☆香雪美術館 サイト
コレクション展『茶の湯の茶碗』 ※8月30日(日)まで
茶碗に特化した、香雪ではありそうでなかった展覧会。
1階は唐物や安南、高麗もの。
油滴天目茶碗は昨年、中之島香雪美術館の中国のやきもの展でも観た。
存星の赤い天目台が美しい。
龍泉窯系の人形手宝尽文茶碗は赤楽みたいな感じに見えた。
収納に用いられる黒漆の箱によると、土浦藩の土屋家に伝来したそうな。
景徳鎮窯の赤絵鳳凰牡丹唐草文茶碗はとても華やかだった。
安南は2つ。染付の茶碗が出ていたけれど、褐色っぽくて素朴な感じ。
燕庵井戸は「あ、藪内~」という堂々とした印象。
遊撃呉器茶碗 銘「蝉丸」。「遊撃」の由来を初めて知った。
文禄・慶長の役で朝鮮側の講和使節としてやってきた遊撃将軍が持参した茶碗と同じ手のお茶碗のことをさすそうだ。
伊羅保片身替茶碗「山の井」。赤い。ついている和歌が素敵。
「やまひ免乃 おりてあやなす からにしき つゆ志ぐれに そめしもみぢ葉」
斗々屋茶碗「秋の山」に柿蔕茶碗「浦舟」、井戸塩笥茶碗、玉子手茶碗「生駒」と高麗茶碗の代表的なものが並んでいて勉強になる。
伊羅保茶碗「対馬伊羅保」は雲州蔵帳に掲載されたもの。(つまり、松平不昧公が所蔵したことがあるということ。冬木家から購入したそうな)
彫三島茶碗「朝霧」に礼賓三島平茶碗(模様が美しい)、御所丸茶碗「おし鳥」(高台が多角形)、
御本丸文茶碗「宇良葉」は倭館窯。
御本立鶴茶碗「住之江」は野村美術館の家光が書いた鶴のとよく似ている。(あちらの方が模倣か?)
小堀遠州が朝鮮に注文したものらしい。
「住之江の浜の真砂をふむ田鶴(たず)は 久しき後をとむるなりけり」(宗慶←小堀遠州)
(少し離れたところに御本雲鶴筒茶碗も展示してあったけど、少し質が落ちる印象)
金海州浜茶碗「難波」。形が州浜というより、アメーバーみたいな形でユニーク。
そして、国焼き茶碗。
瀬戸・美濃の白天目茶碗。小ぶりだけど、透漆桑木地の天目台が添っている。伝・武野紹鴎所持。
同じく、瀬戸・美濃の黄天目茶碗。こちらは灰被天目を模したもの。黒漆菊花天目台が添っている。
いずれも室町時代のもので、唐物を本当によく模してあって、感動した。
瀬戸唐津の皮鯨茶碗。口造の黒が鯨の皮みたいだからそういう名前だけど、これは特にそういう感じに見える。
以前見た唐津焼の皮鯨に比べると、肌合いが粗々しいのザラザラしたところが印象に残った。
志野茶碗「朝日影」は出展されず。理由は「新型コロナの影響で貸出先からまだ返却されていないため」。
(まぁ、過去に何度か見たから~と、自らをナットクさせる)
織部黒「玉箒」。正面の模様がいい感じ。
楽茶碗もいっぱい。
長次郎の黒楽「摺墨」「楓暮」。んー、過去の印象が残っていないなぁ。
「黒光悦」 光悦にしては厚みがありすぎるような。
尼焼の黒楽「時雨」 長次郎の妻とも母ともいわれるが、はっきりしない。
一入の黒楽「落葉」 黒楽なんだけど、濃い赤い釉薬が「いちにゅうダ~」と思う。
了入の赤楽茶碗が2つ。赤楽鶴図茶碗と赤楽亀図茶碗。
いずれも円山応挙が絵付けを担当した合作。鶴図のほうは加賀前田家12代当主の正室、鷹司隆子に納めたものという。
了入の和歌「手にならし 庵の明暮 萬台も 絵かける亀を友と契らん」 応挙とは親友だった?
初代大樋長左衛門の赤楽茶碗「葉牡丹」 大樋の飴釉なんだけど、片身替?のような。
野々村仁清の灰釉茶碗「更夜衣」 初めて見たけどすごかった~
鉄釉が重なって癒着したという珍しい出来栄え(おそらく偶然。土見せの部分に癒着してるんだもん。ビックリ)
これは絶対に初見だ。(過去に仁清でこんなにユニークな茶碗を観たら、ぜったいに記憶に残るはずだもの)
他は高取の銹絵竹図茶碗(渋い、かっこいい)、尾戸(高知)の銹絵松竹梅図茶碗、粟田の色絵鳳凰図茶碗(超きれい!)、
5代清水六兵衛の銹絵鼠図茶碗(大正~昭和時代、けっこうシンプル)などが印象に残った。
藪内竹心や川上不白の手造の楽茶碗は流派が違うこともあり、はっきりスルー。
帰りがけ、受付前の売店で香雪美術館の茶道具図録が目に入った。
「あ、あれ家にあったっけ」。無意識に申し込んでしまったようで、ある日突然に自宅に送られてきてビックリ。
困惑しながら代金を振り込んだ。
帰宅してから、ごそごそと取り出して閲覧。
茶碗の項目は少しで、もちろん今回の全部が掲載されているわけではないけれど、いい復習になった。
(遊撃茶碗や尼焼の解説、ちゃんと書いてあった。買うだけじゃなくて、中身も読まないとねぇ~と反省)
平日の昼間、入館申請(氏名と連絡先を用紙に記入して提出)と緊張感を感じさせられるけど、鑑賞中は没頭できた。
香雪美術館の展示って、リストの番号順に並んでいないところがややこしいけれど、
今回はわりとリスト通りに並んでいる方だった。
でも、こうして感想を書く段になると、さらにリストとも展示室の並びとも違う列挙の仕方になっちゃった。
展示リストはある期間は保管しておくが、いつかは廃棄する。
だから、できるだけ観賞したものはブログに書き写しておこう。
これは、今回の「おうち時間」で実感したこと。
これからも頑張る。
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