斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

DLC標準化の動き

2011年09月29日 21時17分26秒 | 学校.学会訪問記
DLC膜の国際標準を策定するための会合がありました。今日はそちらに出席しました。DLC膜とはダイヤモンドライクカーボン膜のことで、潤滑性があり、血液が付着しづらい、見映えの艶がいいだの、日本が世界に自慢できる技術です。この技術を国際標準にして、この産業を世界に広めたいと思います。

多くの企業、大学、研究所の研究者や技術者が集まり議論するわけです。でも、国際標準の世界では技術を前面に出せばいい(いいものを作ればいい)というだけの世界ではない。良い技術にプラスして経営的センス、すなわちビジネスが求められます。技術の流れとお金の流れは逆です。つまり、AさんからBさんに技術が渡る時、BさんからAさんに対価が渡るわけです。逆方向のものを一人の人が上手く流すことはたいへん難しい。売建てと買建ての両方を立てることを両建てといいますが、両建てして儲けられる人は、頭の中身がふたつ(二重人格)ではないかと思うほど難しいのです。

技術の最高峰なら高値で売れるかというとそうではない。人の居場所を感知してそこに冷風を送るクーラーより、電力供給が追い付かないとなれば扇風機が売れるのです。要するに、ちょうどいい技術が必ずあるのです。国際標準を知れば知るほど、ちょうどいい技術を定義する仕事なのだなあ、と思いました。