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コラム(464):
中国の野望を打ち砕いた男、その名は安倍晋三
銃弾に倒れた後も、安倍元総理は誹謗中傷を浴びせられています。日本を、そして世界を中国の魔の手から救った大恩人を、心ない人びとはなぜ死しても鞭打ち続け、国葬儀までも台無しにしようとしているのでしょうか。中国春秋時代の伍子胥(ごししょ)に由来する「死者に鞭打つ」作法は日本人の感性にはなじみません。安倍元総理に鞭打ち続ける連中の精神性には中国が深くかかわっていると言っても過言ではないと思います。
では、なぜ中国がそれほどまでに安倍元総理を憎むのか、それを理解すれば自ずと安倍叩きの原因がわかると思いますし、そこから安倍元総理の思想と行動の意味がよく理解できると思います。そこで、本稿では、世の中の適当な評論とは全く違う視点から、生き馬の目を抜くような厳しい国際社会の中での安倍元総理の足跡を追いながら、歴史の真実に焦点を当てつつ、その行動の意味を検証したいと思います。
民主党政権下、それは日本が孤立化する始まりの時代だった
2009年6月、メディアの扇動でつくられた民主党政権ほどひどい時代はありませんでした。今でも「野党に政治をまかせることはできない」と国民に強く認識させるほどの大失敗の連続でしたが、外交分野に特化しても、国際社会における日本の孤立化を招いたと言っても過言ではないほどの稚拙な外交を繰り返していました。
例えば、最初の総理大臣の鳩山さん、普天間基地の移設問題で無責任に「最低でも県外」と言い出し、アメリカには「trust me(トラスト・ミー)」と言って不信感を増幅させました。
このときの米大統領はオバマ氏で、この時代、大統領やクリントン氏をはじめ米民主党は中国に取り込まれていました。実際、オバマ氏の異母弟は中国の食客、クリントン夫妻は「中国との黒い関係」が取りざたされており、鳩山さんの発言と行動は日米間の関係をますます悪くさせるだけでした。
次の菅直人さんの時代は、尖閣での中国漁船衝突事件がありました。中国側の領土侵犯という重大な問題なのですが、親中で何も抗議できない日本政府を横目に、中国はレアアースの禁輸などで逆に日本を締め上げてきました。弱いと見た相手に強気で対応するのが中国の手法です。
その次の野田内閣の時は、ロシアのメドヴェージェフ首相の北方領土訪問で日ロ関係が悪化、また、韓国の李明博大統領 が竹島に上陸しただけでなく、天皇陛下に謝罪を要求したため日韓関係が急激に冷え切りました。このような中で、野田さんは尖閣の国有化を宣言したため、日中関係はさらに最悪となりました。
中国は、親中政権である日本の民主党政権が中国には何も逆らえないことを見越し、さらに、日米関係がもやもやしていることに乗じて、日露間、日韓間を分断して日本の孤立化を図ろうと考え、2012年11月に「反日統一共同戦線」を結成しました。このことはロシアの公式情報である11月15日の「ロシアの声」(現在の「スプートニク」)に掲載されていたのですが、当時の日本は総選挙の真っ最中で誰も関心を払っていませんでした。
それら三国とも日本との領土問題をかかえていますので、中国提案の反日包囲網形成にすぐに飛びついたのだと思います。したがって、総選挙で復活した第二次安倍政権の外交政策は、日本包囲網をいかに打ち破っていくかの戦いから始めなければなりませんでした。
第二次安倍政権の外交はオセロゲームにも似て
2012年12月の安倍元総理の復活は、国内的には保守本流のプリンスが返ってきたことを歓迎する声が圧倒的でしたが、国際的には、日本の孤立感は深まるばかりでした。それは、オバマ米大統領の日本嫌いに加えて民主党政権下の基地問題という負の遺産をかかえ日米関係はギクシャクしていたことと、李明博路線を引き継いだパククネ韓国大統領は中国の指示に従い世界各地で告げ口外交を展開していたことなどが原因と思われます。
極め付きは2013年12月の安倍元総理による靖国参拝でした。この時は、なぜか中韓のみならず、米英仏、オーストラリア、ロシア、台湾までが靖国参拝を非難しました。中国による工作とその手先となった韓国の告げ口外交が日本をここまで追い詰めたのだと思います。この時点で日本は、中国の思惑通り、日米間の亀裂、日韓、日露間は険悪、英仏独の欧州や豪の日本無視の構図が出来上がり、孤立無援となったと言えます。
ここまでに至ったのは安倍元総理に対する中韓の「歴史修正主義者」とのレッテル貼りでした。当時からブログを書いていた私も、なぜ、欧米諸国や台湾までも安倍元総理のことを「右翼」、「軍国主義者」呼ばわりするのかと思っていましたが、この汚名を着せたのが中国の仕業とわかると、この疑問は氷解しました。
そんな中にあっても、安倍元総理は強運の持ち主でした。日本包囲網が解けるチャンスがきたのです。それは2014年3月に起きたロシアのクリミア併合です。これを境に、アメリカはロシアに目を向けざるを得なくなり、相対的に日本に対する非難が少なくなったのです。
また、2015年3月には、中国がAIIBを設立しました。そこには、英仏独伊、スイスやオーストラリア、イスラエル、韓国などが参加するという事態になり、オバマ政権をいらだたせる事件がありました。幸いなことに安倍政権は中国の奸知を察していたため日本は参加しませんでした。これが、オバマ氏の対日評価を変えるきっかけとなったようです。
きわめつけは、その翌月の4月、安倍元総理のアメリカ議会演説「希望の同盟」【※1】でした。これは悲観論に満ちていたアメリカ国民を勇気づけただけでなく、日本嫌いのオバマ大統領をして「歴史的な訪問に感謝する。日米関係がこれほど強固であったことはない」とツイートさせました。この時点で、日米間の亀裂は修復されたと言っていいと思います。
【※1】「希望の同盟」演説の最後の部分:「なにものにもかえられない、大切なものを与えてくれた。希望、です。米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、 希望である、希望でなくてはなりません。米国国民を代表する皆様。私たち の同盟を、『希望の同盟』と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、 世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。希望の同盟 ――。一緒でなら、きっとできます。ありがとうございました」
また、2015年12月には、韓国との慰安婦合意を締結しました。韓国が約束は守らない国であることは知っていても、日米同盟を強固にする観点からアメリカの意向を受け入れ、かつ、中国による日韓分断の工作を破壊するため清濁併せ飲んでの決断でした。これで中国の日韓分断のたくらみが壊されました。
その後2016年12月にはロシアのプーチン大統領が来日、27回目の会談を行いました。これで日露の友好関係も修復され、中国が工作した日露分断も無効にしたと言えます。なお、北方領土問題については、ロシアは最初から返す意思がないことは誰もがわかっていることなのですから、安倍元総理のロシア外交は失敗だというのは言いがかりにすぎません。それを知っていながら、わざと言う方が悪意ある人間であると思います。
さて、2017年、アメリカにトランプ大統領が誕生しましたが、その就任直前に安倍元総理がトランプ氏の私邸を訪れ、個人的にも深い信頼関係を築きました。この信頼関係がのちのG7会合で安倍元総理の存在を輝かせます。
2018年のカナダでのG7サミットではドイツのメルケル首相が机を叩かんばかりにトランプ大統領に迫る場面がありました。そのときトランプ大統領は「シンゾー、お前はどう思う?」「シンゾー、言うことを聞くからあとはまとめてくれ」と安倍元総理に丸投げをしました。安倍元総理はG7のなかの「トランプ大統領対欧州」の対立の間に入って見事に調整し、以降、英仏独の首脳の心をがっちりつかみました。
このとき、日本は国際社会で確固たる地位を築いたと言えるのではないかと思います。
さて、ここまで、安倍元総理の外交の軌跡を分析すれば、まるでオセロゲームのように、状況を一つ一つひっくり返しているのがわかります。2013年の靖国参拝時には、日本を白石とするとまわりは黒石ばかりでした。しかし、時がチャンスを呼び込み、黒石を一つ一つ白石にひっくりかえして、中国の狙っていた日本包囲網はどこにも見あたらなくなりました。
それどころか、ひっくり返した白石とともに黒石の中国を取り囲んでしまいました。この安倍元総理の凄腕を私たちはなんと形容したらいいのでしょうか。(つづく)
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