②カマラ・ハリス氏の敗因分析と情弱の日本メディア
(昨日のつづきです)
不法移民の現実
民主党の市長でさえ、不法移民の問題に頭を抱えていました。ちょっと長いですがその記事を引用します。
10万人の移民が殺到「NYを崩壊させる」と市長は戦々恐々。受け入れ超過に市が悲鳴 2023/9/9(安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト)
——以前、中南米を旅した筆者が、ペルーやメキシコのスラム街で見たキャンディー売りの子や母子たち。この1、2年で同じような光景が、ここニューヨークでも見られるようになった。路上や地下鉄、ハイウェイの入り口で水やチョコレートを売ったり、昼間に数人でたむろしたりする人の姿が確実に増えた。(中略)
アメリカに亡命を希望する人の多くは、メキシコとの国境を越えてやって来ている。人々は安全と自由とより良い暮らしを求めて中南米から大挙して押し寄せ、その数は現政権下になって右肩上がりだ。多くは合法的なビザを持っておらず、泳いでリオグランデ川を渡ったり壁やフェンスを乗り越えたり、斡旋業者に金を払ったりして違法に入国している。そのような人々を一時収容・保護するテキサス州やフロリダ州の施設は長らくパンク状態だ。
米・メキシコ国境に殺到する移民(2021年9月18日)。両国の収容所は衛生面が良くなく、まるで刑務所のようだと伝えられる。親子が引き裂かれるケースも少なくない。米南部の州の知事は昨年4月以降、移民の受け入れがうまくいっていない現政権を批判する狙いで、亡命希望者をバスに乗せ、ニューヨーク、ワシントンD.C.、シカゴ、フィラデルフィアなど全米各地に送り込んでいる。
このように一向に増え続ける移民が一部の都市を圧迫し、避難所や援助資源に負担をかけ、社会問題になっている。NYを新天地として選ぶ人の多くはベネズエラ出身(NYT報道)。米はベネズエラのマドゥロ政権に経済制裁を課す一方、人道支援を継続している。ニューヨーク市の発表では、昨春以降に市が保護した亡命希望者数は10万1200人を超える。また8月13日の時点で、5万8500人以上が今も市の保護下にある。
市は到着したばかりで仕事も住居もない人々のために仮の住居として収容施設を提供しているが、市が運営するホームレスシェルターだけでは足りず、仮設テントを建てたり、新型コロナで経営が成り立たなくなったホテルと提携したりして人々を収容している。しかし報道によると、200箇所以上の6万床のベッドがすでに満杯で収容施設はパンク寸前だ。収容施設の衛生面の悪さも指摘されている。
一方、ホテル周辺の住民からは治安悪化など不安の声が上がっている。つい最近も、レディー・ガガの父親でアッパーウエストサイド地区のイタリア料理店を営むジョー・ジャーマノッタ氏が、移民が殺到している問題について「街を乗っ取られた」と苦言を呈した。この地区は高級住宅地だが、老舗ホテルが移民の収容に使われ、騒音問題や売春婦の増加など、治安悪化が懸念されている。
亡命希望者は難民と同様に、この国に到着後しばらくは住居、食料、健康、教育など新生活に必要なあらゆる支援を受ける。ただし亡命希望者は保護を求める特別申請を提出後、6ヵ月間は就労許可を申請する資格がない。つまりこの間は合法的に働くことができない=仮設施設から出て住居を借りることができないというのも、収容施設を圧迫している一つの要因になっている。(中略)
「移民はニューヨークのストーリー(歴史の一部)で、アメリカの一部でもある。しかし移民政策は崩壊している。国家的危機だ」「もう限界だ。市単独の予算には限りがあり、思いやりだけではどうにもならないところまできている」。エリック・アダムス市長は移民の受け入れの危機的状況を踏まえ、たびたびこのように訴えてきた。
バイデン大統領とホークル州知事に対して市への援助が足りないと批判し、今月7日の対話集会でも、「今のままでは問題を解決する方法は見当たらない。この移民危機はニューヨークを崩壊させるだろう」と強い言葉を使い、州や連邦政府の追加支援や予算増額を訴えた。
移民対策にかかった費用は7月末までにすでに17億3000万ドル(約2500億円)を超えている。そして状況が変わらなければ、市は2023年から25年までの3会計年度に、移民への対応だけで120億ドル(約1兆7000億円規模)が必要になると見積もっている。「(援助が足りなければ)この補填のために、ニューヨーク市のあらゆるサービスがカットされることになる」と、市長は強い口調で述べた。
公的機関では営業時間が短縮したり、監視員を減らすために市民プールの使用面積が狭められたりするなど、当地ではあらゆる市民サービスがカットされつつある状態だ。(以下略)——
バイデン政権はなぜ不法移民対策に取り組まなかったのか
バイデン政権が不法移民を野放しにしたのか、その理由を、当ブログは『グローバリズムvsアメリカンファースト2022-11-12』の記事で述べています。
——国境を廃止して不法移民がどんどん入れば、悪い移民や犯罪者もいっぱい入ってきます。違法ドラッグを持った人や違法な薬物の売人、そして組織犯罪の手先の人間、違法な武器の密輸をやるような人間がどんどん入ってきてしまいます。ヒューマントラフィッティング(人身売買)をやるような組織犯罪の人間も入ってきます。それでもバイデン政権は寛容です。それはなぜか、グローバリストの主張を受け入れているからです。
グローバリストで資産家のジョージ・ソロス氏も移民に対する積極的な支援を行っていることはあまりにも有名です。しかし、彼らの狙いは慈善事業ではありません。グローバリストたちのやろうとしていることはボーダレス(国境のない)の社会づくりであり、彼らから「多額の税金を取り上げようとする国家は解体させなければならない」という信念があるからです。パナマ文書で告発された人びとも同じ気持ちです。
したがって、不法移民をどんどん入れてアメリカ社会を解体する、警察から予算を奪って治安を維持させない、しかも、犯罪者から身を守ろうとする国民に対しては「銃を持つな」ということをやって、自衛も許さないような状況になっています。言葉も、伝統も、習慣も違う人が一挙に押し寄せてきたら、いくら大国のアメリカといえども国家としての秩序と文化は保てません。そこにグローバリストのねらい目があるわけです。
第二は、アメリカの精神的解体だと思います。
アメリカは、さまざまな国の伝統や文化、言語、宗教、習慣が異なる人によって構成されている移民の国です。新たな(適正)移民に対してしても同様で、違いを排除されることもなく、特別な価値観を押し付けられることはありません。彼らがアメリカの市民権を得るには、共和政体への忠誠、すなわち国家と法を守ることを約束することだけが求められるのです【※1】。
【※1】アメリカ合衆国憲法への忠誠の誓い、以前保持したすべての外国への忠誠の放棄の誓い、国内外の敵からアメリカ合衆国憲法を守る誓い、法律が定めた場合兵役に従事する約束、国家の大事の際、法律が定めた市民としての義務を果たす約束。
この政治原則こそがアメリカを統合する原理なのです。したがって、それぞれの政党は、主義を実現することを目的とせず、この政治原則に基づく政府をつくろうとしてきました。そのため、あらゆる階層の人びとの共感を得ることなしに存在することは許されませんでした。左右両極に同時に呼びかけながらも、実際は常に中庸の発言と行動に身を置き、共通の政治的信条である合衆国憲法の下に統合しようとしていたのです。
しかし、この政治原則は民主党と共和党の激しい対立で有名無実になっているのはお分かりの通りです。この背景にグローバリストによるアメリカ解体の思いが存在し、ロビー活動によって民主党が彼らの手先になっていることが最大の原因に思えてなりません。
いま、アメリカ解体の精神は軍隊の中にまでが及んでしまい、LGBTQや批判的な人種理論を、ウエストポイント(陸軍士官学校)で教え込むまでになっています。その批判的人種理論(Critical Race Theory)とは左翼イデオロギーで、「もともとヨーロッパ系の白人というのは差別意識があって悪いやつだ。彼らが作ったアメリカ合衆国は初めから人種差別国家である。だから白人の連中は有色人種の前に頭を下げないといけない」という教育です。言うなれば、「逆」人種差別的な理論なのです。これは、アメリカの建国精神とは真逆のものです【※2】。
【※2】「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」――トーマス・ジェファーソン起草の独立宣言――
したがって、アメリカに奴隷制はあったけど、その奴隷制を解体すると共に否定して平等な社会を作ってきたのもアメリカの白人だということは教えません。なにか、これは戦後の日本における日教組教育そっくりですね。「日本という国は元々悪い国で、駄目な国なんだ」と教え込まれたた記憶がなぜか蘇ります。そのうち「アメリカは侵略戦争ばかりしているからけしからん」とまで教え込まれるのではないでしょうか。
どうも、グローバリストにとっては国家という存在は邪魔なようで、マルキシズムの理論を借用しながらアメリカ国民を国家解体に向かうように洗脳し続けていると思います。――
ここまで読んでいただければ、移民でできあがったアメリカ合衆国が、不法移民で悩まされていた現実がわかるというものです。【※補足】
そこに、トランプ氏が「国内の不法移民を強制送還する。不法移民の避難所と移送に充ててきた資金を停止。その資金で退役軍人のホームレスを支援する。」と言ったものだから、トランプ人気が爆上がりしたのがよくわかると思います。
要は、昨日のブログで記載したバイデン政権の経済対策の失敗とならぶ不法移民対策の失敗が、バイデン政権の副大統領であるカマラ・ハリス氏に人気が集まらなかった原因なのです。
そして、これらの真実を見ようともしなかった日本メディアも今回の大統領選挙で大恥をかきました。
トランプ氏の当選後のX(旧ツイッター)には…。
渡邉哲也@daitojimari
himuro@himuro398
トランプの勝利を受けて、ニューヨーク市長は不法移民への食料券の配布を終了すると発表。 これは、ニューヨーク市長がトランプと電話会談をした翌日の出来事だ。 たった1回の電話で。 次は大量強制送還が来るだろう。
髙安カミユ(ミジンコまさ)@martytaka777
ERIKSON@ERIKSON210
日本のマスゴミ構文
「不法移民の犯罪が多いわけではない」
「予言者はハリスが勝利と言った」
「これだけの接戦は史上初」
「ハリスが負けたのは根強い女性差別」
もう停波でええでしょ、、
これで若い層はテレビ報道を一層批判的に見るようになるだけですし、あの世からのお迎えに近い高齢者は冥途の土産として見るだけになると思います。
いずれにせよ、テレビ報道は米民主党の凋落と運命を共にすることになりそうです。
【※補足】米不法移民の保護費、NY市だけで1兆8千億円「四つ星ホテル」にも批判 トランプ氏勝因 2024/11/7 14:57
トランプ氏が勝利した米大統領選の重要争点は不法移民問題だった。メキシコ国境から流入した不法移民は1100万人超といわれる。バイデン政権の移民政策に反対する国境沿いの州の共和党知事らは専用バスを仕立てて、民主党市長のニューヨーク市などに送り込み、同市が来年までの3年間に見込む移民の保護費は計120億ドル(約1兆8千億円)にのぼる。一時滞在先のホテルでの移民の振るまいも問題化、有権者は不満を募らせていた。
問題となっている「移民」はもともと、国境を徒歩などで渡ってきた不法入国者。拘束後に亡命(難民)認定申請し、決定が出るまで合法的に滞在できることから、移民に寛容な姿勢を示すバイデン民主党政権で激増した。移民を扱う裁判所はパンク状態で、難民申請者が最初の審理を受けるまでに平均4年かかるという。
業を煮やしたテキサス州などの国境沿いの共和党州知事らが移民をバスに乗せ、ニューヨークや首都ワシントン、シカゴなど民主党の選挙地盤へ送り込んだ。人口約850万人のニューヨーク市には2022年春から23年末までに16万人以上の移民が流入。市は対策に今後3年間で120億ドルが必要だと算定し、バイデン政権に支援を求めた。
一方、市は移民の一時滞在先として、マンハッタン中心部にある通常は1泊400ドル(当時のレートで約5万2千円)以上の四つ星ホテルの部屋を借り上げた。ところが、移民が市から無償提供を受けた食事を捨てたり、移民同士で暴力行為に及んだりしていることが明らかになり、「移民優遇」と反発を呼んだ。(以略)
(了)