■二大政党は周期的再編期にはいった
民主党のなかの反ヒラリー勢力は、想像以上に強い。
もしサンダースが正式に候補者になれないと判明すれば、かれらはトランプへ流れるか、第三候補を擁立するか。
いずれにしてもバーニー・サンダースがユダヤ人であるという人種的要員は、全体の流れには無関係である。
民主党の最大の支持母体で、労組の牙城でもあり、党の中枢を担ったミシガン州で、ヒラリーが惜敗する番狂わせがおきた。
近未来の民主党の運命をシンポライズしているようである。
また民主党員は前回選挙から30%、その登録員数が減少している。
民主党支持者の構造的激変はリベラリズムへの疑問、グローバリズムへの反撥が拡がったという事由もあるが、どうやら最大の理由は若者の民主党離れである。
最たるものは大学授業料で、平均5万ドル、ハーバード大学の大学院は7万ドル。富裕層ならいざ知らず、一般家庭ではまかないきれない額である。
奨学金、学生ローンが花盛りとなり、しかし就労しても、返済に時間がかかる。ローンが支払えない世代が急増した。これが最大のネック、だから大学授業料の減額をとなえるヒラリーより、「無料化」を叫ぶサンダースへ票が流れる。
イスラムの排斥、メキシコの不法移民を取り締まれと叫ぶトランプへ大量の批判票がでるのはヒスパニック、チカノの多いカリフォルニアでの予備選である。
ならば大票田のニューヨークやニュージャージー州はいかなる反応をするだろうか。
「反知性主義」としてトランプを非難するリベラルなメディア、ならびに共和党主流派によって構成される「反トランプ」勢力は、もしトランプが正式候補となれば、急先鋒のネオコンなどは、ヒラリーへ一部が流れ、ほかはどうするか。棄権か、あるいは独自候補を茶会は立てるだろうか。
いずれにしても均衡状況がつづいた二大政党は不安定な均衡に陥る。
▼政党間のスィング現象は周期的におきている
民主党と共和党という二大政党は、その組織構成員が周期的に大きく変動する。
げんにヒラリーは学生時代に共和党支持者だったし、トランプは一時期、民主党だった。政治状況の激変により、周期的に両党の支持勢力、支持基盤にスィング現象が起こるのだ。
どだい、現有共和党の党員は半世紀前には民主党支持者が多かった。大量に民主党から共和党への鞍替えが起きたのだ。
1932年、世界大恐慌のあおりを受けて共和党員が民主党へ鞍替えした。共和党が強かったニューイングランドは、カソリックの強力な地盤でもあったが、労働者の多くが民主党へ投票した。
特徴は同一の人種が集中する地域、階級的にも似通った人々が集中する選挙区で、このようなパターンが繰り返される。
第二次世界大戦のあと、共和党へ復帰する民主党員が目立った。
これは戦争や大不況という情況に遭遇したときにイデオロギー的要素によって、スィング現象がおこりうるもので、1950年代に、周期的回帰でもあるかのように政党支持が変わる。
1960年代、市民権をめぐる論争で、南部、北部の白人集中した選挙区ではごっそりと民主党支持者が共和党へ流れ、ニクソン政権が実現する。70年代の反戦、ヒッピー運動は、逆に共和党人気にかげりがでた。
同じように2001年9月11日のNYテロは、社会の安定と秩序をいう共和党に有利に作用したし、その後のイラク、アフガニスタンへの介入と失敗は民主党支持者を増やしたものの、長続きはしなかった。
こんかいの大統領選挙は、従来的な政党に色分けもイデオロギー的要素も、階級、所得格差、外国への不満という党派を超えた要素によって大きく左右されている。
以上、宮崎正広氏
今のアメリカは暮らしにくそうである。
貧乏人が増え、病気しても病院へ行けないし、大学の授業料が500万円、700万円じゃ普通の家庭の子供は厳しいです。
すべてお金次第の国、アメリカです。
労働者の賃金は低く抑えられていて、反発するのは当たりまえ、ヒラリークリントンは既に支配者のパペットであり、トランプに期待がかかるのは理解できる。
日本もアメリカから自立することを真剣に考える岐路にあるようだ。