⑨中国のロビー活動の実態——質疑応答 その1
(続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)
続いて、質問に答えてまいりたいと思います。
寄せられた質問の1番目。
「成田空港周辺の土地が中国人に 買い占められているという話を聞きました。これが事実だとすると、どういった狙いがあるのか気になります。これは本当の話でしょうか。」
まず事実関係なんですけれども、これは登記簿謄本を取って私が調べたわけではないので分かりません。分かりませんけれども、仮に買い占められているとみられる土地の登記 簿謄本を取ったとしても、日本人の名前が出てくれば確認するのはより難しくなります。
だいたいいつもカモフラージュするために、日本人が表に出てくるんですね。土地の爆買いなんていうのもありますけれども。なぜならば、登記簿上の名前が日本人でも、金を出している実質的なオーナーが中国人であれば、これを見抜くのは至難の業です。
2022年9月に全面施行された土地利用規制法というのがございます。これは安全保障上重要な施設の周辺や、国境離島を対象とする区域指定を日本政府が進めているんですけれども、今年4月、2024年4月に第4弾となる28都道府県の184カ所を新たに指定しておりま す。
この2年前の9月の全面施行後、指定はこれでトータル538カ所となっております。ただ、成田空港は私が調べた限り、中止区域にも重要中止区域にも指定されておりません。いずれ指定される可能性はありますが、なぜ指定されないのか、理解できません。成田空港は国際援助活動など、政府の支援活動で物資輸送をする際に、政府専用機や自衛隊機を 使ったりするため、空港の中でも特に重要な場所であるからなんですね。
指定されていないことをいいことに、中国資本が特定の意図を持って、つまり有事を引き起こしたり、有事で破壊活動を行ったり、あるいは平時に社会混乱を引き起こす目的をもって購入している可能性もあります。
この社会混乱を引き起こす目的というのは、今私がこれを話している時はパリで夏のオリンピックが開かれているんですけれども、フラン スの高速鉄道TGVが仕掛けられましたよね。放火されました。あれは社会混乱を狙ったものなんですね。戦争でなくてもそういうことをやる可能性がある。
成田じゃないんですけれども、現に北海道の新千歳空港周辺にはこうした動きが見られたことから、土地利用規制法が成立したという。理由はそればかりじゃないんですけど、土地利用規正法が成立した経緯もあって、成田空港についても周辺の土地が買い占められる可能性が十分あるため、既に買い占められているかもしれません。
そういった恐れがあるために、新千歳空港と同様、早期の指定が求められます。本当は利用規正ではなく所有 規正しなきやいけないんですよ。それがWTOに内国民待遇に反する云々と言ってい すけれども、それは「外国は」とやるからであって、日本人もだめと一緒にやれば別に 差別したことにならないから、WTO法違反にならないんですけれども、それはまたの機 会があればお話ししたいと思います。
【中国の利益に反しているから反対派も必死】
ちなみに、この中止区域というのは2つあるんですね。土地利用規正法には中止区域と 特別中止区域。まず中止区域というのは、重要施設の敷地の概ね1キロメートルの区域内 及び国境離島などの区域内の区域で、土地建物が重要施設や国境離島などの機能を阻害す る行為に利用されることを防止する。
ちよつと内閣府のホームページから引つ張ってきた説明だから、回りくどい言い方になりましたけれども、要は、重要施設の1キロ以内はだめだよということなんですね。利用制限、中止しますよということなんです。
私は、別に 重要施設1キロじゃ足りないと思いますけどもね。それはそうとしまして、今度は特別中止区域。より厳しいというのが分かると思います。防衛施設や原発施設などの特に重要な 区域について、指定したエリアを指します。仮に成田空港が新千歳空港と同様に、周辺の土地を中国人に買い占められているとするならば、それは今申し上げたような戦略的な悪 意のある意図を持って、中国が国家戦略として計画的・組織的に買い占めていることへの 懸念が消えません。日本政府は国の責任で、県や地方自治体の協力を得ながら、実態調査に乗り出さなければなりません。
買われてしまったら、二度と土地の所有者が手放そうと翻意しない限り、気が変わらない限り、取り戻すことは不可能なのです。だから利用制限だけではなくて、所有制限しな ければだめだと私が言っているのは、そういったところに理由があるんです。本来であれば、土地利用制限ではなく、欧米諸国のように土地所有禁止法にすべきところなんですけれども、公明党などの反対で法案が骨抜きにされて、せいぜいが土地の利用規制にとど まっているというのは、残念としか言いようがありません。
土地の調査は、決して優先順位を後回しにしていい話ではありません。日本政府は今すぐ取りかかる案件だと言えます。
(つづく)