「撥鏤」と書いて、「ばちる」と読みます。
大変難しい字ですよね。 一体何の事なのか。
実は、これは、工芸の技法のひとつで、正倉院の宝物の中にも、この技法が使われているものがあったり、非常に歴史のある技法の
ようです。
別名を撥ち彫りと謂い、象牙を色を染めてから彫り、象牙の地色を文様として浮き上がらせる技法のことです。
先日訪れた日本伝統工芸展でも、珍しく、この技法を使った作品が出展されていました。 スタッフの方々が「珍しい。」と評価されて
いました。
象牙は今や、ワシントン条約で輸出も禁止されていますから、稀少価値が高く、珍しいのは当然と言えます。
この技法は、吉田文之という匠の方が、作品に取り入れておられたそうです。 ブローチなどのような非常に小さいものが多く、
繊細な表現の作品が多いようです。
日本伝統工芸展に出展されていた作品は、 青い空と山並みを撥鏤の技法で表現し、 山麓を銘木の寄木や象嵌で表現するという
かなり手の込んだ作品に仕上がっていました。
私にはそういうように感じたのですが、作品の表現が匠の意図に反するような言い回しになっているかもしれません。
しかし、見ていて、 撥鏤だけの技法に特化せず、他の技法とうまくコラボしている作品に仕上がっていて、思わず、「綺麗だ!」
と周りも気にせずに、叫んでしまいました。
本当に、写真をここに掲載できないのが、残念ですが、図録も発行されているようですので、ご関心のある方は、そちらを是非、
ご覧下さい。
【工芸品ショップ泉亀(いずかめ)】ショップサイト
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