赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

②戦争のカタチを変えたウクライナ戦争

2023-02-23 00:00:00 | 政治見解



②戦争のカタチを変えたウクライナ戦争:230223情報

昨日に引き続き「戦争のカタチ」が、従来の、私たちが知っている「戦争」とは違う形になってきていることを考えてみたいと思います。

まずは「宇宙とサイバー空間から見たウクライナ戦争」からです。まるでSF小説の世界のように見えますが、その模様を専門家が以下のように語っています。




■宇宙とサイバー空間から見たウクライナ戦争

2022年、世界の誰もが想像しない作戦が進行していた。それが、ウクライナ侵攻作戦だ。ロシアは事前に、ウクライナ軍の通信網を無力化。民間のインターネットすら使用不能に。特殊工作員は、侵攻後の戦いを有利にするために、首都に潜入して工作を始めるなど…

あまりにも思惑通りに進む計画に、ロシア高官の誰もが、「10日でウクライナを我が物にできる」、そう思っていた。

しかし、その思惑は予想外の結果になる。あなたもご存知の通り、戦争は、まもなく1年が経とうとする。いま現在も続いているのだ。一体なぜか? それは、にわかには信じられないかもしれないが、アメリカの「宇宙」での暗躍が影響していた。

米国の政府や国防産業関係者、専門家たちによると、ロシア軍は確実に、ウクライナの衛星通信の無力化に成功していたという。

ところが、米軍の暗躍の結果、ロシアが封じたと思っていたインターネットが利用されるどころか、接近するロシア軍の戦車や装甲車、ドローンなども、映像を通してリアルタイムで把握され、ウクライナ軍は、米軍から教えられたロシア軍戦車などの急所を正確に攻撃し、戦況を持ち直していったのだ。

このように、現代の戦争は、銃や戦車のような、単純な武力攻撃だけではなく、宇宙空間で行われる工作に、大きく左右される。この戦争の形の変化は、実は、米・中・露といった大国だけでなく、北朝鮮までもこの宇宙での軍拡に力を入れている。

さらに、脅威はこれだけではない。私たちの住む日本にも、その魔の手が迫ってきている。



戦争のカタチは、「第四の戦場」と呼ばれている宇宙空間での戦いや、90年代以降に登場した「第五の戦場」と呼ばれているサイバー空間での戦いにまで進化してきました。すでに、この第四、第五の戦場も現代では世界の常識になっており、さらに時代は進んで、第六の戦場と呼ばれるものも出てきています。

「第六の戦場」とは「認知空間」の戦い、すなわち。人の脳を押さえる“制脳権”争いを指します。


■「制脳権」とは、どういった概念か。
文字通り、“脳をコントロールするパワー”という意味。具体的には、自分たちにとって都合がいい情報を流しながら、人々の認識や感情を変えて、最終的には行動や世論に影響を与えること。この言葉は、10年近く前に中国の軍事戦略の中で提起されたものだが、この考え方は大昔からあった。第二次世界大戦では、ラジオや軍用機から撒かれるビラなどがツールとして使われていた。ただ、現代ではインターネットやSNSが普及しているので、直接的にスピード感をもって広がるのが特徴だ

■衝撃的な映像や感情に訴えることなどが制脳権につながるのか。
衝撃的な映像やテキスト、『誰かに拡散したい』と思うようなコンテンツが制脳権争いではよく使われる。

■制脳権により、SNSを通じて私たちが知らないうちに何かに加担している可能性もあるのか。
安全保障関係者の間では、10年以上前から『ソーシャルメディアは兵器だ』という認識が広がっている。ソーシャルメディアが兵器だとすれば、それを利用している私たちも当然兵器になっているという認識を持つ必要がある。

■認知戦ではどのような種類の情報が使われるのか。
典型的なのは偽情報。例えば、『ウクライナやアメリカが生物兵器を開発している』『ウクライナ侵攻前にはロシアは戦争する気がなくて、演習が終わったため兵を撤退している』などは典型的な偽情報で、ファクトチェックが可能だ。ただ、実際には偽情報やうそ以外にも、事実や意見、歴史的記憶に訴える方法も使われている。例えば、プーチン大統領は『ロシア・ベラルーシ・ウクライナは兄妹国家だ。ロシアの起源はキエフ公国にある』と言っていた。これ自体は事実だが、プーチン大統領はウクライナ侵攻の文脈でこれを正当化する目的で使っている。こうした観点では、まさに正しい情報が情報戦に使われている典型例だと思う。ただ、これはウクライナ側も同じ。ゼレンスキー大統領は、日本の国会演説で『原発』『サリン』『復興』といった日本人の感情に訴えるような言葉を使った。だから、ウクライナ側も認知戦を行っているという認識をもつ必要がある。

■SNSを通じて、人々の好奇心が拡大していく面もあるのか。
私たちが関心を持つトピックやテーマが悪用されるのが典型。例えば、2016年の米大統領選挙では『銃の規制』『人工中絶』『人種差別』『移民の問題』といったトピックが認知戦のテーマになり、偽情報や様々な情報工作に使われていたことがわかっている。私たちが普段から関心を持っているテーマ、特に議論を呼ぶテーマや対立軸があるようなテーマは非常に使われやすい。

■各国首脳や前線に立つ人たちにとって、制脳権はメジャーな話なのか。
制脳権という言葉自体は比較的新しいものだが、情報戦やプロパガンダという意味では昔から使われていた。大きな例を挙げると、1990年の湾岸戦争で、当時アメリカのメディアの中で、ナイラという15歳の女の子が泣きながら『クウェートの病院にいる赤ちゃんがイラク軍の兵士に殺された』と訴えた。アメリカの世論は同情し、議員は『アメリカはイラクに介入すべき』という主張をした。しかし、実はこの話自体が嘘であることがわかった。ナイラという少女も、アメリカにいるクウェート大使の娘だったと発覚した。これも世論を変えるという意味で、認知戦の典型例だと言われている。

■制脳権は、どこまで人を支配できるか。
正直、完全な支配は難しい。ただ、脳神経科学あるいはブレイン・マシン・インタフェース(脳と機械を直接つなぐ技術)が発展し、『人間にどのような刺激を送れば行動が変わるのか』『どのような情報をもったときに自分の脳波は反応するのか』といった研究が進めば、支配とはいかないまでも認知に働きかけるような工作活動が行われると思う。

■制脳権に侵されないために、私たちができることや対処法はあるか。
決定的な処方箋はないと思う。ただ、スウェーデンでは戦時における国民向けのマニュアルが公開されていて、その中には『偽情報に気をつけよう』という項目がある。具体的には、『その情報は事実に基づいているのか、意見なのか』『なぜこの情報は発信されたのか』『情報源は信頼できるか』『いつ公開されたのか』『なぜ今この情報が公開されたのか』など。そういったことに気を配りながら、情報の政治的な意図や背景に注意することで、少しでも備えることはできるかなと思う。



この新しい「第六の戦場」は米中露といった軍事大国だけではなく、隣国北朝鮮などにも注目しているようです。世界中で戦場のアップデートがされている中、すでに10年以上の遅れをとっているとまで言われている日本。このまま日本の国防はどんどん弱くなってしまうのでしょうか?

遅ればせながら、日本の防衛省も、世界中から発信される情報を分析する「グローバル戦略情報官」のポストを新設したとの話があります。

国内での国防論は、旧態依然の「陸海空」に「核」のことばかりで、ああでもない、こうでもないという議論に外国勢力の手に落ちた輩の反戦論が入り混じって、時代の変化に対応していません。本気で国防を考える国民が増えることを望むばかりです。




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