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中国式現代化――中国共産党大会分析②
(「習近平氏の神格化――中国共産党大会分析①」の続き)
前回に引き続き、中国共産党を長年にわたりウオッチングしている専門家の解説です。
「中国式現代化」
報告書を詳しく読んでいくと、見慣れない造語があった。それが、「中国式現代化」という新しい言葉。一体、中国的現代化とは何なのか?
現代化という言葉の上に「中国的」という言葉をつけると全く違う概念になる。中国的現代化という言葉には4つの意味がある。
1 中国共産党が指導する
2 中国共産党の特色ある社会主義
3 全家庭、民主
4 共同富裕
これが中国式現代化の特徴。
つまり、民主自由、人権の尊重、市場経済や自由化など、日本人が考える現代化とは大きく異なっている。すべて中国共産党の指導下でいろいろと進めるのが「現代化」という意味。
これが意図するところは、目指すところは、”中国のナチ化”である。実際、習近平がよく使う言葉に「1つの民族・1つ領主・1つの国家」というものがあるが、これは、ヒトラーのスローガン「一つの民族、一つの帝国、一人の総統」とかなり似ている。
つまり今、習近平は究極的な軍国主義を目指している。ナチスドイツ化。権力者にとって一番都合のいい状態を作ろうとしている。
共同富裕
共同富裕という言葉も、富の再分配で、みんな貧しく平等になることを意味する。そうなれば、人民に反抗する意志も能力無くなる。一部の特権階級にわずかな富を与えさえすれば、自分の権力は安泰になる。中国人民をみな奴隷にさせようとしている。
三流の奴隷はできるだけ二流の奴隷になろうとして、二流の奴隷はできるだけ一流の奴隷になろうとする、一流の奴隷はできるだけその地位を守ろうとする。だれも主人を目指そうとしないので、今の特権階級にとってはいい社会ができる。
「安全」という言葉を多用している
72Pある報告書の中に「安全」という言葉が89回もでてきた。独裁者から神様になろうとした習近平が、なぜか「安全」という言葉を強調したのか。一方で、軽視されたのは、経済や改革である。
ここから分かるのは、習近平の権力が実は不安定だということ。今回強調された安全というのは、どういう意味かといえば、6つの安全のことである。
①政権
②イデオロギー
③制度
④食料
⑤エネルギー
⑥サプライチェーン
①の政権安定に関して、習近平は1期目の成果として大規模な反腐敗運動で多くの人を摘発した。しかし、2期目は、2012年の当時よりも4倍にも増えている。2021年の摘発者数は62万7,000名にも上り、反腐敗運動はますますエスカレートし、政敵は一掃された。
なお、2020年の治安維持費用は2100億ドル(約31兆円)と中国の軍事費用を上回る費用で、2012年の就任時のちょうど2倍になる。いまも反腐敗運動は全く手を緩めておらず、政権内部の敵を粛清し、人民全員を管理するための費用を倍増させている。
この状態は「習近平が怯えている野獣」で、一見、凶暴そうに見えるが、全く余裕がないことの現れ。全体を通して見ると、第20回共産党大会から分かることは、神格化しようとすればするほど、習近平の脆弱さが現れてきたことになる。
そのほかの話については、いずれ改めて行う。
いかがでしたでしょうか。日本のメディアでは絶対に解説されないお話に驚かれたと思います。かくいう私自身にも衝撃的な事実だったからです。特に、前回の「江山」の話、今回の「中国的現代化」の意味、そして「安全」という言葉の裏に潜む習近平氏の不安感、まさに中国は崩壊にむかってまっしぐらの状況のようです。
今後とも、こうした中国情報を入手次第、読者にお伝えしたいと思います。
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