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「大放言」 その9 百田尚樹

2017年06月26日 00時06分04秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「大放言」 その9 百田尚樹  新潮新書 2015年

 第一章 現代の若きバカものたちへ P-20

 前略

 いつの時代にもバカはいる。そこには実は年齢の差はない。バカな若者はたいていバカな大人になり、バカな大人はたいていバカな老人になる。かくいう私も若い時は凄まじいほどのバカだった。まもなく還暦を迎える年になっても、情けないことにバカの度合いはあまり減っていない。

 しかし60年近く生きてきて、気づいたことが一つある。それは21世紀に入ってから、私が若かった時代にはあまりいなかった新しいタイプのバカが増えてきていることだ。私は彼らを「新種のバカ」と名付けている。

 彼らを見ていると、なんとも心配になってくる。というのは、この社会にはおいしい言葉やうっとりする言葉で若者をたぶらかす奴らがごろごろいて、彼らはいたるところに落とし穴を仕掛けて、「バカ」が落ちるのを待っているからだ。だから、若者たちを見ていると、「しっかりしろ」「気をつけろ」と思わず言いたくなってしまう。

 偉そうに言っているが、もしも私が平成に生まれていたなら、きっとこの「新種のバカ」の一人になっていたのは間違いない。つまり、ここに出てくる「新種のバカ」は、もう一人の私自身でもある。