★大西清右衛門美術館 サイト
春季企画展『幕末明治の茶の湯釜』 ※6月25日(日)まで
大西さんでは周期的に歴代の中から特定の時代をテーマにした展覧会がかかる。
今回は幕末から明治にかけて
歴代でいえば、11代の浄寿(1808-1875)、12代の浄典(1841-1869)、13代の浄長(1866-1943)の時代。
ちょうど2014年秋に見た『十代浄雪と奥平了保』と2013年春に見た『大西家の近代-浄長・浄中・浄心-』の間にあたる時代。
もっとも、浄典は28歳の若さで亡くなったから点数も少なく、今回の展覧会でも1点だけだったので、
もっぱら浄寿と浄長の釜を「へぇ~」とか「ほーっ」と呟きながら鑑賞していた。
まずは東山御物の古天明望月釜(室町時代)。
それを浄寿が写した「望月釜」。(浄寿の代表作)
下の富士山のような「へ」がはっきりしているのが印象に残る。
ちなみに、浄寿は森家から養子に入って浄雪の後を継いだそうな。
【浄寿作】
玄々斎好の常盤釜。撫肩に松笠の環付、蓋の撮みは三本松。
炉用の釜かなーとか思ったら、隣の常盤風炉。(鉄製の眉風炉)に合わせるようだ。 ごっついなぁ。
箆被釜(のかつきかま)。矢じりっぽい形、みこし蓋に真ん中のへこみがある。変わった形。
鉈釜。側面が鉈の形だから。10代浄雪が鴻池家で見たそうな。(そのスケッチを基に作った?)
やや尻張で、やや姥口。
羽子板釜。確かに「羽子板」の形。(チラシの裏面に写真あり)。肩衝がサイコロっぽく直角正方形。
唐銅竹筋火入。(大きくて、迫力ある)
【浄典】
宝珠釜。 丸く丁寧な造り。環付の伊勢海老も繊細な細工。
浄典といえばコレ!の釜。というわけで美術館サイトの写真でも参照できる。
で、時代は浄長へ。
以前みた展覧会を参照すると、浄長は4歳で父(浄典)をなくしたとのこと。
母親が楽慶入の娘だったので、楽家で育てられた時期もあったとか。
10歳で祖父の浄寿をなくし、後見の支えで大西家を継いだ。
まず、辻与次郎作の蔦地繰口万代屋釜。
それを写した千歳松地紋万代屋釜が並ぶ。
炉用の格ばったというか、大きい釜~
老松を描いたところが浄長オリジナル~という感じ。
【浄長】
茄子形手取釜。以前に見たことある。よそでも見たことある。
蔕(へた)の部分が蓋で、要するに焼かん型。
茶飯釜用? 一応、ご飯が炊けることは実証済みなんだとか~
なぜか鉄鎧寄灯籠。 茶釜以外も手掛けていたのねぇ。
肩衝透木釜(=チラシ表面)と鉄風炉。
角ばっていて平べったい透木釜と上部に正方形の透窓がいっぱいついている鉄風炉の取り合わせは重厚。
惺斎好の濡烏釜。尾垂れがステキ。(チラシ裏面に写真あり)
もう一つ、惺斎好みの唐金ツボツボ琉球風炉と刷毛目釜。(これもチラシ裏面に写真あり)
平たい刷毛目釜におデブな琉球風炉はちょっと珍しい。
春日野釜。鋳込みの霰がすごい。細かい。迫力。
小さいけど、羽根もある。
茶釜以外の作品ということで、四方燗鍋。
浄長の代表作は環付が馬になっている「馬ノ釜」とか橋本関雪が下絵を描いた釜とか有名な作品もあるけど、
今回は出ていなかった。
最後に、初代浄林の傘釜が出ていた。
「茶釜だけだど、時代背景が伝わらないから」という理由かどうかはわからないけど、
背景に黒船渡来の絵巻物がバーッと出ていた。
(安政元年に描かれたものを安政3年に写したものだそうで、それなりに古いものらしかった)
アメリカ人の洗濯の場面とか面白かった。
7階にも上がった。
奥平了保の鶴首釜が吊り釜として掛かっていた。
今回も展示リストがなかったので、
解説書を借りて、じっくり読んで、さらに展示品だけ手書きで写して、、、
2時間近く滞在したかなぁ。
その間、他に見学者がいなく、いいような悪いような。
茶釜も天才・二代浄清と中興の祖・10代浄雪と奥平了保の兄弟は変わった作品も多くて
見どころもあるけれど、
他の時代は点数も少なく苦戦?
k
その中でも浄寿、浄長は以前もテーマになっただけ、まだ作品群も多いのかもしれない。
空白になっている3代目から9代目を埋める展覧会もかけてほしいナ。(かなり地味な内容になりそうだけど)
※秋季企画展は2017年9月16日(土)~12月12日(火)の予定
★大西清右衛門美術館バックナンバーリスト
2016年11月 『釜から見た侘び』
2016年6月 『釜のかたち PART 2』
2015年10月 『釜のかたち Part1』
2015年3月 『茶の湯釜の文様』
2014年9月 『十代浄雪と奥平了保』
2014年5月 『千家伝来の茶の湯釜』
2014年2月 『新春の寿ぎ -福をよぶ吉祥の茶道具-』
2013年10月 開館十五周年記念『初代浄林・二代浄清』
2013年3月『大西家の近代-浄長・浄中・浄心-』
2012年11月『京釜の粋-三条釜座、釜師の技と名品-』
2012年5月『茶の湯釜歳時記』
2012年2月『釜師 大西家歴代』
2011年10月『釜をとりまく茶道具』
2011年5月『吉祥の釜』
2010年9月『茶の湯釜にみる朽ちの美』
2010年5月『風炉を楽しむ』
2009年11月『千家十職 大西清右衛門家の釜と金工-茶の湯工芸の伝統と創造-』『寺院ゆかりの茶の湯釜』
2009年5月『開館十周年記念 釜師 大西清右衛門の目 それぞれの所蔵品から』
2008年10月『開館十周年記念 釜師 大西家歴代展』
2008年3月『風雅-茶のなかにみる意匠』
2007年11月『茶人と釜』
2014年10月『大西清右衛門襲名20周年』
2014年1月『釜師 大西清右衛門の世界』 (美術館「えき」KYOTO)
2008年11月『千家十職 釜師 十六代 大西清右衛門展-襲名十五周年を記念して-』(日本橋三越本店)
春季企画展『幕末明治の茶の湯釜』 ※6月25日(日)まで
大西さんでは周期的に歴代の中から特定の時代をテーマにした展覧会がかかる。
今回は幕末から明治にかけて
歴代でいえば、11代の浄寿(1808-1875)、12代の浄典(1841-1869)、13代の浄長(1866-1943)の時代。
ちょうど2014年秋に見た『十代浄雪と奥平了保』と2013年春に見た『大西家の近代-浄長・浄中・浄心-』の間にあたる時代。
もっとも、浄典は28歳の若さで亡くなったから点数も少なく、今回の展覧会でも1点だけだったので、
もっぱら浄寿と浄長の釜を「へぇ~」とか「ほーっ」と呟きながら鑑賞していた。
まずは東山御物の古天明望月釜(室町時代)。
それを浄寿が写した「望月釜」。(浄寿の代表作)
下の富士山のような「へ」がはっきりしているのが印象に残る。
ちなみに、浄寿は森家から養子に入って浄雪の後を継いだそうな。
【浄寿作】
玄々斎好の常盤釜。撫肩に松笠の環付、蓋の撮みは三本松。
炉用の釜かなーとか思ったら、隣の常盤風炉。(鉄製の眉風炉)に合わせるようだ。 ごっついなぁ。
箆被釜(のかつきかま)。矢じりっぽい形、みこし蓋に真ん中のへこみがある。変わった形。
鉈釜。側面が鉈の形だから。10代浄雪が鴻池家で見たそうな。(そのスケッチを基に作った?)
やや尻張で、やや姥口。
羽子板釜。確かに「羽子板」の形。(チラシの裏面に写真あり)。肩衝がサイコロっぽく直角正方形。
唐銅竹筋火入。(大きくて、迫力ある)
【浄典】
宝珠釜。 丸く丁寧な造り。環付の伊勢海老も繊細な細工。
浄典といえばコレ!の釜。というわけで美術館サイトの写真でも参照できる。
で、時代は浄長へ。
以前みた展覧会を参照すると、浄長は4歳で父(浄典)をなくしたとのこと。
母親が楽慶入の娘だったので、楽家で育てられた時期もあったとか。
10歳で祖父の浄寿をなくし、後見の支えで大西家を継いだ。
まず、辻与次郎作の蔦地繰口万代屋釜。
それを写した千歳松地紋万代屋釜が並ぶ。
炉用の格ばったというか、大きい釜~
老松を描いたところが浄長オリジナル~という感じ。
【浄長】
茄子形手取釜。以前に見たことある。よそでも見たことある。
蔕(へた)の部分が蓋で、要するに焼かん型。
茶飯釜用? 一応、ご飯が炊けることは実証済みなんだとか~
なぜか鉄鎧寄灯籠。 茶釜以外も手掛けていたのねぇ。
肩衝透木釜(=チラシ表面)と鉄風炉。
角ばっていて平べったい透木釜と上部に正方形の透窓がいっぱいついている鉄風炉の取り合わせは重厚。
惺斎好の濡烏釜。尾垂れがステキ。(チラシ裏面に写真あり)
もう一つ、惺斎好みの唐金ツボツボ琉球風炉と刷毛目釜。(これもチラシ裏面に写真あり)
平たい刷毛目釜におデブな琉球風炉はちょっと珍しい。
春日野釜。鋳込みの霰がすごい。細かい。迫力。
小さいけど、羽根もある。
茶釜以外の作品ということで、四方燗鍋。
浄長の代表作は環付が馬になっている「馬ノ釜」とか橋本関雪が下絵を描いた釜とか有名な作品もあるけど、
今回は出ていなかった。
最後に、初代浄林の傘釜が出ていた。
「茶釜だけだど、時代背景が伝わらないから」という理由かどうかはわからないけど、
背景に黒船渡来の絵巻物がバーッと出ていた。
(安政元年に描かれたものを安政3年に写したものだそうで、それなりに古いものらしかった)
アメリカ人の洗濯の場面とか面白かった。
7階にも上がった。
奥平了保の鶴首釜が吊り釜として掛かっていた。
今回も展示リストがなかったので、
解説書を借りて、じっくり読んで、さらに展示品だけ手書きで写して、、、
2時間近く滞在したかなぁ。
その間、他に見学者がいなく、いいような悪いような。
茶釜も天才・二代浄清と中興の祖・10代浄雪と奥平了保の兄弟は変わった作品も多くて
見どころもあるけれど、
他の時代は点数も少なく苦戦?
k
その中でも浄寿、浄長は以前もテーマになっただけ、まだ作品群も多いのかもしれない。
空白になっている3代目から9代目を埋める展覧会もかけてほしいナ。(かなり地味な内容になりそうだけど)
※秋季企画展は2017年9月16日(土)~12月12日(火)の予定
★大西清右衛門美術館バックナンバーリスト
2016年11月 『釜から見た侘び』
2016年6月 『釜のかたち PART 2』
2015年10月 『釜のかたち Part1』
2015年3月 『茶の湯釜の文様』
2014年9月 『十代浄雪と奥平了保』
2014年5月 『千家伝来の茶の湯釜』
2014年2月 『新春の寿ぎ -福をよぶ吉祥の茶道具-』
2013年10月 開館十五周年記念『初代浄林・二代浄清』
2013年3月『大西家の近代-浄長・浄中・浄心-』
2012年11月『京釜の粋-三条釜座、釜師の技と名品-』
2012年5月『茶の湯釜歳時記』
2012年2月『釜師 大西家歴代』
2011年10月『釜をとりまく茶道具』
2011年5月『吉祥の釜』
2010年9月『茶の湯釜にみる朽ちの美』
2010年5月『風炉を楽しむ』
2009年11月『千家十職 大西清右衛門家の釜と金工-茶の湯工芸の伝統と創造-』『寺院ゆかりの茶の湯釜』
2009年5月『開館十周年記念 釜師 大西清右衛門の目 それぞれの所蔵品から』
2008年10月『開館十周年記念 釜師 大西家歴代展』
2008年3月『風雅-茶のなかにみる意匠』
2007年11月『茶人と釜』
2014年10月『大西清右衛門襲名20周年』
2014年1月『釜師 大西清右衛門の世界』 (美術館「えき」KYOTO)
2008年11月『千家十職 釜師 十六代 大西清右衛門展-襲名十五周年を記念して-』(日本橋三越本店)
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