冬場の日没は早い
薄暗い夜道は危険だと 娘に言われ仕方なく
放課後ルームへ迎えに行く
指導員に 「有難うございました!」
と礼を言うのは私だけ
「サヨウナラくらいは大きな声で言いなさい!」
と道すがら孫に言う
黙ってるので 繰り返し言うと
「うるさい!」
反抗的態度で言い返す
「そんな大きな声が出るなら なぜ言わないの⁉︎」
「言ったもん‼︎」
「聞こえてないよ!」
まるで 親が子に礼儀を教え込んでるかのように
いや もしかしたら
元教員の気持ちが入ってしまったのか…
でも 私は現役時代
無理に子どもに口を開かせようとはしなかった
それでは なぜ…
祖父の役割なら 孫の礼儀指導まで
細かく躾などしたくはない
教員の自分であっても
敢えてそこまで強制しない
そうだ これは
彼の親父になった立場から 出た言葉に違いない
あらためて 考えてみると
彼の性格は
大声で先生や友達に声を掛けるタイプではない
まして 儀礼的な言葉を 積極的に発するのは好まない
そんなことは 今までの祖父の役割で
十分見えていたではないか
そもそも 私の子育て理念には反する言葉が
なぜ出てしまったのか?
帰宅するまで
彼とは口をきかずに暗い夜道を一緒に歩いた
-S.S-