はこの裁判で私が罹患した甲状腺がんと福島原発事故の因果関係を明確にしたいと思います。それは同じような境遇で将来の生活に不安を抱く人たちに、未来に対して肯定的になれるきっかけになることを確信しています。」

 

「私は高校生の時甲状腺がんと診断され手術を受けました。しかしその後再発、遠隔転移あり、完治するのは極めて難しい状態にあります。がんになってから、現在に至るまで体調はすぐれず、がんと言う理由だけで正社員として雇ってもらえる職場がないのも現状です。原発事故との因果関係はないと言われていますが、事故後沢山の子が甲状腺がんになっているのはなぜでしょう、原因を認めてほしいです。この訴訟が孤立しているほかの甲状腺がんの皆さんの力になればと思います」

 

「中学2年で初めて甲状腺がんと言い渡されたとき、私は驚きました。同時に漠然とした不安、私の体はどうなってしまうのか2度目の手術の時は驚くこともなく、ただ残念に感じました。退院後も、薬を半永久的に飲まなくてはならないし、ずっと今後も定期的な受診をしなくてはならいと思うと、えもいわれぬ不安があります。金銭面での不安が大きいです。18歳まではこども保険加入しているので、医療費の心配はありませんが、それ以上の年齢になった際、すでに癌になった人は保険に加入することは難しく、莫大な治療費を支払わなければならなくなるので不安です。」

 

 

 会場に流れる声を聴きながら、胸がしめつけられる思いでした。

 

 

3・11福島原発事故後、柳原敏夫弁護士は親たちのサポートで募った小中学生14名の原告で、福島地裁郡山支部に『ふくしま子ども集団疎開裁判』を提訴しました。

1216日、却下。

仙台高裁へ控訴、2013年3月高裁は判決文に、このまま福島に住み続ければ「由々しき事態が進行する懸念」と記しながら、却下。

子どもたちの集団疎開は実現しませんでした。

その後、判決文どおり由々しき事態は進行し、小児甲状腺がんは多発しました。

 

事故当時の子どもたちが、10年経って、自ら原告になり、自分らの状況を切り開こうとするたくましい若者に成長しました。 

原告の母親が「原告になった息子を誇らしく思う」と語っていました。

私も若者たちの勇気、決意に敬意を表し、できる限り応援していこうと思いました。

 

 

弁護団長・井戸謙一弁護士は語ります。

 

「6人の原告全員再発を恐れ、将来への不安を抱えています。福島では甲状腺がんと被ばくの関係を言うと、頭から否定され『復興に水を差す』『風評被害加害者』とバッシングされます。

原告はがんを隠して息をひそめるようにして生きて来ました。しかしこの問題をはっきりさせなくては人生の次のステップに歩みだせないと言う気持ちで勇気を奮って提訴に至りました。提訴すれば今まで以上にいろんなところからバッシングが起きる、それでもやりたいと彼らは決意しました。

チェルノブイリ原発事故で、健康被害による死者は一番少ないIAEAの想定でも、4千人。福島原発事故の放射性物質放出量はチェルノブイリの7分の1と言われています。それ相応の健康被害が出て当然ではないですか。

発事故前、百万人に1人か2人の発症と言われた小児甲状腺がんが、事故後、子ども約38万人に293名発症しています。多発です。被ばくが原因でないというなら、東電はその証拠を出すべきです。

我々は十分勝てるし、勝たなくてならない裁判です。」

 

 

海渡雄一副団長は

「この訴訟は、住民が原発事故後被ばくによる健康被害を訴えたはじめての裁判です。原告6名の若者が安心して治療できるよう、将来の生活保障のため、我々弁護団17名は全力で彼らを守り抜き、勝訴につなげたい。

また原告と同じ境遇で苦しんでいる300人の若者たちを私たちほとんど知りません。孤立してバラバで、苦しんでいるのだと思います。原告の6人とは自分から弁護士に相談に来てくれてつながりました。記者さんたちはしっかりこの裁判提訴のニュースを報道してほしいです。同じ境遇の若者も立ち上がるかもしれないからです。

東電は、国や県と共に原発事故で健康被害はなかったとうそぶいています。事実をぶつけ、真実を明らかにしましょう。裁判官を納得させ必ず勝訴にもっていきましょう。」

 

力強く語りました。

 

-Ka.M-

 

 


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