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読ホリディ 4

2009年08月15日 | ミステリ
埋もれた「名作」はあるのか
ヘイク・タルボットの「魔の淵」についても言及していて、忘れられた傑作なぞはまず無いと言っていい、と。
これには我が意を得たりとばかりに賛成です。ついでにクレイトン・ロースンも「小説の書き方が下手」とキビシイ。
でも、ほんとにそうなんだから。



ロースンの「帽子から飛び出した死」は、謎がいくつも飛び出してきて、
どれが本当の謎なのかを見極めないと進めないので、途中でどうでも良くなってくる。
謎の見せ方、人の出し入れ、伏線の回収、これらが繋がっていないので、謎が解けたときの開放感が無い。
でも密室トリックはカーの「爬虫類館の殺人」よりいい出来なのが惜しい。
これは一言つっこむと、どこで音がしたかって意外にはっきり見きわめやすいんですがね。



しばらく前に某出版社の世界推理小説全集で、「悪魔を呼び起こせ」とか「悪魔人形」とかオカルトミステリが紹介されましたが、ロースンよりもさらに何段か落ちるような作品でした。
都筑道夫はフィリップ・マクドナルドの「迷路」をポケミスに収録しようとして原著を手に入れたが、
結局ポケミスから出すことをやめたと書いています。
(実際には2000年にポケミスで出ました)。



マクドナルドも本格派の雄として知られていますが、
「鑢」
「ゲスリン大佐最後の事件/エイドリアン・メッセンジャーのリスト」
「フライアーズ・パードン館の謎」など、
どれも退屈でした。
とくに「フライアーズ~」は水の無いはずの館の中で水死していた、という魅力的な謎をもってきているのに、
まるで報告書のような書き方で何度読むのをやめようと思ったことか。
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