不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Trattamento all'Ufficio pubblico

2009-07-22 00:14:29 | 日記・エッセイ・コラム

毎回お役所などに行くとうんざりします。
仕事が悠長だとか、的確でないとか
そういうこと以前に
人間的な扱いをしてもらえないことに
神経をすり減らすので、イヤなのです。

会社の手続きの関係上
先日仕方なくお役所に行ってきました。
フィレンツェ県が管轄する労務局(労働局なの?)。
Direzione Provinciale del Lavoro。
立派な名前ですが、午前中しか仕事しません。
火曜日と木曜日は午後もちょっとだけ営業しています。
しかし、夏の間は(暑いから)午前中だけ。

今回の私の任務は
とある書類を手渡しし、
その場で召集日時のアポを取ること。
いたって簡単なことじゃぁないですか、日本なら。

しかし、ここはイタリア。
家を出たら7人以上の敵が待ち伏せているのが普通です。
ということで闘いモードで仕方なく出かけていきました。

まず、入り口を入ってささっと確認したら
「Prima Informazione」という表示。
「最初のインフォ」って…。
これからいくつインフォメーションを通り越すのかと
既に不安になります。
殺風景に意味もなく広い部屋には
ぽつんと机が一つ。
その上に古いタイプの大型の電話が一台。
その脇によれよれになった内線電話番号表。
机の対面にはずらりと自動販売機。
机の前には、ほら見たことか、誰もいません。
想像していたので驚きません。

ひたすら待つこと約10分。
その間ひっきりなしに自動販売機で
同僚とおしゃべりしながらおやつ買ったり
携帯電話で通話しながらコーヒー買ったり。
職員のためにある多種多彩な自動販売機。
こんなところに無駄金使っているなら、
少しは市民に還元しろと腹の中で叫びながら
おとなしく待っていると
外のバールでおいしいクロワッサンを買って
頬張りながら帰ってくる男性職員一名発見。
むさぼりながら机に座りこちらを一瞥。
すぐに向かっていくと
口からぽろぽろとかすをこぼしながら「Dica」。
どうぞって、とてもお役所の対応とは思えませんが。

まぁ、このヒラ職員に怒っても仕方ないので
落ち着いて事情を説明、対応部署がどこなのかを確認。
「え、初めて聞いたな、そんな懸案。
そこの部屋にいる人に聞いてみて。」
殺風景な部屋の1面に扉が3つ。
一つはトイレ、あとの二つはナゾの部屋で
どちらも閉まっている。
そこって扉閉まっているけど?
「え、誰か中にいるからノックして。」

ノックしてみましたとも、素直に。

すると後ろから即座に甲高い声で
「私が待っているのに見えないの?」
知りませんって、
あなたがこの部屋に用事があって
待っているかどうかなんて。
だって自動販売機の前で
ずっとおしゃべりしてたから、てっきり職員かと。

ごめんなさい、わからなかったし、
ノックしろといわれたからノックしただけで…。

まもなくノックしたドアの向こうから
めがねかけた小さいねずみのような女性が出てきて
「誰よ、ノックなんかしたのは。
順番待っていればいいのよ。
扉はこちらが開けるのよ。」
といきなり。
思わず言いそうになりましたよ。
あなたの同僚がノックしろといったのですよ!と。
しかしぐっと我慢。

私の順番がきたので中に呼ばれていくと
先ほどのねずみおばさんは同時に出て行き
中には若い気の弱そうな
オットセイみたいなおねぇちゃんが一人。
ここでもまたさっきと同じように事情説明して
担当部署を聞くと、オットセイ姉ちゃんは
「何でここに来たの?誰がここに来いって言ったの?」
そりゃぁないよ。
うちの会社の弁護士がここに行けと言い
あなたの同僚がこの部屋で問えと言ったのです。
オットセイ姉ちゃんの前にもよれよれの内線番号表。
それをじっとにらみつけているので
ちょっと視線を動かして部屋の中を見てみると、
コンピューターの置いてある脇に貼紙。

<<インターネットへの繋ぎ方>>
デスクトップにあるeマークを触る
と書いてありました。
ステキな役所です。

とそのとき、ねずみおばさん再登場。
「なにしているの?まだここにいるの?」
えぇ、どこに行けばいいのか誰も指示してくれないもので。
「何しにきたのよ。」
また同じことを最初から説明すると、
「2階の左」と暗号みたいな指示がでてきました。

私もこの辺りで半ばおかしくなっており
2階の左、2階の左とぶつぶついいながら
階段を上って2階へ。
踊り場の辺りからいやな予感がしたのだけれど
案の定そのフロアは人で溢れかえっていました。

2階の左ってどういう指示だよと改めて考えながら
なんとなく左のほうに向かってみると
ずらっと長い列。
しかも廊下には右にも左にも無数の部屋。
これってどの部屋に行くのかわからん。
と思ってその辺の人を捕まえて聞いてはみたけれど、
無駄であることにすぐに気づき
仕方ないのでまたねずみおばさんの部屋に。

2階の左っていくつも部屋があるし、
列ができているんですけど。
私が行く部屋はどれですか。
「2階の左って言っているのに、何でまだここにいるのよ。」
だから部屋が多すぎてどの部屋が該当部署かわからないし
列を押しのけて前に進もうとしたら
列を乱すなと怒られたんですけど。

「秘書室に行くに決まっているでしょ。」
決まっているのか、知らなかったよ。
最初からそういってくれよ。

再び2階の左へ。
もう疲れました、この辺りで。