コラム(25):翁長知事、安倍総理に会った理由
8月7日、安倍総理は翁長沖縄県知事と官邸で会談しました。
職務逸脱のNHK解説委員
これについてNHKの安達宜正解説委員は「安倍政権が強気一辺倒では行かなくなったことは確かだと思います」と述べました。
そして、沖縄の反対世論の高まり、安全保障関連法案の審議、九州電力川内原発再稼働、戦後70年談話、内閣支持率の低下傾向などを挙げ、「安倍政権は国民の声を聞かない強権政治を払拭するために、沖縄県知事と会談を持ったのだ」と結論づけました。
安達宜正解説委員は解説委員としての職務を超え、自身が所属する日本共産党員としての主張を繰り広げたのです。
見落としてはならないポイント
安倍―翁長会談の最大の目玉は、平成28年度の沖縄振興予算について、翁長知事が3000億円台の確保を要請し、これを安倍総理が努力すると述べた点にあります。
翁長知事は来年度予算編成のスタートを前に、反基地活動で予算が減額されることを怖れ、安倍総理に頭を下げに行ったということが真相です。
沖縄振興一括交付金は最大の利権
沖縄振興予算は、県知事の自由裁量で使用できる一括交付金と、国が使い道を指定した国直轄事業の公共事業関係費の二つに分類できます。
平成27年度の一括交付金は1,618億円で、前年に比べ140億円が減額されています。今年度減額された理由は、明らかに移転に反対している翁長知事への牽制です【※1】。
【※1】自民党籍の那覇市長であった翁長氏が共産党らと手を組んで沖縄県知事に当選し、工事を妨害していることへの制裁措置。
国の補助金が頼りの沖縄県政にとって一括交付金が減額されることは知事の県内の政治力が弱くなるため、それを食い止めなけばならなかったのです。
翁長知事の本心
以前も指摘したように、翁長知事は利権獲得のためには何にでも手を染める政治家です。いままでは、中国からの資金援助があり、中国の言いなりに動いてきたのですが、中国経済の悪化など状況が変わってきたため、中国からの援助は急速に低下しています。そのため、沖縄振興予算に頼らざるを得なくなったのです。
反基地活動に隠れた欲望
こうした翁長知事の心の揺れに気付く人はまだ少ないようです。しかし、時間の経過とともに翁長知事のスタンスが微妙に変わってくことに気がつくはずです。また、反基地活動も、中国からの支援が先細りになるので、運動自体が先細りになりそうです。
結局、沖縄の活動は「金の切れ目が縁の切れ目」となりそうです。利害関係だけで結びついた沖縄の反基地活動は今後、振興予算の配分をめぐる抗争に発展するのです。日本の左翼運動の歴史はここでも繰り返します。
欲望だけで動く政治や組織のあり方を早く終わりにしなければならないと思います。
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