[ロンドン 7日 ロイター] - ヘッジファンドは昨年末時点で、原油価格について非常な弱気からかなり強気の姿勢に転じた。
特に北海ブレントに対してその傾向が見える。
米 商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、3月1日までに、ヘッジファンドやその他の資産運用会社は、ニューヨーク商品取引所(NYMEX)とイ ンターコンチネンタル取引所(ICE)において計4億4500万バレル相当の原油の買い持ち(ショートを差し引いたロングポジション)を構築している。米 WTI原油と北海ブレントの先物・オプションの買い持ち規模は先週、610万バレル増加し、9カ月ぶりの高水準に達した。
年初来ではこれらの買い持ちは2億バレル強増加している。
ヘッジファンドはWTIよりも北海ブレントに強気だ。WTIの買い持ちが1億0200万バレルなのに対して、北海ブレントは3億4200万バレルもある。
1日までの週にヘッジファンドは北海ブレントのロングを1600万バレル積み増した一方、ショートは約600万バレル削減した。
彼 らが北海ブレントで強気ポジションにすることを好むのは、米国における余剰原油の貯蔵スペース不足への懸念が根強いことを反映している。WTIよりも北海 ブレントの方が限月間のコンタンゴ(順ざや)の傾斜がずっと緩やかで、強気ポジション維持にかかるコストがかなり安い点も挙げられる。
順ざや状態の市場では先物やオプションのロングを維持するには、期落ちした限月から期先限月に乗り換えるコストがかかる。
WTIについては先週、ヘッジファンドがショートの大幅削減に動いた。NYMEXとICEのショートポジションを合計すると、削減規模は3800万バレル(15%)で、2億4900万バレルから2億1100万バレルになった。
米国の原油価格は2015年初め以降、ヘッジファンドのWTIのショートポジションの変動との連動性が非常に高まっている。
このため足元でショートが大幅に減ったことを受け、WTIは1バレル=32ドル弱から34.50ドル近辺まで急反発した。
WTIは上昇を続けて現在は36.50ドルを超えていることから、1日以降もヘッジファンドのショートを削減している動きがあると察知できる。
ショートポジションの巻き戻しという面で、こうしたWTIの上昇を軽視することは可能だが、北海ブレントのロングが記録的な水準にある点からすれば、多くのヘッジファンドは年内に原油価格が大幅に上がる方向に賭けている様子がうかがえる。
石油業界の大半が資金的に苦しい状況にある兆しが出ていることに加え、
(1)石油輸出国機構(OPEC)以外の生産減少を示すデータがある
(2)産油国間の生産に関する新たな合意について市場で うわさがくすぶり続けている
(3)ガソリンに対する力強い需要──などの材料を受けて、ヘッジファンドがより強気のストーリーを組み立てることができたよ うだ。
昨年の3月から5月と8月から10月にかけての価格上昇は短期間で失速し、その後新たな安値をうかがう展開になった。
しかしこうした2回にわたる価格高騰とその後の急落を主導したヘッジファンドは今、また強気に戻っている。
以上、ロイター記事
何かテクニック的なことを説明しているようだが、原油の供給過多状態は変わらないし、中国の需要も減少していることからもっと原油安方向に向かうと見るのが自然である。