茨城県牛久市にある「牛久シャトー」を訪れた。
ここは昨年の7月に「日本遺産」(Japan Heritage)に認定されたばかりの場所でもある。
「日本ワイン140年史〜国産ブドウで醸造する和文化の結晶〜」という名称が付いている。
構成文化財はこのシャトーのある敷地を中心に牛久市内に何ヵ所か存在する。
もとになったのは、あの浅草にある「神谷バー」の創業者である神谷傳兵衛である。
彼が1903年に牛久に国内初の本格的ワイン醸造所を設けシャトーを建てたのが始まりだ。
約119ヘクタールもの原野を耕して葡萄を植えて牛久醸造所でワインを作り始めたのだ。
現在、約65,000m2の敷地に11棟の建物があるが、旧事務所・旧発酵室・旧貯蔵庫の3棟が国の重要文化財に指定されている。
傳兵衛が手がけた頃は、まだ日本人の食生活にワインは馴染まず蜂蜜や漢方薬を加えて売り出して人気を得たということだ。
神谷バーの例の「デンキブラン」は、その辺りにルーツがあるのかもしれない。
いずれにしても、彼が「日本のワイン王」と言われるだけのはたらきをした事は確かだ。
現在は、地元の牛久市が出資して、それまで経営していたオエノンホールディングスと土地建物の賃貸契約を結んで運営会社を設立して新たな経営を開始した。
2018年にレストランや売店が営業不振で閉鎖されたが、市民をはじめこの文化遺産を残そうとして立ち上がった結果、上記の様な方向で再出発した。
しかし、始まったばかりでコロナ禍に…。
ワイン好きな私はフランスのシャトーを訪れたこともあるが、まあ言ってみれば日本酒の酒蔵のようなもの、日本各地には伝統ある立派な酒蔵も少なくないが、そのワイン版とも言える。
確かに牛久のシャトーも立派な佇まいである。
山梨県のワインづくりも実はこも牛久のワインに関連しているのだが、別の機会にふれたい。
私が訪れたのは月曜日だったため、あいにくレストランと売店は休業日、デンキブランが欲しかったのだが残念。
今後はこの牛久の地でワインや地ビールも生産するというから楽しみだ。
あらためて牛久の観光地として蘇ることを期待したい。
-S.S-