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水時計

2010年03月13日 | ミステリ
面白くなかったわけじゃないのですが、
リアルで重い設定と展開に、
「ミステリ」というジャンルの持つ幅を実感したわけです。

「コンテンポラリーな本格もの」の標準作、
というのが個人的な感想です。
「コンテンポラリーな本格もの」の中には、
ハードボイルド、警察小説、心理小説、アクション小説、
もちろん謎解き小説などのエッセンスと、
メインストリームの小説技法などがうまく取り込まれていて、
小説の完成度としては、えらく充実しているように読めました。

ですが、「本格もの」にサプライズとワンダーを求めている人間には、
「誰が犯人でもおかしくない状況」は、読んでいるのがつらいのです。
つまり、びっくりしないわけですからね。

人物造形の巧さや描写が達者なのは分かりますし、
伏線も巧妙で謎解きの骨格もある。
最後に犯人を目の前にして謎解きをやってみせる場面もあるし。
ですが、驚かないラストは「びっくり好き」にはもの足りないのです。

■水時計 ジム・ケリー著 創元推理文庫

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