2017年9月29日に咲いた月下美人
昨晩、ナシの送り物をしてくれた、娘(我が息子のお嫁さん)さんから、LINEで写真が添付されてきた。近所のお蕎麦屋さんから頂いたという月下美人だ。
妻が30年ほど前のエピソードを持ち出した。妻が月下美人という花を知った時の話である。妻の知人の夫が、大分酔いながら語った。
先日、月下美人に会いに行ったという。行ったところはラーメン屋だ。月下美人はすごくきれいで、良い香りがする。夜中までラーメン屋で過ごしたという。妻は、月下美人が花とは知らなかったので、どんな美人を見に行ったのかと、内心ヤーネと思いながら、妙なワクワク感を持って話を聞いていた。
彼は酔うとあれこれと講釈が得意で、月下美人の説明を始めた。月下美人は、新月や満月の夜に華やかな花を咲かせる。とても良い香りを放ち綺麗なんだ。そして次の日には、香りがなくなり短い花の命の終わりを迎える。まさに美人薄命だ。彼は俗説を含めながら得意げに語った。
このくだりでは妻はまだ、花だとは思っていなかった。彼は花と言っていたのだが、妻は比喩として捉えていた。つまり、妻はあくまで美人、人だと思っていた。月のように華やかで良い香りが漂う美人とはどんな人が登場するのだろうか。と、期待を持って聞いていた。そして、妻は彼に問うた。「その美人は何時ごろ会えたの?」と。
すると日付が変わる頃かな。深夜にラーメン屋のおやじさんから呼び出されたんだ。月下美人が咲きそうだから、すぐ見にお出でとの電話があった。
この時「咲く」といったので、月下美人って「花なの?」と妻が問うた。知人は「えぇー!」と言って、「花だよ」と言った。後はただ、二人で大笑するしかなかった。
そして、ラーメン屋から知人に株分けされた月下美人。さらに、その月下美人を妻は知人から株分けしてもらった。
その後、わが家で10年ほど咲き続けただろうか。しかし、現在の地(標高330m)に越してきて3年後、大きくなりすぎて家の中に入れられなくなった。翌年、外での越冬に耐えられなくなり枯れてしまった。
妻は嫁から送られてきた画像を見て、スマホの中に保存されていた過去の写真を探した。あった。残念ながら香りは記憶の中だが、画像だけは残っていた。