韓国の危機——トランプに切られる運命か
韓国では大統領の弾劾が事実上確定的となり、政治的混乱が続いています。現職の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は「死に体」とされ、辞任は避けられない状況にあります。これに伴い、韓国では左派勢力によるクーデター的な動きが顕在化しています。
現在、韓国のメディアでは「民主主義を守る野党」と「民主主義を破壊する尹大統領」という構図が強調されていますが、この見方は単純化されすぎていると言わざるを得ません。尹大統領への弾劾理由には、親日的な外交姿勢も挙げられています。これにより、韓国の自由民主主義体制そのものが危機に瀕しており、国家としての基盤が音を立てて崩れているように見えます。
次期政権は、極左勢力による左派政権となる可能性が高いと見られています。このような状況において、韓国は民主主義国家としての性質を失い、国際社会における信頼を大きく損なう懸念があります。また、トランプ前大統領が次期政権の韓国に対して距離を置くことは避けられないでしょう。これにより、米韓関係にも冷え込みが生じる可能性があります。
このあたりの事情を専門家に伺い、許可を得て掲載いたします。
韓国で今起きていることは何かというと、私は「左派クーデター」だと考えています。
保守派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、政権運営に行き詰まっている状況です。その原因の一つは、彼自身や妻のスキャンダルにあることは間違いありません。しかし、尹大統領が主張していることにも一理あるのです。
現在、国会の3分の2近くを左派が占め、大臣や行政官22名が罷免される事態に至っています。これは、ある意味で「国会独裁」のような状況です。さらに、行政府や司法府にまで干渉し、検察官や裁判官を罷免する動きも出ています。加えて、予算案も一向に通らず、国家統治が完全に機能しない状態に陥っています。
これは、大韓民国という自由民主国家を否定する「左派の謀略」とも言えるでしょう。そのため、尹大統領は最後の手段として、戒厳令の発動に踏み切りました。しかし、それも見事に逆転されてしまったのです。
そのため、大統領はますます追い詰められ、今度は2回目の弾劾法案が提出される見通しです。この弾劾法案が可決されるかどうかは現時点では分かりませんが、可決されそうな勢いです。与党内からも「裏切り者」が出始めていることが、その可能性を高めています。
つまり、今の韓国では、自由民主国家の根幹が揺らいでいるということです。言論の自由に基づき、選挙によって統治者や為政者を決める民主政治が、失われつつあるのではないかということです。
弾劾理由の中には「親日外交」も含まれています。
日本と友好関係を築こうとする外交政策そのものが、弾劾の理由になっているのです。これは、自由民主国家・韓国の終わりを意味するのではないでしょうか。
尹大統領は、左傾化し反日・反米に偏った外交を何とか立て直し、日本との協力なくして韓国の国防は成り立たないと判断し、その方針を進めてきました。しかし、自衛隊機に対するレーザー照射事件の処罰や謝罪については、しっかりと対応せずに曖昧にしてしまった点で、親韓政策を取った日本側にも問題があると言えます。
それでも尹大統領は日本との協力を模索する路線を取ってきたものの、その路線すらも成立しなくなっている状況です。このまま韓国が現在の外交路線を進めるならば、確実にトランプ前大統領に切り捨てられることになるでしょう。
「共に民主党」のトップである李在明氏は、いずれ大統領になる可能性が高い人物です。彼は極めて左派的な思想を持ち、親北朝鮮の立場を明確にしています。
そのような人物が大統領の座に就き、さらに議会も3分の2が反日・反米である状況では、今後どのような政策がとられるかは明白でしょう。
結果として、日本の防衛ラインは対馬に引かざるを得なくなるでしょう。アメリカとの共同防衛ラインも、必然的に対馬へと移行せざるを得ない状況になると考えられます。
おそらく、こうした韓国の動きに対し、トランプ前大統領が「NO」を突きつけることで、在韓米軍の縮小や全面撤退が現実味を帯びてくるでしょう。これは「共に民主党」や韓国左派勢力にとっては歓迎すべき事態であり、「アメリカは出ていけ」という主張が通ることになります。
当然ながら、日本との連携や融和も期待できず、韓国は強硬な反日国家へと進んでいくことが考えられます。そして、北朝鮮の影響力が韓国全体に及び、北朝鮮の主張や意向がそのまま反映される「間接統治」のような状態に陥る可能性が高まります。
その結果、自由民主国家である韓国は失われるでしょう。憲法上では「自由民主国家」という条文が残るかもしれませんが、現実には自由と民主主義が形骸化してしまうことになるのです。
韓国において、日本との友好を訴えることや、歴史の真実、例えば「慰安婦の強制連行はなかった」といった主張をすることや韓国統治時代について真実を語ることは、もはや許されなくなりつつあります。
その結果、捏造された歴史が真実として広まり、本当のことが語られなくなってしまうのです。そのような状況の中ではアメリカを「敵」と捉える考え方が広がっていきます。
韓国の左翼勢力は「北朝鮮のナショナリズムこそが正しい」とする思想を支持し、戦後アメリカと日本が作り上げた「大韓民国は悪い嘘の国家だ」と主張しています。これは韓国の国家そのものの存立基盤を否定するものです。
もちろん、こうした主張に反対する人々も存在しますが、彼らは少数派であり、その声は十分に届いていないのが現状です。そのため、韓国には確信を持った「民主的ナショナリスト」がほとんど存在しないという状況になっています。
強いて言うならば、サムスン財閥に代表される「グローバリスト」層は韓国にも存在し、彼らが「保守」と呼ばれているのが現状です。
よくこの四象限図を使うのですが、韓国には「民主的ナショナリスト」がほとんど存在しないんですね。
一方で、北朝鮮の独裁的なナショナリズムに呼応する左翼は存在します。
右側、つまり保守層には無国籍企業的なグローバリストが少なからず存在しています。
こうした勢力同士の対立構造が生まれてしまうわけです。しかし、無国籍企業的なグローバリズムとナショナリズムというのは、本来交わるものではないため、グローバリズムが攻撃されやすくなっている状況です。
韓国においては、ナショナリズムが左派によって乗っ取られてしまい、北朝鮮の全体主義的なナショナリズムと韓国左派のナショナリズムが同一視されるようになっています。結果として、韓国には民主的なナショナリストが非常に少ないという現状があるわけです。
トランプ政権がスタートすると、やがて在韓米軍の引き上げという議論が必ず出てくるだろうと思います。