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コラム(461):中国の掌で躍らされ続けた日中友好
――日中国交樹立とは何だったのか①
沖縄が待ち受ける次の運命
沖縄知事選は、沖縄県民が意識するしないにかかわらず親中路線を継続、選択したに等しいものとなりました。米軍基地があるからこそ沖縄は中国の侵略の魔の手から守られていたのですが、言葉巧みに反米ナショナリスムを煽られて、基地の県外移設を強く求める立場を三度選択してしまいました。
これで沖縄は今まで以上に中国の工作が活発化すると思います。なぜなら、沖縄のすぐそばで中国が軍事演習が行ってミサイルを発射しても、尖閣周辺に侵入しても、知事を筆頭に県民は何も言わないことが分かった以上、守りを固める台湾よりも、楽して沖縄が取れるという間違ったメッセージを中国が受け取ってしまったからです。中国はほくそ笑んでいます。
実際、台湾は、骨抜きにされた国民党以外の、大多数の国民が反中の防衛意識に固まっています。その上、米国の「台湾関係法」により米国製兵器の提供を受けることができるため、中国にとっては攻めにくい相手になっています。したがって、たとえ、中国が「いざ台湾侵攻」となっても、海軍力の全てを海の藻屑になる覚悟が必要な状態になっているのです。
しかも、最近では、米国から11億ドル(約1500億円)相当の武器(爆撃や対艦・対空ミサイルを追跡するレーダーシステムなど)が台湾に売却されると報じられている上、台湾は米国と単独の経済貿易協定を結ぶ話が進展しており、米台間の政・経・軍の緊密化が進んでいる現状では、台湾は難航不落となりつつあります。
そんな台湾よりも、反米ナショナリズムに煽らされている沖縄の方が、中国にとって目の敵の米軍基地を沖縄から追い出してさえしまえば、これまでと同様に、内側から沖縄を切り崩して「沖縄独立」の世論を喚起し、県民投票に持ち込んで、独立させれば、戦わずして沖縄を手中に収めることが可能になります。玉城氏の「日本政府から、アメリカから沖縄を取り戻す」とは中国の意を汲んでの発言です。
しかも、沖縄を奪取できれば、念願の太平洋侵出の夢はかないます。無理して台湾を攻めてボロボロになるよりは、コスト・パフォーマンスも抑えられるというメリットもあります。今回の沖縄県知事選、親中勢力の手のひらで転がされている玉城氏を再度選択したことで、沖縄県民が近い将来に待つ運命は、香港化、ウイグル化、チベット化のいずれかになると思われます。
選挙戦ではこの真実を堂々と述べさせればいいものを、経済のことばかり言わせていた佐喜真陣営の作戦参謀が一番愚かだったと思います。結果的に、沖縄県民を恐怖のどん底に突き落とす「隠れ親中分子」だったと言えると思います。
「日中友好」という言葉に騙された日本人
しかし、中国の発する誘惑に踊らされているのは沖縄県民だけではありません。これまで実に多くの日本人が中国の甘い言葉に騙されてきたことを忘れてはなりません。それは、最初から中国の走狗となった朝日新聞などを除いても、自民党国会議員から一般の人たちも含めて「日中友好」という謳い文句の前に、利益をちらつかせて骨抜きにされた人たちが、ものすごく多かったということを意味しています。
すべての元凶は、「バスに乗り遅れるな」という掛け声のもとに日中間の国交樹立を急いだことあります。そこには戦略的な思考もなければ、確かな将来ビジョンもえがけていません。国交を結ぶことが何よりも優先されたのです。それに加えて、同じ国民であっても平気で騙しあう中国人と、すぐ相手を信用する日本人の国民性の違いが悪い影響を与えてしまいました。
今年の9月29日は、中華人民共和国との国交が樹立、50年の節目に当たります。当時、大学三年生であった私は、この動き樹立に不満を抱いていましたが、今日の結果論からみても日本政府は誤った判断をしたということができます。
その理由は、国交樹立以降、日本が莫大なODAをつぎ込んでみたもののそれは中国の反日政策に利用されただけだったということと、国際社会で孤立していた中国を承認したことで中国の大国化を許してしまったことの二点に集約できると思います。要するに、日本は中国にいいように利用されたわけで、逆に言えば、中国を増長させ、日本に圧迫を加えるようになったのは、ひとえに日本に原因があったと言っても過言ではありません。
実際、実に多くの日本人が中国に積極的に協力しました。「中国大陸で戦時中日本人が悪いことをした」と言う中国のプロパガンダに踊らされて贖罪意識をもった日本人がいかに多かったことか。そして、これに応じない人間に対して、中国はハニー・トラップ、あるいは金銭の授受を行いました。これらによって、全党派の国会議員、学者、文化人、さらに、メディアから商社マン、モノづくりの技能者に至るまで幅広く多くの人たちが中国に取り込まれ、中国の風下に立っています。
これは中国によるサイレント・インベージョン【※1】です。その影響で、今日の日本は中国の強圧的な影響力を排除することができなくなっています。騒がしい安倍元総理の国葬反対の声も、中国を国際社会から孤立させようとした安倍元総理の功績を地に貶めたい中国の指示であることは間違いなく、訳も分からず騒いでいる日本人にはあきれるばかりです。
【※1】サイレント・インベージョン:武力を行使するような表だった侵略行為ではなく、ハニー・トラップや献金などを通じて「頭が上がらない」状態にすることで国の実力者を言いなりにし、最終的には実質的な属国・傀儡国家とする、中国が最も得意とする国家戦略。
(続く)
次回は
「焦って国交を樹立した理由」
「日中国交樹立は中国のためだけにあった」
を論じます。
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