久し振りに男の孫について紹介したい
彼は中学生になり ますます口数が少なくなってきた
さらに声変わりがしてボーイソプラノはもう聴くことができない
最近 ようやく親からスマホが許可されて持つようになった
それは 塾等の外出時に連絡を取るために親が必要だからだ
だから 電話以外はWi-Fi環境下でしか使えないようになっている
それでも満足 食事中にも音量を下げてSpotifyで音楽を聴いている
時には歌唱に合わせて低音で共に歌うこともある
この時間帯は唯一彼とのコミュニケーションの機会なのだが・・・
野球部2年目が終わろうとしている今 彼なりに覚悟を決めたようだ
上背はだんだん伸びてきたものの スリムで筋力はイマイチの身体だ
目指すは毎試合投手で出場することだが 今は外野手との掛け持ちだ
これを自覚してのことか 来年にかける気持ちが高まっているようだ
冬休みの宿題に書き初めがあったが 彼は2種類の言葉を書いていた
学校用の文字は何だか忘れたが もう一つの文字は良く覚えている
「存在感」この3文字が印象深く私の脳裏に残っている
どうして2種類を書いているのか聞きもしなかったが 後日分かった
この3文字の方は野球部独自の課題で 内容は自由とのことだった
冬休み中ではあるが 野球部員は新年初練習のため学校へ招集された
この際に一人ずつ前に出て 自分の書き初めを掲げて読み上げるのだ
「僕は『存在感』と書きました」
「僕は『存在感』がないと思うので 今年は『存在感』を示したいからです」
(この様子を動画に収めていた保護者から各家庭に配信されたものを見た)
この発表自体が静かな低音で やっと聞き取れる程度のものだったが
私は何故か彼の心の内を痛いほど感じることができた
彼は自分のことを自分なりに理解しているんだ・・・
そりゃあ 黙っていても試合で投げる機会を与えられる者ならいいが
今日は投げさせてくれるだろうか? 先発メンバー入りできるだろうか?
彼は毎回 試合のたびに いや毎日の練習のたびに考えているに違いない
そのために「存在感」が必要なのだ 「自分がここにいる」という・・・
負けん気が強く気持ちを全面に出せるようなタイプでないのも知っている彼
書き初めの「存在感」に込めた気持ちは態度に出なくても熱く燃えている
そもそも ストレートにこの言葉を表に出せるのは逆に彼の強さなのだ
「お前のが一番良かった!」
監督にそう言われたとのことだ
そういえば 他の子たちは四字熟語を書いた者がほとんどだった
そして今年のお年玉袋に書き添えた私のことばは
「数検三級合格 自信 前進 好奇心」だった
私の苦手な数学検定試験に進んでトライして見事に3級合格したからだ
無口な孫っ子の今年に注目したい
-S.S-