徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

渋谷で出会うポーラ美術館の印象派コレクション展

2006-02-08 | 美術
渋谷で出会うポーラ美術館の印象派コレクション展
2006/1/2(月)~2/26(日)
Bunkamuraザ・ミュージアム

ポーラ美術館の印象派コレクション展は、一回しか見に行く時間はないと割り切り、クロード・モネ《睡蓮の池》(1月に展示)と、ポール・セザンヌ《アルルカン》とゴッホ《アザミの花》(2月に展示)のどちらを見たいかと考え、《睡蓮の池》は、フィラデルフィア美術館でも、プーシキン美術館展でも鑑賞したので、もちろん2月。ということで2月になってからの初めての金曜日の2月3日の19時過ぎに寄ってきました。

ルノワール、モネがかなりの点数が出品されているので期待していましたが、終わってみた感想は、鈴木常司氏はやはりコレクターだなあというところです。ブリジストン美術館と国立西洋美術館で印象派に親しんできてはいたものの、印象派の画家の作品をきちんと系統的にみたことはありませんでした。今回のBunkamuraザ・ミュージアムの絵に付けられていた説明は、もちろん個々の作品の位置づけの理解を深めるのに助けになりました。しかし、説明の端々に伺える、どの展覧会に出品された作品とか画家の画風の変遷をきちんと追うところなど、鈴木氏の系統的に集めたいというコレクター魂のような印象を与えたのでした。たとえば解説が気になったのは下記の作品。

エドゥアール・マネ(1832-1883)
《サマランカの学生たち》1860年:ジルグラース物語を題材とする作品。スペイン写実主義の流れを汲む作品。「落選展」(1863年)(《闘牛士姿のV嬢》《マホの衣装を着けた若い男》《草上の昼餐》)以前の作品。同時期の作品としてはメトロポリタン美術館の「ギター弾き」(1861年)がある。

ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841~1919):
ルノワールは1883年以前の作品、たとえば昨年来日した《舟遊びをする人々の昼食》(1881年)《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》(1876年)の時期のものは、《ロバに乗ったアラブ人たち》くらいだったが、
《水浴の女》1887年:古典主義的な作品、アングル時代の総決算がフィラデルフィア美術館の《大水浴》。同時期の作品との説明。フィラデルフィアでもう一寸きちんと鑑賞してくればよかった。
《髪かざり》1888年:室内風景を描いた古典主義的な作品。
《レースの帽子の少女》1891年:1890年代の真珠色の時代の作品。

クロード・モネ(1840-1926):
1871年から7年間、アルジャントゥイユに住む。その時代の作品が5点。第3回印象派展に出品した《サン・ラザール駅の線路》(1877年)を含む。
《セーヌ河の日没、冬》(1880年):カミーユ夫人が1879年に没した直後の寒波のパリを描く。《日の出》に劣らず。昨年のオークラでみたカミーユ夫人の肖像が病気がちだったのを思い出します。
1883年からはジヴェルニーに住み、1897年に睡蓮池を作った。という時期の作品としては、《ジヴェルニーの積み藁》(1884年)、1895年に発表した《ルーアン大聖堂》(1892年)はPM6時の作品。《ばら色のボート》(1890年)は最後の人物を描く大作。《睡蓮》(1907年)は、構図も均整がとれ趣味のいい睡蓮です。

ジョルジョ・スーラ(1859-1891):
《グランカンの干潮》(1895):《グランド・ジャット島の日曜日の午後》で点描を完成させる直前の作品とのこと

ポール・セザンヌ(1839-1906):
《セザンヌ夫人》はないものの、《宗教的な場面》(1860-62)など初期の作品も揃えているところに吃驚。
《アルルカン》(1888-1890):この主題のセザンヌは始めてみました。

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)
《ヴィゲラ運河にかかるグレース橋》(1888年)は「アルル時代」の作品、《草むら》(1889)《アザミの花》と「サン・レミ時代」の作品。

 本展はポーラ美術館初の巡回展で、その珠玉のコレクションの中から、特に人気の高いモネ、ルノワールをはじめとした印象派の巨匠たちを中心に、21作家の世界に誇る名画80点をご紹介する試みです。ポーラ美術館のコレクションを代表する、ルノワール《レースの帽子の少女》をはじめ、モネ《睡蓮の池》、セザンヌ《ラム酒の瓶のある静物》などの名品を一堂に展覧いたします。美術ファンには、渋谷でポーラ美術館の名画と出会える絶好の展覧会です。
 ポーラ美術館のコレクションは、オーナーの故鈴木常司氏が40年以上にわたり収集したもので、作品の特徴や歴史、時代背景を研究し、西欧の近代美術の流れがわかるように教育的な配慮をしながら、収集したといいます。「優しさ」や「エレガンス」、「自然の美」など、収集家の思いを伝えるコレクションの数々を、新年を迎えるこの時期、Bunkamuraザ・ミュージアムでお楽しみください。
コメント (8)
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