(2017年9月16日付:朝日新聞より)
昨日の与野党の幹事長等の会談で、臨時国会を28日に召集する方針が伝えられた。野党側が臨時国会召集を求めたのは6月22日だった。このニュースについて本日付け朝日新聞の小見出しは、「少数派の発言権 置き去り」となっている。
記事には憲法53条のことが記されている。「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と定められている。この規定は少数派の意見を尊重するため、とされているという。
さらに同記事では、召集を求めてから召集までの期間が論じられていて、今回の98日は異例の長さだという。自民党の2012年にまとめた「憲法改正草案」にも、要求があった日から「20日以内」となっていて、党の考え方にも反していると言えるとのこと(以上、記事の要旨)。
6月22日に要求された直後も、内閣は召集を拒み続けていることが話題に上がっていたが、この間、森友・加計問題、防衛大臣の対応や北朝鮮のミサイル・核実験など、内閣支持率の降下・上昇などにまぎれて、薄れつつあった。
様々な意見がある多様な社会は尊重されなければならない。その上で、事を進めるためには何らかの方法で方針を決定して動かなければならない。そこで、多数決による判定は決してベストではないが、ベターなのかもしれない。
その際、考慮すべきは「少数派の意見を尊重する」ということである。
しかし、現状は残念ながら国会運営に少数派の意見を配慮した運営がなされていない。国会対策委員会があるが、野党つまり少数派の提案にたいして、与党の委員は党の戦略に沿った対応で動いているようだ。
これは多数決による運営のマイナス面だ。少数派を尊重するというより、多数派の独断運営といえる。
多数決にはメリット、デメリットがある。物事を決する他の方法(ボルダルールなど:例えば複数の案に対して順位をつけて投票する。順に3点、2点、1点と得点化し、総合得点で判断するなど)にも長短がある。それらの欠点を補うには、憲法53条に込められた「少数派を尊重する」という規定が重要だ。国会運営も常にこのことばを念頭に歩んでほしいと願う。