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木村茶道美術館は他の茶の湯blogを読んで、以前から一度訪れてみたかった。 サイト
でも、「なぜに柏崎なの?」と不思議な気もしていた。
(茶の湯が盛んなのは城下町~という先入観もあったし
)
江戸時代は小千谷縮や越後上布の集積地として、また北前船の寄港地として栄えたとのこと。
だから、裕福な商人も多かったそうで、骨董などをコレクション方もいらっしゃったそうで。
他にも良寛と貞心尼にゆかりの地でもあり。。。
初めて訪れたけれど、なかなか落ち着いた閑かな町だなと思った。
駅から約20分、雨
に降られつつ道にも迷いつつ、やっとこ到着。
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まず、お庭の雰囲気に圧倒された。(紅葉の時期は素晴らしいだろうなぁ
)
建物が普通の日本家屋だったのが意外。
でも、9:30に着いたのに見学させてもらえて有り難かった。
第一展示室は「掛物と花入展」。
利休の肖像画は今まではちょっと違った?像で珍しいなと思ったし、
不白(川上不白)の自画像も興味深かった。
松花堂昭乗の一行ものや藤原定家の消息、遠州に宛てた江月宗玩の消息(←津田宗及の息子だなーとか思った)、
玉舟宗璠や澤庵といったメジャーどころもあって、「へぇ~」と思った。
大津絵も印象に残った。
花入は久田宗全の竹花入、砧青磁の花入といったお宝系から、
山田宗へんの竹尺八花入に黄瀬戸の黄釉水瓶といった珍しいもの、南蛮写の粽花入もあって。
高麗(李朝)の刷目毛の徳利もいい感じ。
第二展示室は懐石道具の展示があって、あとはぐい呑みが多数。
リストはなかったけれど、ざっとみたところ、人間国宝の作品があって、すごいなと思った。
加藤卓男さんや鈴木藏さん、鬼萩で有名なあの方も。
小さな茶碗のサンプルみたいで、ぐい呑みも侮れないんだよね。
あ、そうそう第二展示室の床のところもよかった。
掛け物が山田恒一サンという方の茶会記。実に細かい記録を丁寧に表装してあって微笑ましかった。
惺入さんの布袋さんの香合もサプライズ。
だって、大きな香合で。布袋さんが袋を背負わないで袋の上にドッカと座ってる。
しかも袋は鮮やかな黄金色
惺入さんの時代の楽家はとても逼迫していたと聞くから、こんな贅沢な作品があることが意外。
おそらくは発注ものだと思われるけど、もし柏崎の方が施主だったとしたら、その財力に感服デス。
一通り見終わって、まだ10時前なんだけど、呈茶席にも入れていただいた。
訪れたのが9月1日で、新しい道具組による初めての席とのこと。
まず、待合いの床が大津絵で。
(第2展示室でも印象に残ってたし、詳しく説明もしていただいたので、尚のこといいなと思った)
床にかかっていた良寛さんの細いほのぼのしたタッチの一行物がステキ
床脇の唐物籠茶箱も大事に使い込んだ感があって、いいなぁと思った。
風炉が天明の丸く膨らんだ切合のやつれ釜。
それに平釜を合わせてあって、そのアンバランスが何やら楽しい。
織部の敷瓦がそれをしっかり支えているのもいい感じ。
それ以上に漆絵の風炉先屏風の見事で、後からじっくり拝見させていただいた。
薄茶器は蔦の茶桶。後で拝見させてもらったら、びっくりするくらいに軽かった。
お茶碗は大ぶりの刷毛目。
高麗茶碗なのは一目瞭然だったけど、なんと御本茶碗とのこと。
「御本」に対するイメージが織部もどきの茶碗だったので、意外に感じた。
でも、口造りの薄さがやはり日本人好みの注文品っぽいのカナ?
馬上杯みたいな杯がついた菓子器も不思議。ひっくり返すと福だったかな寿だったかな、字が書いてあった。
お客はワタシ一人だったので、替茶碗が見られない。
リストをひっくり返して眺めていたら、「御覧になりたい茶碗があればお出ししますヨ」。
では。。。。と加藤卓男さんの志野茶碗と神山賢一さんの天目茶碗をリクエスト。
加藤卓男さんはラスター釉に注目していて、オーソドックスな志野を拝見する機会が少なかったので。
出された茶碗を見たら、けっこー普通の志野茶碗。
(と、落胆の表情を浮かべるのは失礼なので、それなりの顔をするのに少し苦労した)
その分、天目茶碗はとてもヨカッタ。
しげしげと触れていると、「もう亡くなってしまったんですよね。若くして白血病にかかって」。
へぇ~。そうなんだ。と思っていると、さらに「お母さんも陶芸家なんですよね」。
ん?あれ?
と、ここでセンサーがピコピコ。
あの、もしかして映画になりませんでしたか?
タイトル忘れちゃったけど、田中裕子さんが主演した…(←ちなみに題名は「火火」です)
「あぁ、それです」
観ましたよ~。その映画。
すごい迫力のある女流陶芸家さんでしたね。
まだお元気ですよね?
と、しばし映画の話で盛り上がる。
神山清子さんの信楽茶碗も出していただいて、拝見する。
あ、そういえば第2展示室に信楽の花入あったっけ。
(どっかで見た名前だなーと思いつつ、思い出せなかったけど。そっか、あの陶芸作家さんだっけ)
映画のシーンもだんだん蘇ってきて、
お母さんの演技も迫力だったけど、白血病を患いながら命を削るように天目茶碗を焼いていた息子の演技も印象的だった。
そっか、それがこの天目茶碗だったのか。
と思って、感慨深く天目に触れていた。
すっかりくつろいで過ごせた豊かな時間。
帰るのも名残惜しかったけど、長居も失礼。また、列車の時間もあるし。
と、適当なところで辞去した。
門のところで次なる来客とすれ違った。
たぶん、静かな人気はある美術館なのだなぁと思った。
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でも、「なぜに柏崎なの?」と不思議な気もしていた。
(茶の湯が盛んなのは城下町~という先入観もあったし
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江戸時代は小千谷縮や越後上布の集積地として、また北前船の寄港地として栄えたとのこと。
だから、裕福な商人も多かったそうで、骨董などをコレクション方もいらっしゃったそうで。
他にも良寛と貞心尼にゆかりの地でもあり。。。
初めて訪れたけれど、なかなか落ち着いた閑かな町だなと思った。
駅から約20分、雨

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まず、お庭の雰囲気に圧倒された。(紅葉の時期は素晴らしいだろうなぁ
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建物が普通の日本家屋だったのが意外。
でも、9:30に着いたのに見学させてもらえて有り難かった。
第一展示室は「掛物と花入展」。
利休の肖像画は今まではちょっと違った?像で珍しいなと思ったし、
不白(川上不白)の自画像も興味深かった。
松花堂昭乗の一行ものや藤原定家の消息、遠州に宛てた江月宗玩の消息(←津田宗及の息子だなーとか思った)、
玉舟宗璠や澤庵といったメジャーどころもあって、「へぇ~」と思った。
大津絵も印象に残った。
花入は久田宗全の竹花入、砧青磁の花入といったお宝系から、
山田宗へんの竹尺八花入に黄瀬戸の黄釉水瓶といった珍しいもの、南蛮写の粽花入もあって。
高麗(李朝)の刷目毛の徳利もいい感じ。
第二展示室は懐石道具の展示があって、あとはぐい呑みが多数。
リストはなかったけれど、ざっとみたところ、人間国宝の作品があって、すごいなと思った。
加藤卓男さんや鈴木藏さん、鬼萩で有名なあの方も。
小さな茶碗のサンプルみたいで、ぐい呑みも侮れないんだよね。
あ、そうそう第二展示室の床のところもよかった。
掛け物が山田恒一サンという方の茶会記。実に細かい記録を丁寧に表装してあって微笑ましかった。
惺入さんの布袋さんの香合もサプライズ。
だって、大きな香合で。布袋さんが袋を背負わないで袋の上にドッカと座ってる。
しかも袋は鮮やかな黄金色
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惺入さんの時代の楽家はとても逼迫していたと聞くから、こんな贅沢な作品があることが意外。
おそらくは発注ものだと思われるけど、もし柏崎の方が施主だったとしたら、その財力に感服デス。
一通り見終わって、まだ10時前なんだけど、呈茶席にも入れていただいた。
訪れたのが9月1日で、新しい道具組による初めての席とのこと。
まず、待合いの床が大津絵で。
(第2展示室でも印象に残ってたし、詳しく説明もしていただいたので、尚のこといいなと思った)
床にかかっていた良寛さんの細いほのぼのしたタッチの一行物がステキ
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床脇の唐物籠茶箱も大事に使い込んだ感があって、いいなぁと思った。
風炉が天明の丸く膨らんだ切合のやつれ釜。
それに平釜を合わせてあって、そのアンバランスが何やら楽しい。
織部の敷瓦がそれをしっかり支えているのもいい感じ。
それ以上に漆絵の風炉先屏風の見事で、後からじっくり拝見させていただいた。
薄茶器は蔦の茶桶。後で拝見させてもらったら、びっくりするくらいに軽かった。
お茶碗は大ぶりの刷毛目。
高麗茶碗なのは一目瞭然だったけど、なんと御本茶碗とのこと。
「御本」に対するイメージが織部もどきの茶碗だったので、意外に感じた。
でも、口造りの薄さがやはり日本人好みの注文品っぽいのカナ?
馬上杯みたいな杯がついた菓子器も不思議。ひっくり返すと福だったかな寿だったかな、字が書いてあった。
お客はワタシ一人だったので、替茶碗が見られない。
リストをひっくり返して眺めていたら、「御覧になりたい茶碗があればお出ししますヨ」。
では。。。。と加藤卓男さんの志野茶碗と神山賢一さんの天目茶碗をリクエスト。
加藤卓男さんはラスター釉に注目していて、オーソドックスな志野を拝見する機会が少なかったので。
出された茶碗を見たら、けっこー普通の志野茶碗。
(と、落胆の表情を浮かべるのは失礼なので、それなりの顔をするのに少し苦労した)
その分、天目茶碗はとてもヨカッタ。
しげしげと触れていると、「もう亡くなってしまったんですよね。若くして白血病にかかって」。
へぇ~。そうなんだ。と思っていると、さらに「お母さんも陶芸家なんですよね」。
ん?あれ?
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あの、もしかして映画になりませんでしたか?
タイトル忘れちゃったけど、田中裕子さんが主演した…(←ちなみに題名は「火火」です)
「あぁ、それです」
観ましたよ~。その映画。
すごい迫力のある女流陶芸家さんでしたね。
まだお元気ですよね?
と、しばし映画の話で盛り上がる。
神山清子さんの信楽茶碗も出していただいて、拝見する。
あ、そういえば第2展示室に信楽の花入あったっけ。
(どっかで見た名前だなーと思いつつ、思い出せなかったけど。そっか、あの陶芸作家さんだっけ)
映画のシーンもだんだん蘇ってきて、
お母さんの演技も迫力だったけど、白血病を患いながら命を削るように天目茶碗を焼いていた息子の演技も印象的だった。
そっか、それがこの天目茶碗だったのか。
と思って、感慨深く天目に触れていた。
すっかりくつろいで過ごせた豊かな時間。
帰るのも名残惜しかったけど、長居も失礼。また、列車の時間もあるし。
と、適当なところで辞去した。
門のところで次なる来客とすれ違った。
たぶん、静かな人気はある美術館なのだなぁと思った。
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加藤卓男好きな私は、機会があれば多治見の幸兵衛窯に訪問して加藤卓男の作品や旅日誌を見て喜んでいますが、オーソドックスな志野茶碗でも実物に触れられるならいいな!
柏崎、もし近くまで行くことがあれば、いってみたいとおもいました。
ただ、なかなか、柏崎に行くことはないでしょうから、行くつもりで行かないと無理でしょうね。
ちょっと遠いですけど、本当にステキな茶道美術館でした。
これから紅葉の季節を迎えますので、ますますステキになると思います。
多治見を訪れてみたいなぁ。
ensyuuさん
同じ日本海側でも一筋縄では行けそうにないですね。
何か他の観光と抱き合わせて訪れてみられるとよいと思います。