北九州 岡山と数年毎に観てきたサーカスです。少しずつ変化してきていましたが、今年は日本のサーカスというよりも外国のサーカスって感じでした。出演者の殆どが外人。日本的な出し物の少なさに かっての歌「天然の美」の哀愁も感じられないものでした。
ただ上半身裸の白いズボンの赤毛の青年が、拍手もまばらな一人ぼっちの舞台で白い布の吊り輪をする姿が、私には こんな東アジアの冬の荒野で孤独に耐えながら生きているって感じで、さすらいの雰囲気がありました。やっぱ、サーカスや大衆演劇は妄想を掻き立ててくれなくっちゃー。テントの意味がない。
かっては「綱渡り」がありました。
男が和傘で全身のバランスを取りながら足袋をはいた親指でロープを挟さみ、中央斜めに渡されたロープをゆっくりと登る。
上まで登りつめると 男はポンと傘を下に投げる。そしてシンバルの金属音が「シャーン」と響くと、見守る観客の前でアッという間に後ろ向きのままシューッと滑り降りる。「ドサッ」という重い音を立てて布団のクッションを持った屈強な男たちが身体を受け止める。
その危険な演技に我が身を賭けての、流れ流れの男の魅力。空中ブランコでは味わえない日本的なサーカスの伝統芸! どうかこの技の復活を!
西洋のサーカスは、やっぱりマレーシアのボルネオ島ビンツルで観た「ロンドンサーカス」です。巨大な扇風機でテントの中は快適な涼しさ。そしてショーの内容もドラマチックで洗練されていて全てが美しかった。
思い出っていいね。 受け身でも 作れるのね。サーカスの男話!面白い!