徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

特別展「書の至宝-日本と中国」(後半)

2006-02-22 | 美術
特別展「書の至宝-日本と中国」(後半)
東京国立博物館
2006年1月11日から2月19日

 まだ、オルセー美術館、一角獣の記録も書いていません。ようやく19日に鑑賞した展覧会の1つめをアップできます。TB、コメントの返事が遅れますが週末にがんばります。

 18日に15:00頃に訪れると16:00からの整理券を配っているという。というわけで、19日最終日に久々に開門前の9:15分くらいから並んで入場しました。9:20から入場が開始されました。入りが悪いということで招待券を朝日新聞が大量にばら撒いたという噂の真偽は不明ですが、前売り券よりはとにかく招待券を持ったひとが多かったのは確か。
 第一室の王羲之の淳化閣帖(最善本)のところが混むのは判っていたので、まずはそこへ。第1週に訪れたときに鑑賞した冒頭の箇所のほうが、素晴らしかった。そして、今回のお目当てのひとつは、王羲之の双鉤填墨の国宝《孔侍中帖》(前田育徳会)。喪乱帖が前半に展示されていたが、後半は国宝 孔侍中帖 、妹至帖と展示された。本当は第5週に行けば後半の2点が鑑賞できたのだが妹至帖が鑑賞できず残念。国宝《真草千字文》(智永)(個人蔵)は、漢字の千字の手本。楷書と草書で書かれている。冒頭の《天地玄黄 宇宙洪荒 日月盈昃 辰宿列張》しか知らないので、展示箇所は途中で意味不明。「いろは」の意味と「千字文」の意味を考えると、あまりに内容が異なることに気づく。「千字文」は(少なくとも冒頭は)壮大な宇宙を謳い、「いろは」は無常を歌う。ある時代の文化はその時代までの環境や歴史が形成したのだろうが、その時代の生んだ「千字文」や「いろは」の文化がさらにその後の国民性の違いを形成したとしか思えない。

 これ以降は、御物・献上品、国宝が多すぎて、消化しきれないのですが、印象に残ったのは、
  • 《伊都内親王願文》 伝橘逸勢筆 1巻 平安時代・天長10年(833) 御物。三筆の橘逸勢は今回の展覧会ではこの一点。本文は伝橘逸勢筆、署名と赤い手印は伊都内親王。多くの赤い手印が押してあるところで真剣に願掛けしていることがよくわかります。
  • 《書状(恩命帖)》 藤原佐理筆 1巻 平安時代・10世紀 宮内庁三の丸尚蔵館蔵。達筆ですね。。藤原佐理は当日「大いなる遺産 美の伝統展」でさらに国宝《離洛帖》(畠山記念館)も鑑賞したということで、すごいことです。前半で出展されていた《国申文帖》とあわせて、現存する五通のうち三通を拝見したことになります。どの作品もややうすい墨で速い筆跡で一気に認めています。「一墨之様」と評されたとのこと。

     仮名の美~平安時代中期・後期では、
  • 国宝 古今和歌集巻第五(高野切本) 源兼行筆 1幅 平安時代・11世紀 個人蔵。断簡されていない高野切本を拝見。やはり断簡とは違い迫力があり素晴らしいですね。所謂第二種です。完全な形で現存するのは、あとは第八巻と第廿巻です。拝見する機会を得たいものです。

  • 万葉集巻第九残巻(藍紙本)藤原伊房筆、1巻 平安時代・11世紀 京都国立博物館蔵。これは4日間で書き上げたということは今BLOGを書いていて気がつきました。もう少し字をよく拝見すればよかったです。
  • 国宝 元暦校本万葉集巻第十二・二十 2冊 平安時代・11世紀 東京国立博物館蔵
  • 国宝 金沢本万葉集巻第三・六残巻 藤原定信筆 1冊 平安時代・12世紀 東京・前田育徳会蔵 。料紙は二重丸の雲母(きら)刷り。美しいです。前田利常の愛蔵品。
    前期に、
    桂宮本万葉集 源兼行筆 1巻 平安時代・11世紀 御物
    金沢本万葉集 藤原定信筆 1冊 平安時代・12世紀 宮内庁三の丸尚蔵館蔵
    を鑑賞しているので、五大万葉集は、あとは天治本。

  • 国宝 類聚歌合(二十巻本歌合)巻第八・十一 2巻 平安時代・12世紀 京都・陽明文庫蔵。 きちんと見そびれました。

    伝統の和様と個性の墨跡~鎌倉時代から室町時代~
  • 国宝 泉涌寺勧縁疏 俊じょう筆 1巻 鎌倉時代・承久元年(1219) 京都・泉涌寺蔵
  • 大燈国師上堂語 一休宗純筆 1幅 室町時代・15世紀 東京国立博物館蔵。自由奔放。字の最後の一画を伸ばして、「し」っぽのようになっていて楽しい。一休筆といって皆が納得。
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