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チラシの裏

オメガ・ポイント

2014年12月06日 | SF
サンリオSF文庫でジョージ・ゼブロウスキー『オメガ・ポイント三部作(翻訳は2作目まで)』の
「灰と星」と「オメガ・ポイント」が出ていました。



物語の時系列では「灰と星」「オメガ・ポイント」の順ですが、
執筆は「オメガ・ポイント」(1972)「灰と星」(1977)の順で、
「オメガ・ポイント」はゼブロウスキーの処女長編でもあります。
話は「灰と星」のほうが面白かったですね。
「オメガ・ポイント」の既視感はクリス・ボイスの「キャッチワールド」(1975)に似ているせいか。



主人公がいじいじ悩んでいるのが「哲学的」とみるなら、哲学的スペオペと言えるかもしれません。
「ガンダム」のアムロも同じように悩んで自閉症になるくらいだから、
「機動戦士ガンダム」も哲学的ロボットアニメと言えるかも(いやいや)。


タイトル「オメガ・ポイント」はもちろん、ティヤール・ド・シャルダンからの引用ですが、
ティヤール・ド・シャルダンを紹介した本は意外になくて、唯一古い講談社現代新書に
「ティヤール・ド・シャルダン 未来への問いかけ」(山崎庸一郎)があるくらいでしょうか。
(本人の著作翻訳はけっこうあります)



同書では、シャルダンの生涯とオメガポイント神学のさわりが読めます。
カソリック神父でありながら古生物学者である、というドグマとサイエンスに引き裂かれていたと思いきや、
キリスト教義と進化論を融合させ、オメガポイントという人類だけでなく
すべての物質存在もろともの進化を幻視しているのは、まるっきり遠未来SFです。


そのせいか、コードウェイナー・スミスが影響を受けていたことは有名です。
クラークの「地球幼年期の終わり」もネタにしているのではないか。
ダン・シモンズの「エンディミオン」に反教皇ティヤール1世が登場するのは、
教会の最高位階で教会そのものを否定するアイロニーなのでしょうか。
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