赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

財務省解体論(第一回)——財務省は税の分配しか興味がない

2024-11-27 08:00:00 | 政治見解
財務省解体論(第一回)——財務省は税の分配しか興味がない




11月25日に開催された全国知事会では「年収の壁見直しによる地方の減収分は国が負担すべき」との声が上がりました。

山梨県 長崎幸太郎知事:「103万円の壁の減収の補填はマスト。全額ぜひ真水で求めていただくべきだと思います」
鳥取県 平井伸治知事:「財源について国がちゃんと考えろということを我々は言いたい」

みなさん、地方行政の資金繰りのことで頭がいっぱいで、「県民を豊かに富ませる」ことはどこかに置き忘れています。

そして、この会合での「財源問題」が総務省の根回しで言わされているとの指摘に対して、
鳥取県の平井伸治知事(元自治・総務官僚)は
「あたかも特定の省庁が全国知事会の首長たちを操ってる構造を描いてることは大問題。そんなちっぽけなことを言ってるんじゃなくて、日本の天下国家のことを考え、住民の暮らしを守るために我々は責任を果たしたいんだ」
宮城県の村井嘉浩知事も
「あたかも総務省が我々に根回しをして、我々が総務省のコントロール下に置かれてるような。我々が総務省、国に何かを申し上げることはあっても国のコントロール下に置かれるということは全くない」
と述べています。

元総務官僚の鳥取県知事はともかく、立派な宮城県知事までが――全国知事会会長という立場だからしょうがないかもしれませんが――「総務省に言わされていない」と発言せざるをえませんでした。

これを裏返せば、「総務省というな」との圧力とともに口封じがあったものと推測しています。

同時に、この財源問題の裏にいるのは最強の官庁「財務省」がいるのは間違いありません。すべての官僚組織は、予算を羊地に取る財務省には忖度と絶対服従で応えているからです。

そんな財務省について、今日から 5回にわけて「財務省解体論」を提起します。本文を通して、財務省が国民の富を増やすことよりも、税金を搾取素続ける怪物であることを認識していただきたいと思います。なお、本文は、講演者の特別の許可を得て掲載するものです。
(なお、本講演録は岸田首相在任期間に収録されたものです。)


ハシゴをはずす財務省——岸田前首相の事例

昨今、元内閣官房参与で財務官僚でもあった高橋洋一さんが、財務省が首相のハシゴを外しているということを言っています。

実際そのとおりでありまして、岸田総理が「税収増の分を国民に還元する」というふうにまず発言したわけですが、それに対して鈴木俊一財務大臣が「税収増分はもう既に使用済みだ」と記者会見で話 したり、あるいは宮澤洋一自民党税調会長——この人は岸田さんのいとこに当たるんですけども、この人も財務省に非常に近いと言われていますが――、日経新聞のインタビューで岸田さんが言っている所得減税について、「あれは還元ではない」と 言ったりします。

面白いのは、鈴木さんも宮澤さんもいったんそう言っておきながら、次の場所になると発言をもう弱めている。つまり、最初に財務省にレクチャーを受けたり、財務官僚から聞いたことをそのまま口に出しているんじゃないかと。

では、なぜ財務省はハシゴを外すのかということですが、これは今に始まったことではないと思っています。去年の12月に岸田内閣は防衛費を大幅に増やすことを決めたわけです。その時に財務省が提示した案よりも、岸田さんが上乗せしたと言われています。

岸田さんの一族も実は財務官僚が多くて、親戚にも財務省が多いと。選挙区の広島県というのはもともと財務省出身の首相である池田勇人さんとか宮澤喜一さんの出身地でもあり、それだけ財務省の影響力 が強いと言われているわけです。

当然、その財務省に近いとされていた岸田さんが総理になったから、財務省としてはもっと言うことを聞いてくれると思ってたんじやないでしょうかね。それが、 多少言うことを聞くわけだけど、やはりいろいろと突っぱねると。それに不満を持っているのではないかと見られています。

ただ、これは今に始まったことではないと言いましたが、新聞を何紙も読む人は少ないでしょうけれども、私のように職業柄読む者にとっては面白いろいろ現象が 見受けられます。

財務官僚が財務省幹部などの肩書きで、匿名ではあるものの、岸田政権批判などを繰り返す場面が新聞によく出てくるんですね。財務官僚は自分が 財務官僚であることを隠さずに、首相批判をする。これは二つの意味があって。

一つは、岸田さんが財務省になめられているということではあるけれども、同時に財務省は不満を持っていると。その二つを意味すると思っています。

ですから財務省としては、岸田さんを突き放してきているということです。特に内閣支持率が今非常に下がっておりますし、岸田政権の体力が弱まっている。そういうふうになると 岸田政権がもしかしたら長続きしないのであれば、よけい見放すという状況が生まれます。

ただ、これはひとえに岸田政権だけの話ではなくて、歴代ずっとそうだったという言い方もできると思います。財務官僚は将来有望な政治家などに対しては、若手議員の頃から担当を貼り付けたりして、いろいろと支援をしたり勉強会を開いたりして、取り込んでいきます。これは財務省が一番うまいんですね。将来的に操ろうということを狙っているわけです。

例えば有名なところでいうと、小泉純一郎さんなんていうのは郵政改革をやったというイメージが強いですが、あの人も自分自身で国税族と言っているように財務省に近い。だから、財務省が嫌がるようなことはしなかったと。


財務省と戦ったのは安倍元総理だけ

では、財務省と戦った政治家は誰がいるかというと、これは安倍さんしかいないんですね。特に安倍晋三さんの2次政権からは、財務省との戦いが水面下では常に行われていました。

安倍さんも第1次政権の時は、財務省に対してそこまでやるかと思っていなかったので、財務省の言うことを概ね受け入れていたんですね。

ところが、どうもおかしいと。財務省の言うとおりにやっていると、景気は全然良くならないじゃないかと。逆に「失われた30年」と言われるような停滞が来 ていると。「財務省は、もしかすると正しくないのではないか」という疑問を、まず安倍さんは抱いたのだろうと思います。

特に安倍さんは第1次政権を1年で手放すことになってしまって、それから5年数カ月の雌伏の時代を迎えるわけですが、その間に徹底的に経済を勉強したわけですね。

第1次安倍政権の時はそういうふうに経済財政に関しては人任せだった部分がありました。例えば首相になる直前に私と話した時には、安倍さんは「経済政策を 間違えても国は滅びないけど、外交安全保障を間違えると国が滅ぶ」と言っていました。しかし、ご存命であったら今は「経済政策を誤っても国は滅ぶ」と、きっと言うのではないかなと思います。

そこで雌雌伏中に本当に勉強しまして、先ほど言いました高橋洋一さんもそうです が、財務省の中の異端の方々、本田悦朗先生とかいろいろな方と親交を深め、勉強会を開いて徹底的に学んだ。そして財務省は正しくないという結論を得たわけですね。 

例えば、これは私が第2次安倍政権の時のある時、首相に聞いたんですけれども、「財務省はどうしてあんなに消費税上げ一本槍で、消費税を上げたがるのか。消費税を上げて経済成長が止まって、かえって景気が停滞したら意味がないじゃないか。税収も減るんじゃないか」という趣旨のことを聞いた時に、安倍さんはまず一言。「財務省は経済が分かってないから」と答えたんですね。「へえ」と思って、「面白いな」と思って続きを促したら、こうおっしゃっていました。

「財務省、特に予算編成をつかさどる主流派の主計局あたりは、集めた税を再分配することしか やっていないから、生きた経済を分かっていない。彼らにはその必要がないからね。私も最初はまさかと思ったけれど、いろいろと彼らと話をしていて、財務官僚が経済を知っているというのは違うと分かった。財務省内には消費税引き上げ一辺 倒のやり方に疑問を持つ人もいるだろうカヾ、それは対外的に言えないんだ」という ことを言っていました。

それを聞きながら私は、なるほど、そうかと。私も別に経済畑ではないので、そういう分野に詳しいわけでもなかった、今もないのですが、しかし何となくイメー ジとして財務省は経済政策とかで景気を良くしようとか、経済成長させようとしているんだろうと勝手に思い込んでいましたが、違うんですね。財務省というのは税を集めてそれを分配する、役所のための役所だったんですね。なるほどと思いました。

(つづく)
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