出雲地域の神社探訪、鳥取県米子市に入っていきます。
・宗形神社
〇宗形神社について情報を追加して新たに記事を投稿しました
一般にはあまり知られていないのかもしれないけれど、秋には紅葉の穴場スポットともなるらしい、素晴らしい神社でした。エントランスの階段の横幅が堂々として、国道沿いにもかかわらず一歩境内に入ると本当に静かで重厚なたたずまいに浸されます。
もちろん、延喜式神名帳にも記される古社。祭神は、田心(タギリ)姫命、湍津(タキツ)姫命、市杵島(イチキシマ)姫命、つまり、宗像三女神。入口の由緒説明板では、往古宗像氏族が、祖先神である宗像三女神を奉じて九州からこの地に来着しこれを祀ったのが起源と伝えられている、との説明でした。
美しく生い茂った木々の中で、鳥取の銘木100選の樹に選ばれたクスが実に重々しくたたずんでいました。
・粟嶋神社
標高36mの小山ですが、かつては中海に浮かぶ小島(黄泉・夜見島)で、江戸時代中期に周辺の新田開発の為、干拓され地続きとなりました。まさに神奈備山です。
主祭神は少彦名命。伯耆国風土記逸文の次の記述で知られます。
粟島がある。少日子命が粟をお蒔きになったが、実った穂が垂れていた。 その穂に乗ったら、はじき飛ばされて常世の国につきました。
つまり少彦名は、体が小さかったという意味ではなく、この粟嶋でお亡くなりになったという事です。拝殿・本殿は、187段の階段を登り切った先に鎮座しています。
境内はやはり趣ある木々でこんもりし心静まります。地面も苔むして、空気がしっとりしていました。
拝殿、本殿の向かって右側には、出雲大社方面に向いた遥拝所がありました。木々をかいくぐって見える景色は、まさに絶景です。
そして、この粟嶋にはもう一つ見るべき、ミステリアスなスポットがあります。島の麓を右側から廻った先におもむろに現れる、「靜の岩屋」です。小さな洞窟で中には入れなさそうですが、干拓で埋まったからでしょうか。。。
神社の入口に2カ所設置されている由緒説明板では共に、この洞窟はその昔、人魚の肉を食べて800歳までこの穴の中で孤独に生きた八百比丘尼(ヤオビクニ)の説明がされていました。ただ、元々は福井の話で、八百比丘尼が全国各地をまわったので各地に伝説が残された、という話も聞きます。
それよりも、その洞窟の向かって左に立つ看板の表記が重要です。
万葉集巻三の志都(しず)の岩屋はこの地である
大汝(おおなむち) 少名彦の いましけむ
志都の石屋は 幾代経ぬらむ
万葉集355番、出石村主作で、境内にも歌碑があります。これは何を意味するのでしょうか。二人の出雲神話の王が岩屋に居る、という事ですが、当時、王が住んでいたのは高床式住居なので、岩屋に住むという意味ではなく、当時岩の中に入るのは、亡くなった時だという話があります。その東出雲伝承では、ここは、西の猪目洞窟と対になる、もう一つの黄泉の洞窟だと説明しています。
・美保神社
〇美保神社について情報を追加して新たに記事を投稿しました
境港を通って、境水道大橋を渡り再び島根県に入って、この国譲り神話にちなむ青柴垣神事で有名な、美保神社に着きました。正面は小さな漁港です。
振り返るとすぐに一の鳥居が有ります。
ご祭神は、三穂津姫命と、有名な事代主命。珍しい、神殿のような広い拝殿の奥に、男女神の2つの本殿が鎮座する、他では見られない美しい
社殿です。
あまり見られない、後ろからのお姿を。
天の下所造らしい大神命、(中略)奴奈川姫命に娶ひて生みましし神、 御穂須々美命、是の神坐ます。故、美保と云う
「出雲を原郷とする人たち」で岡本雅亨氏は、上記の出雲国風土記の記述により、ここの祭神はもともと御穂須々美だったとされています。そして、古文書の記述の照合により、中世に御穂津姫と事代主に変えられた、との石塚尊俊氏の分析を紹介されてます。「国引き」伝説の一つ、美保関に引き寄せられた能登の珠洲岬にある須々神社も元々御穂須々美を祀っており、古くからの両地のつながりの象徴が御穂須々美だと説明されています。
東出雲伝承では、”九州東征勢力”によって奪われた東出雲王国の旧宮殿(つまり住まい)を神魂神社として祀ってくれた事に感謝する気持ちが、美保神社の建築様式に込められた、と言います。つまり、縦・横2種類の千木は出雲式と九州式を並べたということらしいです。男女神の別を表現するという説明は誤りだと伝承は主張します。そして、王家が、自家の御穂須々美を三穂津姫命の名にして、事代主命と共に祀りました。二人は本当は父と娘だったという事らしいです。創建は3か4世紀頃のよう。
もちろん美保関にも行き、美しい海を堪能しました。
大山を望む
粟嶋神社の横はよく通りますがまだ行けていません。ぜひ行ってみたい神社です。
コメントを頂き、誠に有難うございます。
米子近郊にお住まいなのですね。私の方は
いつ行けるかわかりませんが、また出雲、
伯耆を訪れたいと思っております。